自己満足的数独(ナンプレ)のプレイ記録である。前回はこちら。
2、3日前にSNSで、こんな議論を見かけた。2年前に『鬼滅の刃』が、劇場版が興行収入のレコードを塗り替えるなど数々の異常値を出すヒットを見せたが、冷静に返ると「アレなんだったのだろう?」という話だった。もちろん決して面白くなかったわけではないけれど、それほどとび抜けて面白かっただろうかという疑問だ。
ありそうな解釈としては「コロナ禍に伴う巣ごもり需要に上手く乗っかった」というのが思いつくけど、その語り手は「今どきのマンガやアニメで主人公が必殺技の名前を叫ぶものは少なくなったが、『鬼滅』はその逆手を取ったのが逆に新鮮だった」という斬新な解釈を示していた。へぇ、そうなの。
残念ながら私の目の前を通り過ぎてゆく大量の情報の一片だったので、元ネタのサルベージは不可能だと思う。つか試みる気はない。
なんで突然こんなことを言い出したかと言うと、弊ブログで数独の解法にさまざまなローカル呼称を与えているのは、いや一般的に数独の解法はかなり一般化された名称が多いのは、プレイヤーが脳内でそれらを絶叫したいがゆえではないかという仮説を持っている。過去にも書いたことがあるけど。
実生活で「全集中、水の呼吸!」とか「ヘブンズドア!」(岸辺露伴です為念)とか「新必殺音速火炎斬!」(『ソードマスターヤマト』です。安っぽいのが逆に好き)とか絶叫する機会は、まずありえない。
なお弊ブログにおけるローカル呼称と、数独界(?)でよく用いられる名称とは、一致していないほうが多い。例えばうちで「総消去法」と呼んでいる解法は英語の naked single の訳語として「裸のシングル」と呼んでいるサイトが多いようだが、この場合の naked は明示的な(explicit?)という意味であり「裸の」と訳すとニュアンスが伝わらないように思う。
ちなみに対義語らしきものとして hidden single という解法もあり「隠れたシングル」と和訳されているが、こちらはうちのブログでは「飛車にらみ」と呼称している解法に近いようだ。暗示的な(implicit?)というニュアンスだろう。さらにいらんことを言うと hidden single より nakid single のほうが難易度が高い。
前置きばっかり長くてなかなか本題に近づけないな。その一般的なほうの名称で、名前はよく聞くけどなかなか使う機会のない解法に "X-Wing" というのがある。
おおざっぱに説明すると、ある数字が長方形の4頂点の位置に出てくる場合、長方形の辺およびその延長上に同じ数字があれば候補から除外できる、というものだ。これだけの説明ではわかりにくいな。あとから実例が出てきます。
それを過去に一度だけ使ったことがある。このときは『ポケット数独上級篇1』というのをやっていた。同書の範囲で X-Wing を使ったのは、けっきょくこの一度限りだった。
この解法は、名前が印象的なわりには使う機会が少ない。長方形の4頂点に同じ数字があるというだけなら該当するケースはよくあるが、長方形のタテの辺またはその延長上とヨコの辺またはその延長上に同じ数字が同時に現れると X-Wing は使えない。これだけの説明ではわかりにくいな。あとから実例が出てきます。
今は『激辛数独1』をやっている。すでに70問目を超えたが、激辛とタイトルしているわりにはなかなか難しくならない。拙過去記事で繰り返し書いているように、私の解き方はローカル呼称「2択先書き法・改」というのを用いてまず空白マスに入れられる数字の候補をぜんぶメモ書きし、それから中~上級解法を用いて候補を潰している。だがこれまでの大半の問題は、空白マスをメモで埋め尽くすのと同じくらいのタイミングで最終形(=正解)にたどり着いてしまう。
何か問題に特色がないと、ブログネタにしにくい。
今回は『激辛数独1』から2問。先に結論を書いてしまうと、いずれも久しぶりに X-Wing が適用可能だった。そしていずれも X-Wing を使わなくても解けた。
まずは P81 の 74。難易度は Level2~10 中の Level7。初期値を背景色黄色で示す。
これを「2択先書き法・改」で確定数字と候補の数字メモで埋め尽くそうとしている途中が下図。まだ未整理です。例えば最右列下から4行目と5行目の3、4による「2国同盟」は左から3列目下から4行目の3を使えば解消可能だが、この時点では3の前に2の入るマスを検討しているところなので未着手。
上から3行目と最下行、左から4行目と5行目を結ぶ長方形の頂点に、2が揃っているのが見つかった!
上から3行目と最下行すなわちヨコ方向には他に2が候補として入るマスはないので、X-Wing が適用可能である。
これにより上から4行目左から4列目と5列目の空白マスに入る候補から2が除去され、上から4行目には残る右から4列目の2が定まった。
2択先書き法・改では同一3×3ブロック中で入るマスが2択となる数字をフォント色赤にして特別扱いしているが、それが X-Wing を見つける上でも役に立つことを再発見した。
しかしあとで考えたら、上から4行目右から4列目の2はローカル呼称「一気通貫」を使っても確定できるのだった。この列で2が入るマスは、ここしか残っていない。
いいじゃないか X-Wing と言いたかったから X-Wing を使ったって。
そんなで未整理の3その他を整理していたら、最終形にたどり着いてしまった。SOLUTIONS P121 と一致している。
続く P82 の 75 は、難易度は同じ Level7 だがもう少しホネのある問題だった。
2択先書き法・改にて確定できる数字は確定し、空白マスは候補の数字で埋め尽くしたのが下図。この状態になるのは久しぶりで、繰り返しになるがここまでの問題の大半は、候補の数字を埋め尽くすや否やの時点で最終形に到達してしまった。
ちょっと考えて、最上行と上から2行目、右から2列目と5列目の7が長方形の4頂点を形成していた。
長方形のタテ方向には7は入らない。よってヨコ方向に X-Wing が使える!
もし上段左側3×3ブロックの上から1行目と2行目に7が入ったら、右から2列目と5列目どちらかには7が入れられなくなる。よって上段左側3×3ブロックでは7は上から3行目にしか入れることができない。
これにより左から3列目上から2行目のマスに、残った2が確定された。
実はこの考え方は「2の2の3」とローカル呼称している解法と同じである。「2の2の3」は同じ数字が同一列(または同一行)になくても適用可能なので、X-Wing より適用範囲が広くなる。だから上掲の解法を「2の2の3」と呼んだってかまわなかったのだが、どうせ脳内絶叫用なので好きな方を叫ばせていただく。
あとから考え方をトレースするため、早い段階で確定した数字にはExcelカラーパレットの左から順にフォント色を与えている。
この問題の場合「飛車にらみ」で確定した数字は2つだけ、それらにはカラーパレットいちばん左の「濃い赤」を与えた。2にはこれらの数字が確定したため定まったという意味で、すなわち2手順目に定まったという意味で、左から2番目の「赤」を与えている。
候補から除外された7と2は、メモ書きのフォント色を目立たない灰色に変えて残している。
これも「候補メモ最後まで残す法」とローカル呼称する我が解法アルゴリズムで、単純ミスを犯したときの追跡用である。
だがまだ多重選択が雪崩を打って崩れるまでは行かなかった。
しかし今度は最左列と左から3列目、上から3行目と下から3行目の7が長方形の頂点を構成していることに気づいた。上から3行目と下から3行目の行方向には7がない。よって列方向に X-Wing が適用可能だ!
X-Wing のカスケード使用(連続使用)である!
いいぞいいぞ、こういうの大好物だ!
こういう問題をもっとくれ!!
下から4行目の最左列と左から2列目には2択の7がある。X-Wingは最左列のほうの候補を消すので、下から4行目、左から2列目の7が確定する!
フォント色をオレンジにしているのは、3手順目に確定したことを意味するつもり。
この7は中段左側3×3ブロック中の2択の4の片割れを消すので、残りの4が左から2列目上から4行目に確定する。
フォント色を黄緑にしているのは、4手順目に確定したことを意味するつもり。
これもあとで考えたら一気通貫により、すなわち左から2列目で7の入る空白マスは下から4行目にしか残っていないことにより、X-Wingを使わなくても確定できるのだった。
いいじゃないか X-Wing と言いたかったから X-Wing を使ったって。
ここから多重選択を崩すには本当はもう一工夫必要だったが省略し、最終形を示す。SOLUTIONS P121 と一致している。