うちのブログではGoToキャンペーンに対する悪口をすでにさんざん言っているのに、まだ足りないのかと言われるかも知れないが、まだ足りない。
悪口というより、脱力感のようなものを覚える機会が相次いだ。
実家に、身内がよく使う旅行代理店から、ダイレクトメールが届くようになった。
以前はひんぱんに届いていたのだが、コロナ禍の影響で一時期めっきり減っていたのだ。
見せてもらった。
厚みは以前に比べてずいぶん薄くなっていた。
ページをめくって「あ、なるほど!」と思った。高級プラン集のようになっていたのだ。
一例として、有名ホテルや有名旅館に一泊5万3~4千円、キャンペーン適用で負担額4万5~6千円だったかな。それに何千円かのクーポン券による還元が加わる。
それよりも、ページの配色が以前の高級プランのページのものになっていたのが印象的だった。以前であれば、高級プランと一般向けお値打ちプランが別の冊子になっていて、メールに同封されていたのだった。それが現在は高級プランの冊子だけが送られてきたようなイメージかな?
ページをスキャンしてブログに貼ろうかと思ったが、以前のを見ていないと伝わらないと思ってやめた。
「はてなブロガー」の 在華坊(id:zaikabou)さんは、ツイッターでも大変高尚なご趣味のツイートをされていて、どうやったらあんなセンスが身に着くのだろうと思いながら秘かにウォッチさせていただいている。
この半月くらいのツイートから、いくつか引用をお許しください。こんな文脈での言及は不本意かも知れませんが。
GoToTravelキャンペーン、普段は旅行行かない人が折角だからこの機会に…みたいな使われ方はあまりされてなくて、普段から海外とか国内とか旅行しまくってる人が、普段より宿や部屋を2ランクくらい上げて国内旅行するぞ、みたいな使われ方がメインになってる感
— 在華坊 (@zaikabou) 2020年8月24日
先日のNHK、元民主党議員が選挙区を廻って市井の声を聞くのに密着していて、旅館をやってる人が、GoToで高級な旅館は潤ってるみたいだけど、うちみたいな旅館はぜんぜん…と答えてたんだよね。利用者側も利用される側も、恩恵に預かる人が限定的な振興策なんだろうな
— 在華坊 (@zaikabou) 2020年8月31日
前後して、やはり「はてなブロガー」で人気ツイッタラーでもある らくからちゃ(id:lacucaracha)さんは、こんなツイートをされていた。引用失礼します。
GoToトラベル、都市部や人気観光地の高級ホテルがV字する一方で、地方の民宿はむしろ需要を減らし、離島に至っては登録すら見送った話を聞くと、ほんま悲しくなるなあ。
— らくからちゃ@スゴいコシフリスト (@lacucaracha) 2020年8月21日
離島ではないが、こんな旅館の公式ブログを見つけた。不参加を決めた理由が書かれている。参加資格を満たすためのコストが見合わないというのだ。
「はてなユーザー」で現職の旅行業関係者が、FFさんに何人かいる。支障があるかも知れないので実名は出さない。GoToキャンペーンにより宿泊客は増えており、恩恵は明らかに受けているそうだ。ただし大手旅行代理店経由がほとんどとのことだった。
旅行代理店にも、当然ながら大手と中小がある。中小が不利なのは、先ほどの旅館と同様、参加資格を満たす対策のコストが支障になっているのではないだろうか? こちらは当事者の声を見つけていないが。
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ここまでを一言でまとめると、今回のブログタイトルに掲げた通りで、GoToキャンペーンは、実質的に富裕層や大手企業など余裕のある層への再分配のようになっているのではないか、ということである。
最初からそれを意図していたかどうかはわからないが、結果として。
日本は、再分配により貧富の格差が拡大する珍しい社会であるとよく言われる。
巨大企業が研究費などの名目で法人税の優遇を受けていることや、高所得者は株式の売却益や配当金への課税が一律であるので税率が低くなることが、繰り返し指摘されている。
GoToトラベルにおいても、そのような効果が表れているとしたら、私の感情的には大変抵抗を感じる。GoToイートも、そんな調子になりそうだし。
ただし、コロナ禍の下において何が何でも経済を回したいというのであれば、昨今議論されている「東京都のGoToトラベルからの除外の撤廃」は、早急に行われるべきであろう。都道府県別人口当たりの新型コロナウイルス感染者の数字は、すでに東京都がワーストワンでも突出しているわけでもないという事実に加えて、富裕層の人数は東京都が図抜けているからだ。
この矛盾したように見える拙見を平易に説明するのは難しいが、いささか品のない言い回しではあるが「毒を食らわば皿まで舐めろ」が、かなり近いかも知れない。私は最初からGoToキャンペーンには反対だ。GoToトラベルから東京都を除外したことには、法の下の平等を定めた憲法14条に照らして疑義があると思っている。最悪の中で、わずかにマシなものを選んだという意味で。
もう一言。GoToキャンペーンには、経済を回すレバレッジ効果が期待されていると言われる。業者に直接支援するより、キャンペーンを打つと経済効果が何倍になるというのだが…
レバレッジとは「梃子〔テコ〕」のことである。
今更ながらテコの原理をおさらいすると、支点から力点 までの距離をL1、作用点までの距離をL2、力点にかかる力をM1、作用点にかかる力をM2とすると、モーメントが等しいとき、すなわち
L1 × M1 = L2 × M2
となるときに釣り合うというものであった。
だから L2 < L1 のとき M2 > M1 すなわち小さな力で重いものを動かすことができるが…
いろいろなテコの原理のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや より。規約の範囲で改変
L2 > L1 であれば M2 < M1 すなわち重いものを動かすのにより大きな力が必要になるのだ。
同上
もちろん「すべての喩えは間違っている」。喩えをそのまま現実の政策に適用できるわけがない。
GoToキャンペーンの場合、投下した予算が現実の経済にどれだけの影響を与えたか、事後の検証は不可欠だろう。
それをちゃんとやってくれるのだろうか?
追記:
新聞記事も出たので保存します。
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