言葉の収集癖がある。お金のかからない手ごろな趣味だと自画自賛する一方、やってみると期待したほど数が集まらないことが多い。
比較的、自己満足度の高い成果が出せたと思っている過去記事は、これくらいかな。予想以上に数が集まったのみならず、意味が微妙に変わるという特徴が興味深かった。
今回の発端は、FF さんである 渡莉鴉 @Ra_jasmine_ven さんの、このツイートだった。引用、失礼します。
#探索者メモ
— 渡莉鴉@note/あしはぐ (@Ra_jasmine_ven) 2021年1月10日
雅号:子子子子子(ししのこねこ)
芸術家の男性に拾われた出生不明の美少女。養父亡きあと絵を描き始める
鼠除け猫の絵を人づてに売る水墨画家。身寄りのない女性でも画家として生きる為、お金の為なら何でもするロクデナシ
雅号は獅子の子猫。養父と養子の関係とクズが描く猫の二重名 https://t.co/CynRWPD6Ga
「探索者」というのは知らなかったのでぐぐったところ「クトゥルフ神話TRPG」の用語のようだった。
文脈おかまいなしに、次のようなリプをつけた。けだしクソリプというものであろう。
芸術家の名前は生生生生生(ういなおき)おね。
— しいたけ@しいたげられた (@wtnb4950) 2021年1月10日
それからしばらくして、「はてな匿名ダイアリー」のこの記事に…
dk4130523(id:cj3029412)さんが、やはり文脈も何もあったものでないこんなブックマークコメントをつけているのを見かけた。自分で言うのはいいが他人に言うのは失礼か? とまれ引用失礼します。
女衒の女将みたいな生保レディが「この子新人なんです」って
女衒(ぜ-げん)で女将(お-かみ)で女神(め-がみ)で小女子(こ-お(ん)な-ご)なので、女女女女と書いて「おぜおんなめ」「尾瀬女め」となります。
2021/02/16 10:44
脊椎反射的に次のようなブコメを投入したら、人気コメントトップ10に入るほどの「はてなスター」をいただいた。ありがたくもあったが、私の中では二番煎じなので気恥ずかしくもあった。
女衒の女将みたいな生保レディが「この子新人なんです」って
↓ では「生保」(せいほ)レディが「生(うぶ)な生娘(き-むすめ)でこの間まで学生(がくせい)だったけど一生懸命(いっしょうけんめい)」やります」と言ったら「生生生生(うぶき・せいしょう)」という雅号みたいに…
2021/02/16 10:50
なお dk4130523 氏はツイッターでは nekohanahime @nekohanahime と名乗り、渡莉鴉 氏を「妹」などと僭称している。
ツイッターのほうではその後、こんなやりとりをした。
ブコメではなくこっちに。やはりセンスに引き合うものがあったのですか?https://t.co/9NTBXTPTcV
— しいたけ@しいたげられた (@wtnb4950) 2021年2月16日
そそ🐈💕これ思い出してwww
— nekohanahime (@nekohanahime) 2021年2月16日
さらに何ヶ月かして、こんなツイートをしたところ…
なんでだろう? なぜか「女」という字は「ぜ」とも読むという想念が、唐突に頭に浮かんだ。
— しいたけ@しいたげられた (@wtnb4950) 2021年4月3日
そして確認のため「女衒〔ぜげん〕」や「瞽女〔ごぜ〕」を検索して、とてもつらい気分になった。
仕事しろ>自分
dk4130523 氏から、こんなリプをいただいた。ありがとうございます。
ご安心ください(謎)女衒はおそらく女見(じょけん)由来。瞽女は盲御前(めくらごぜん)の短縮です。🐈💕
— nekohanahime (@nekohanahime) 2021年4月3日
念頭からすっかりリセットされてしまっていたが、こうやって見返すと私のツイートは明らかに dk4130523 氏のブコメの影響を受けているな。
リプへのリプとして…
某シリーズに
— しいたけ@しいたげられた (@wtnb4950) 2021年4月3日
女女 女女女〔ジョゼ・メニョナ〕
という国籍不明のペンネームを追加しようと思ったのですが、ちょっとやりにくくなりました。
というのを書いたが、これはさらに影響が明らかである。
ネットで遊ぶということは、こんなふうに無意識のうちに他人の考えの影響を受けているということでもあるのだろう。
それはともかく「生」は読みが多い漢字として有名で、検索すると「150種類以上の読み方がある」というタイトルが出てきて驚かされる。記事をよく読むと、さすがに150種類というのは大袈裟だったようだが。
読みを丁寧に集めていると思ったのは、柊木 惇(id:hiiragi-june)さんのこちらの記事だった。言及失礼します。
先月(3月)のホッテントリに "「3月1日は日曜日で祝日、晴れの日でした」という文章は海外の日本語学校では超難問です" とする togetter があったけど、それどころじゃなかった。
柊木 さんのエントリーに出てくる読みは、確かに読めてしまう。なんでだ? そして最後の方はだんだん読めなくなる。なんでだ?
こういう混乱する感覚、いいなぁ。
「日」だけを使った人名もどきもあれこれ考えたが、「日日 日」で「ひたち あきら」がいちばんマシっぽかった。「にち」「じつ」「か」「び」が使いにくかったのだ。「カビ」なんて読みの入った人名はサマにならない。
「日」を「あきら」とするような人名読みを許容したら、かなり緩くなってなんでもできそうな気もするが、あまりこだわらない。
「一日」の日を「たち」と読ませていいかも、さだかでない。柊木 さんの言う"必ずしも一語一語分解出来ない語句" であろう。これはこれで、そのうち集めてみたくなった。「如月」の「月」とか。
追記:
「熟字訓」と言うのだと、別の機会に知りました。
追記おわり
ところで次のサイトによると「生」と並んで読みが多い漢字として「下」が出てくる。
柊木 さんのエントリーにも "「明」や「上」、「下」の字も読み方が多いことで知られる" というくだりはあるが、「下」はちょっと意外に感じた。
「下下 下下下」で「したもと かげお」なんて読ませたら面白くないかな? 「お」は「下りる」「下す」の「お」。あとで考えたら 志茂田景樹 氏という人がいるから、それに引っ張られているような気がしないでもない。
「ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ」という世代を超えて知られる国民的フレーズ(なんだそれ?)があるから、できれば「下下 下下下下」にいかにもな読みを当てはめたかったが、どうしても思いつかなかった。
「上」のほうは「上上 上上」で、姓を「かみじょう」、名は ageage という若者言葉があったから「あがあげ」と読ませるなんてのは、どや?
「あげあげ」ではなく「あがあげ」なのは、細かいこだわりである。いらんわそんなこだわり。
いらんことついでに『ドラゴンボール』に出てくるガジェットの「ホイポイカプセル」は「ポイポイ」じゃなく「ホイポイ」って知ってました?
ジャンプ系でジョジョネタにくっつける手もありそうと、あとで気づいた。新しいところ追っかけてないけど。
トゥギャッターには wikipedia の「子子子子子子子子子子子子」へのリンクも貼ってあった。嵯峨天皇と小野篁〔おののたかむら〕の掛け合いとしては、ウィキペより huffingtonpost のこの記事の方がわかりやすいと思ったので、ブログカードはハフポストのほうを貼る。息の合った掛け合いは、軽く千二百年の時を超えるのだな。
念のためさらに検索したら、検索結果にライトノベル作家の子子子子 子子子〔ねこじし こねこ〕さんという方が表示された!
ええっ、はてなー さんだったのですか? 失礼ながら存じませんでした。すみません。
nekojishikoneko.hatenablog.com
代表作はこのシリーズかな? おわび代わり(?) にブログカード貼ります。
というわけでダラダラ長々と書いてきたわりには、自分で考えた人名もどきとしては
「生生 生生生」(「生生 生生」)
「女女 女女女」
「日日 日」
「下下 下下下」
「上上 上上」
の5ないし6件だけだった。
作ろうと思えばもっと作れそうだけど、やっているうちに「自分の決めた読みを自分が忘れてしまう」という致命的な弱点に気づいた。
この名前はこう読まなきゃいけない、という必然性みたいなものがないのだな。
これで急速に熱意が醒めた。萎えた、というやつである。
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