東アジアを中心に10か国前後につき、Googleが作成した新型コロナウイルス新規感染者数のグラフのスクリーンショットを、「定点観測」と称して弊ブログにまとめている。
前々回までは2週間に1度だったが、前回から4週間に1度にスパンを伸ばした。
そうしたら、心なしか世の中の動きがとたんに慌ただしくなった。
個人的にインパクト強く感じた一点めは、気づいたら日本の1日の新規感染者数が、コンスタントにフィリピンの新規感染者数を上回るようになっていたことだ。これは東アジア&オセアニア地域で日本がワースト2位となったことに他ならない。
あとでもう一度同じグラフを貼るけど、日本。12月11日。Google 調べ。
フィリピン。同じく12月11日。
累計感染者数であるとか、重症者・死者数であるとか、日本がもう少しワースト順位を下げる指標を選ぶことはできるが、東アジア&オセアニアという地域経済において新型コロナ蔓延が日本の競争力の足を引っ張っている現実は、直視せねばなるまい。
個人的に印象に残った二点めは、直近の韓国の意外な苦戦である。
「はてな」のブックマークコメントは、ツイッターやヤフコメに比べると韓国に対する見るに堪えない悪口雑言は少なめだ。「韓国ほどいろんな対策をやってもダメなのか?」という意味のブコメが多く目についた。同感である。
三点目。仁坂 和歌山県知事のこのメッセージが、「はてな」では1,200を超えるブコメを集める人気記事となった。
吉村 大阪府知事に対する静かな怒りの表明だ、という意味のブコメが多かった。それについて異論はない。
ただし個人的感想として、強く印象に残ったのは次の部分だった。
私がこれまで見てきた限り、感染が爆発している地域の対応と和歌山県の対応とでは次のような点が明らかに違うと感じます。
- 陽性判明者の行動履歴を徹底的に調べているか。
- そこから判明した濃厚接触者全員のPCR検査をしっかり実施しているか。
- 陽性判明者の入院、ホテル入所など十分な隔離の面倒をきちんと見ているか。
- 感染拡大に備えて、病院拡大、人員の手配、ホテルのリクルートなどを専門的見地から慎重かつ着実に進めているか。
- 陽性者と言えど、たいていの場合その行動範囲は、保健所の管轄を越えているから、別の保健所管内にいるこの人の濃厚接触者の検査を命令できる保健所の統合システムを持っているか。保健所がバラバラに動いていないか。
知事からのメッセージ 令和2年12月10日 | 和歌山県 より
まことにごもっともに感じた。頭の下がる思いである。
ところでこれって、いわゆる「クラスター対策」というやつではないのか? 特に「1.」「2.」「5.」。
google:クラスター対策 ってなんだったっけ、と思って確認のためぐぐってみた。トップに出てきた NIID 国立感染症研究所 のサイトより。段落の一部の切り取りだから、これが定義かというと違うと反論が出るかも知れないが。
クラスター対策とは, 日本のCOVID-19対策の一つの柱であり, 疫学情報の収集, 分析を通してクラスターの早期発見と対応を支援するだけでなく, 市民に対してはクラスターの発生しやすい場所, 環境, 行動を避けるよう啓発することで, クラスターの形成を防止することを目的としている。
安倍前首相が「世界に冠たる日本モデル」と誇った根拠の一つがこのクラスター対策だったと思うが、それが現実に具体的に機能していたようには、どうも思えない。
再び和歌山県のサイトから。
一例を挙げると、和歌山の人と大阪の人が会食をしていて、和歌山の人の感染が確認されたので、当然その濃厚接触者ということで、大阪に通報をしました。我々は自分達がやっているように最寄りの保健所がすぐに飛んで行って、その人にPCR検査をして、感染しているかどうか確かめているだろうと思っていたら、その後、検査がされていないことが分かりました。仮にその人が発症していたら、あるいは無症状の感染者であったら、更に大勢の人にうつすことになります。こういう状態が続くと、いずれ感染爆発が起こるのは理論的に自明であります。
知事からのメッセージ 令和2年12月10日 | 和歌山県 より
大阪府の行政への苦言であるが、おそらく大阪府だけの問題ではないだろう。自治体の間で、温度差が激しいように思う。私の身近なところでは、対策に尽力している愛知県と「口先以外に何をやってんの?」と思わずにいられない名古屋市とか。
もっとも口先と言うなら、言及すべきは「五つの小」「ひきしめよう」に加えて「ウィズコロナ東京かるた」なんてものまで出してきた 小池 東京都知事だろうか。「三密」でやめておけばまだよかったのに、覚えきれねーよ!
とは言うものの、こういう感想を表明することは「後知恵」または「事後孔明」に他なるまい。
事ここに至っては、では具体的にどうしたらいいのか、具体的に何をやったらいいのか、素人なりにいろいろ考えているつもりだが、どうしても思い浮かばない。
いや、人類は必ず新型コロナウイルスを克服するとは信じている。根拠はファイザー製薬はじめ世界でいくつかの国や企業がワクチン開発に成功し、治験を経て接種が始まっていることだ。
ワクチンを万能視するわけではない。しかし希望は複数の開発ルーツが異なるワクチンが実用化されていることなのだ。HIV すなわちヒト免疫不全ウイルスに対して HAART療法 - Wikipedia すなわち複数の薬剤の組み合わせの投与が効果を発揮したため、エイズが以前ほどには恐れられなくなったことが、そのように考える理由である。
問題は、完全克服までにどれほどの年月が必要になるか、だよなぁ。
つまんない戯れ言を。こちらの記事の…
b:id:tanukiracoon さんの、このブコメに反応して…
【独自】東京、名古屋市も“一時停止”へ 札幌市、大阪市 GoToトラベル停止延長も(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース
「勝負の3週間」の「勝負」の仕方を間違えたとしか思えない。
2020/12/13 07:46
こんなブコメを投入したら、スターをいっぱい頂いた。受けたらしい。
【独自】東京、名古屋市も“一時停止”へ 札幌市、大阪市 GoToトラベル停止延長も(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース
tanukiracoon さん、少年マンガだったら「勝負の3週間」の間に必勝技を開発してたんですけどね。
2020/12/13 07:54
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というわけで(どんなわけだ、いつもながら)日本。11月28日と12月11日。
細かいことだがグラフの「データ提供元」が変わっている。
そのせいか、グラフの過去の部分の形も2週間前のものと若干違うように見える。
韓国。11月28日と12月11日。
台湾。11月28日と12月11日。
モンゴル。11月28日と12月11日。
台湾とモンゴルは、感染者数の増加をスパイクすなわち継続させず一時的なものに押しとどめているところがすごい! 気候の影響あるだろうに。
ベトナム。11月28日と12月11日。
タイ。11月28日と12月11日。
シンガポール。11月28日と12月11日。
インドネシア。11月28日と12月11日。
フィリピン。11月28日と12月11日。つか、意外と健闘してないか? 水際でなく一旦蔓延させてしまってから沈静化させるのは、日本含む他国の例を見ると大変難しそうなのだが。ドゥテルテ大統領の強権もあるのだろうけど。
マレーシア。11月28日と12月11日。
東アジア域外から。オーストラリア。11月28日と12月12日。
インド。11月28日と12月11日。
パキスタン。11月28日と12月12日。インドとパキスタンも逓減を始めたようだが、この理由はわからない。
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