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【創作】学校なくなっちゃった!(3)第2景「学校なくなっちゃった!」

新着お目汚しを避けるため、日付をさかのぼって公開しています。

目次

前口上&(1) 第1景 通学路と朝の教室

(2) 第1景 通学路と朝の教室」承前

(3) 第2景 学校なくなっちゃった!:本稿

(4) 第3景 ミドルボスのオフィスにて(その1)

(5) 第3景 ミドルボスのオフィスにて(その2)

(6) 第4景 旅の支度

(7) 第5景 謎の友だちと謎の都市へ

(8) 第6景 謎の都市ナゾジャ到着

(9) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その1)

(10) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その2)

(11) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その3)

(12) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その4)

(13) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その5)

(14) 第8景 帰途〔かえりみち〕

(15) 終景 真相(その1)

(16) 終景 真相(その2:完結)

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第2景 学校なくなっちゃった!

ミチヒロのナレーションあるいは独白:次の朝、思った通り寝坊した

ミチヒロ、ダイニングに駆け込んでくる。

ミチヒロ「おはよう。遅刻しちゃう! ロールパン1つだけちょうだい」

ミチヒロ母「遅刻って、どこに行くの?」

ミチヒロ「学校に決まってるだろ。いつも遅刻するなってうるさいのに」

ミチヒロ父「きょうは1人かい?」

ミチヒロ「あれ、お父さんまだいるの? いつも早く出ていくのに。それに1人って何? うち一人っ子だよ」

ミチヒロ、通学路を小走りに駆ける。

ミチヒロの独白:ギリギリ遅刻しないで済むかな? あれ、今朝はシャッターの下りてる店が多いな。どこのシャッターもなんだか古ぼけてるな。こんなだったっけ? あれれ、自販機の商品、見たことのないものばかりだ。空き地まである。あっ、また空き地。まあいいや、気にしていたら間に合わない。

ミチヒロ、ショッピングモールの広い駐車場の前に出る。

ミチヒロ「ここ、どこ?」

ミチヒロ、一瞬ぽかんと目と口を開ける。そして振り返る。

ミチヒロ「道を間違えた? そんなはずない」

駐車場のほうにゆっくり歩きだす。車はほとんど停まってない。

ショッピングモールの建物に駆けよる。

ミチヒロ「『開店、10:00a.m.から』」

ショッピングモールの自動ドア前に立つ。ドアは開かない。ドアをちょっと手で動かしてみる。びくともしない。

建物に沿って歩く。建物は大きい。

ミチヒロ「このへんは町工場と倉庫があったはずなのに…ということは、やっぱり学校はここだったんだ。学校、なくなっちゃった?」

駐車場の隅に守衛ボックスがあり、人がいるのを見つける。ミチヒロ、守衛ボックスに駆けよる。

ミチヒロ「すみません、ここに小学校ありませんでしたか?」

守衛、うさん臭げにミチヒロを見る「なんだいそれは?」

ミチヒロ「大中中央小学校! 大中市立大中中央小学校」

守衛「ここは10年前からこうだよ」

ミチヒロ「10年前?」

守衛はミチヒロから視線を外し、以後、無言である。

ミチヒロ、やるかたなくいっときそこに佇み、やがて自宅にきびすを返す。

ミチヒロの独白:学校、1晩でなくなっちゃった! 厚森くんは、アルフォンスくんは、斉木さんは、町田さんは、クラスのみんなは、どこに行っちゃったんだろう? 東島先生は、どうしているんだろう?

大中小学校が、なかったわけないよね。低学年の頃は「おなかしょうがっこう」と呼んでいた。中学年になると「だいちゅうしょう」なんて呼ぶようになった。いまは飽きたからそんな呼び方はしない。ロッカーにタブレットの充電器の設置工事をやってたことも、覚えている。そうそう、タブレット返さなきゃいけないのに!

ミチヒロ、自宅のリビングに駆け込む。

ミチヒロ「お母さん、学校なくなっちゃった! 学校なくなっちゃった!」

ミチヒロの母「どうしたの? 真っ青じゃない」

ミチヒロ「学校が一晩でなくなっちゃうなんてこと、あっていいの?」

ミチヒロ母「そんなこと、あるわけないでしょ」

ミチヒロ「3階建ての建物と運動場と体育館とプールがあって、1年生から6年生までの生徒と先生と職員が全部で400人もいる小学校が、いきなりなくなるなんてこと、あるわけないよね」

ミチヒロ母「何を言ってるの?」

ミチヒロ「ああ、どうしたらいいんだろう? 先生はどこにいるんだろう? 友だちは今どうしてるんだろう?」

ミチヒロ母「ミドルボスにでも訊いてみたら?」

ミチヒロ「ミドルボス?」

ミチヒロ母「あんたが最近よく『ラスボスじゃないからミドルボスだ』って言ってる人」

ミチヒロ独白:ああ、なんだかそんな人がいたような気がした。だけど彼に会いに行くには、電車に乗らなきゃいけなかったはずだ。

ミチヒロ母「交通系カードくらい持ってるでしょ」

ミチヒロ独白:あれ、なんで知られちゃったの? 声に出したかな。

ミチヒロ、ポケットをさぐり財布を取り出す。2つ折りコンパクトだが大人持ちの黒い皮財布だ。

ミチヒロ独白:あった! なにこれ、お金もいっぱい入ってる。こんなに! お母さんに知られると取り上げられたらイヤだから、黙ってようっと。

ミチヒロ「じゃ、ちょっとそのミドルボスのところに行ってくる」

ミチヒロ独白:ランドセルどうしよう? 持っていこう!

(この項つづく)

追記:

続きです

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