まずは、私としても「反対」の立場からかなり熱心にツイッターやブログに発信していたつもりの、この話題について。
念のために繰り返したいが、国家公務員の延長に関わる法案自体に反対しているのではない。時の政権が検察トップの人事に容喙できる条文と「抱き合わせ」で審議が行われていることがおかしい。さらには 5月13日付拙記事 に書いたことの繰り返しになるが、そもそも1月末の 黒川弘務 東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定に対しても「特別法優先原則の否定」「口頭決裁」「過去の内閣の法令解釈の無視」「議事録なし」など、様々な疑義が提示されていた。黒川氏に対する異様な厚遇があったとしか思えない。
上掲記事のブックマークコメント に書いたことでもあるが、他の「はてなブクマカ」のみなさんのブコメを読むと、みなさんそのあたりのことは、ちゃんとわかっていることが伺える。失礼な物言いかも知れないが。
ただし「安倍政権の熱心な支持者を除く」という保留をつけ加えなければならなかろう。「黒川氏はゴーン日産元会長の訴追のため、余人を以って代えがたい人材」という擁護論も見たことがある。胸糞悪いからリンクは貼らないが、検索すれば出てくる。
森雅子法相は5月15日の国会答弁で「特段の事例は見当たらない」と答弁しているし(【全文 文字起こし】検察庁法改正 衆議院内閣委員会2020年5月15日|犬飼淳 / Jun Inukai|note)、だいたい1月末からの4ヶ月近くの間、ゴーン氏に関わる案件がピクリとでも進展したかって言うんだ! 報道されないだけ? 私が知らないだけ?
「はてな」に限らずツイッターでも同じ感想を抱く。あくまで私の観測範囲だが。ほんの一例として、フォロワー5万を誇る有名ツイッタラー 異邦人 @Narodovlastiye さんのツイートを、FF外からですが引用させていただきたく。もっと読みたければ、ハッシュタグ #検察庁法改正案を廃案に を追跡すればよい。
確認事項。
— 異邦人 (@Narodovlastiye) 2020年5月18日
・内閣が恣意的に特定の検察幹部を最大3年役職定年延長できる部分に断固反対。
・他の国家公務員法改正案と共に一律定年延長の部分には反対していない。
首尾一貫して主張の内容が変わっていない事実を積極的にアピールしていかなければならない。#検察庁法改正案を廃案に
このへんのことは、特別な理解力が要求されるわけではなく、ごくあたりまえの理屈が理解できれば通じるものだと思いたいのだが、こと政治やら国会やらをウォッチしていると、その「あたりまえ」が全然通じなさそうで、ややもすると「あれ、俺のほうがおかしいの?」となってしまう感覚に襲われることがある。
そういうことが、とても嫌!
もう一件、最近のニュースから具体例を出そう。安倍首相がインターネット番組で「黒川氏と2人で会ったことはない」と関係を否定したというニュース。
それに対する反証として提示された首相動静。「(午後4時)25分、黒川弘務法務事務次官」と、はっきり書かれている。
この案件に関する場外乱闘もまた、ブコメなどを手掛かりにいくらでも辿れるので、引用は省略する。無理筋な弁護論には明らかにネタとわかるものが多いが、「本気で言ってるの?」というものも混じっており、大量に読んでいるとゲシュタルト崩壊のような感覚を覚える。ゲシュタルト崩壊って、こういう場合の表現に使ってよかったんだっけ?(ただし 同日のNHK「首相動静」サイト が、一時的とは言え非表示になったことは、大いに気になるところではあるが)
この手の異様なやりとりは、今回に限らず8年前の第2次安倍政権成立時から、立て続けのように起きていた。弊ブログでは最寄り駅の「戦争はイヤだ!」集会というのに出席するたびに、時事ネタをエントリーにまとめてきた(同集会は現在、新型コロナの影響で休止中)。もし実例を出せと言われたら、それを手掛かりにいくらでも出せるつもり。
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ところがその異様さが、政治への関心が薄い層にはなかなか伝わらない。国会中継を1度でも見るか聞くかしてもらえれば「あれ? おかしくない?」と思ってもらえるんじゃないかと思うのだが、なぜかそうならないのだ。
むしろ政治に関心を持っている層のほうが、何か特殊な人のように思われてしまう傾向を感じる。
やはり最近のホッテントリに入ったツイートを2件。糸冬P @itofuyuP さんはFF外ですが、引用失礼します。
昨日タイムラインで見かけた
— 糸冬P (@itofuyuP) 2020年5月13日
「若い人は、モンスター客のクレームに苦慮する自分を自民党に、モンスター客を野党にそれぞれなぞらえて、自民党に感情移入している」
という話が、一日経っても心に重くのしかかってる。
弁護士の Shin Hori @ShinHori1 先生は、FFさんだったりする。
これはその通りで、自民党は地域の互助会みたいな感覚で見られている。自民党を支持する発言が"政治的だ"と言われにくいのも、これで説明がつく。 https://t.co/ZTEJzgTWWJ
— Shin Hori (@ShinHori1) 2020年5月15日
それでも最新の内閣支持率が各社調査で40%を割り込むなど、わずかながら風向きの変化を感じるのは、これまでのモリカケサクラが国民の生活に直接の影響を与えるタイプの事案ではなかったにもかかわらず、コロナ禍とそれに伴う経済危機がまさに我々一人一人の生活に直結する問題だからだろうか?
あるいは自粛で家にいる時間が増えたため、これまで見たことのなかった国会中継を見た人が増えたのではないかという説もある(前掲の 森法相の答弁文字起こし、ちょっと見てよ!)。でも具体的データはあるのかな?
ただし、安倍政権下で改悪されたり骨抜きにされたりした制度は、すでにたくさんある。
また疑惑が報じられながら不起訴となった与党議員も、数多い。
ネット上にたびたび書いたことであるが、繰り返しておく。
今でも十分危険な状態だと思う。だがもっともっと危険なのは、ブレーキがことごとく外された状態で、次のトップに、スマートで口が巧くて内面の真っ黒な奴が就いたときではないかと考える。
追記:
気になっていながらも、情報不足のため今回の拙文中にて言及できなかった記事のリンクを追加。あとで自ブログを参照したとき、意外に役に立つので。
最初にこの記事を見たとき、失礼にも「ああ、またその場しのぎのウソか?」と思ってしまった。
ウソならウソで、そのうち反証情報が出てくるだろうと思っていた。
そうしたら、このツイートがホッテントリに。FF 外からリンク失礼します。
今朝の読売の「検察庁法案見送り検討」の報道は、この安倍首相が櫻井よしこ氏に示した見解が焦点化し、法務省が事実経過を公表した場合、首相辞任は避けられないという判断がなされたためではないか。したがって、引き続き、安倍首相のこの言葉の真偽は徹底的に追及されなくてはならないと思う。 https://t.co/0z2xZaYg3k
— 海渡雄一 (@kidkaido) 2020年5月17日
法務省が黒川氏の定年延長を申し入れたのは、どうも事実だったのかも知れない。
しかしその前段には、次期検事総長に林真琴名古屋高検検事長を起用する人事案を官邸が拒絶したといういきさつがあったそうだ。
だが官邸が林氏の検事総長を拒絶したことと、法務省が黒川氏の定年延長を提案したという二つの事案が、どうつながるのか、よく理解できない。
ましてや、なぜそれが安倍首相の辞任につながるのかということも、ただちには飲み込めない。
誰かわかりやすく解説してくれる記事を書いてくれないものか。引き続き状況をウォッチするために追記した。
追記の追記:
やれやれ、危惧していたのとドンピシャの詭弁が、ホッテントリに上ってきた。そしてこういう言舌を支持する人も、それなりの数がいるようだ。
直リン貼るのも胸糞悪いので、せめてもの抵抗としてブコメへのリンクを貼る。「多くの人はそんなことわかってるんだ」ということを示すために。
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