前回6月3日付拙記事 へのブックマークコメントで、東雲長閑(id:shinonomen)さんから教えていただきました。"Fossil word" は「化石語」という意味です。
語それ自体はすたれたものの特定のイディオムの中で生き残っている状態を「化石」と表現しているようです。ただしこの状態は語義においても発生し "merchant navy"(ある国の保有する全商船)における "navy" は海軍ではなく「商業艦隊」という古い語義を保っているとのことでした("navy" の語源はラテン語の「船」との由)。
おおおおお、これはすごい! お礼申し上げます。ありがとウサギ(←少し後で出てくるしょうもない=必然性の薄いギャグへの伏線
さっそく読みに行きました。第一印象「む、難しい…」。
ざっと眺めたところ、知っていたのは 前回拙記事中 に例示した "to and fro" の "fro" くらいでした(同日付 "wouldn't/can't budge" の "budge" はありませんでした)。
あ、ビートルズの曲と岡崎京子のマンガのタイトルで有名な "helter skelter"(大混乱)があったか!
それから "handbasket" は単独の単語としては「手篭」でよさそうだけど、熟語 "going to hell in a handbasket" は知りませんでした。こういうケースも多そう。
つまり時間をかけて精読する必要がありそうということです。
もう一つ、気をつけなきゃいけないと思ったのは、難易度にかなりの差がありそうということです。
以前、マーク・ピーターセン『英語の壁』(文春新書)という本から、研究社『新和英大辞典』(第四版)に出てくる「本当に情け無い」という日本語の対訳 “Woe is me!” は今世紀におそらく一度も真面目に使われた例がない、とする箇所を引用したことがありました。話はあちこち飛ぶけど、この "woe" も限られたイディオムでしか使われない単語っぽいです。
このあたりを漢熟語に無理やり当てはめると、やはり前回の拙エントリーで出した「魑魅魍魎」は、難しそうではあるがホラーやラノベの読者、いやジャンプの読者であれば決して馴染みのない四字熟語ではないはずと言えるいっぽう、「轀輬車」を知っているのは『史記』そのものか『史記』を題材とした小説の読者に限られてくることに相当するかも知れません。『キングダム』はヤングジャンプ、少し古いが『赤龍王』は少年ジャンプ連載だったけど。
そういう言語的なカンが、英語には働かないんですよね。
もっとうんと易しい言葉を引き合いに出すなら、"a lot of" / "lots of" は中学英語ですが "lot" 単独に「多い」という意味はないんですよね。集めるとしたら "lot" のような単語から集めてみたいところです。
ちょうど特定の熟語以外で使われない漢字を集めるとしたら、なぜかこれまで言及したことはありませんでしたが「挨拶」の「挨」や「拶」から始めたいのと似た感覚です。こんにちワン(←伏線回収。やっぱりしょうもなかった
ちなみに "to and fro" は受験英語の熟語集で、 "wouldn't budge" は『くまのプーさん』のウサギの穴におなかのつっかえたプーが「ぴくりともしない」というくだりで知りました。どちらもありふれた言葉のはずです。
おおざっぱな難易度はどのくらいか、あたりまで調査した自分用の単語集を作るとしたら相当な時間がかかりそうなので、取り急ぎお礼と現状報告だけでもと思い雑なエントリーに仕立てました。
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