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【創作】学校なくなっちゃった!(7)第5景「謎の友だちと謎の都市へ」

新着お目汚しを避けるため、日付をさかのぼって公開しています。と言いつつご意見、ご批判は大歓迎です。ありがたいです。「はてなブログ」はあくまで第1稿で、何度でも手直しをするつもりですから。

目次

前口上&(1) 第1景 通学路と朝の教室

(2) 第1景 通学路と朝の教室」承前

(3) 第2景 学校なくなっちゃった!

(4) 第3景 ミドルボスのオフィスにて(その1)

(5) 第3景 ミドルボスのオフィスにて(その2)

(6) 第4景 旅の支度

(7) 第5景 謎の友だちと謎の都市へ:本稿

(8) 第6景 謎の都市ナゾジャ到着

(9) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その1)

(10) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その2)

(11) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その3)

(12) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その4)

(13) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その5)

(14) 第8景 帰途〔かえりみち〕

(15) 終景 真相(その1)

(16) 終景 真相(その2:完結)

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第5景 謎の友だちと謎の都市へ

秘書インコとビスケットバッグをつれたミチヒロが、ビル玄関から出てくる。

ビルの表の車道に みじかいりゅう がいる。青いドラゴンの頭だけのような生き物(?)で、かろうじて頭の下側左右に丸く縮めた小さな前足が見える。頭の上側左右には、枝分かれした角が生えている。

みじかいりゅう、人懐っこそうな視線をミチヒロに向ける。

ミチヒロ「これが みじかいりゅう か」

ミチヒロ、みじかいりゅう の周りを一回りする。右の腰あたりに、指を上にして手のひらを当てる。ミチヒロの体から稲妻が みじかいりゅう に向かって流れる。みじかいりゅう、嬉しそうな表情を浮かべる。

ミチヒロ「うわっ、秘書インコやビスケットバッグとは、エネルギー消費量が桁違いだ」

みじかいりゅう の正面に戻ろうとしたとき、目の前に尾藤マコトが現れる。ミチヒロと同年代くらいの子どもで、背丈はミチヒロより少し小さい。髪型はショートボブで、切れ長で涼しげな目の持ち主である。肩に秘書ブンチョウを載せている。秘書ブンチョウは、色違い以外は秘書インコと見かけがほとんど同じ。

マコト「やあ」

ミチヒロ「(ちょっとびっくりしつつ)やあ」

マコト「ナゾジャ市に行くんだって?」

ミチヒロ「ああ。なんで知ってるの?」

マコト「いっしょに行ってやるよ」

ミチヒロ「突然なにを言い出すんだ?」

マコト「嫌かい?」

ミチヒロ「嫌ってわけじゃないけど」

マコト「一人で行ってもつまんないだろ」

ミチヒロ「一人じゃないよ。秘書インコもビスケットバッグもいる」

マコト「こいつら機械じゃん」

マコトの肩から秘書ブンチョウが飛び立つ。

ミチヒロの肩からも秘書インコが飛び立つ。

秘書ブンチョウと秘書インコ、互いのまわりを円を描いて飛び交い、何度かフラッシュの光を浴びせ合う。

マコト「こいつら仲良くなっちゃったね」

ミチヒロ「そうみたいだね」

秘書ブンチョウ、マコトの肩に戻り、秘書インコ、ミチヒロの肩に戻る。

ミチヒロ「まあいいや。一緒に行こうか」

ミチヒロ、みじかいりゅう の頭に乗る。みじかいりゅう の頭は、ふさふさした短い毛で覆われている。ミチヒロが頭に座ると、みじかいりゅう の角から枝分かれした水平の小枝がミチヒロの前に来る。ミチヒロ、水平の小枝を両手で握る。

マコト、ミチヒロの隣に座る。

みじかいりゅう、道路からふわりと浮き上がる。

ミチヒロ「(秘書インコに)ナゾジャ市まで案内してくれ」

秘書インコ「ナゾジャ市までご案内します。『りゅうの道』に侵入します」

みじかいりゅう、中空を飛んで りゅうの道 に入る。

これまでは下界に街の姿が見えていたが、りゅうの道 に入ると上方に青い空が見えるだけで、左右は灰色の壁で、下側は道路で遮られて他のものは見えない。

ただし りゅうの道を走る他の色違いの みじかいりゅう たちと、それから大型の おおきいりゅう たちは見える。おおきいりゅう というのは極端に長いわけでなく、みじかいりゅう 2匹分くらいの長さの、やはりずんぐりした竜である。

ミチヒロ「ところで、君の名は?」

マコト「尾藤マコト」

ミチヒロ「尾藤くんか。初めましてかな? よろしく」

マコト「マコトでいいよ」

ミチヒロ「じゃ、マコトくん」

マコト「真面目だね。ところで君の名は?」

ミチヒロ「名前も知らないのに一緒に行くの?」

マコト「いいじゃん。気にしない」

ミチヒロ「もう遅いか。りゅうの道 に入っちゃったし。僕は猪飼ミチヒロ」

マコト「ミチヒロ、こちらからも、よろしく」

ミチヒロ「それはそうと、今晩どうするの? ナゾジャ市で一泊する予定だけど」

マコト「一緒に泊めてよ」

ミチヒロ「強引だな」

マコト「宿の情報、秘書インコが持ってるでしょ? ボクの秘書に送ってよ」

ミチヒロ「(秘書インコに)宿泊先の情報を秘書ブンチョウに送って」

秘書インコ「送信しました。送信しました」

秘書ブンチョウ「受信しました。受信しました」

マコト、秘書ブンチョウを握って電話をかける。

マコト「もしもし、今夜予約している猪飼ミチヒロだけど、部屋をシングルからツインに変更できる?(ミチヒロに)OKだって」

ミチヒロ「本当に強引だな」

ブーエ『国際急行列車』かポルナレフ『シェリーにくちづけ』のような疾走感のあるBGMとともに、みじかいりゅう が りゅうの道 を走行する場面がしばらく続く。

ミチヒロ「ところで秘書ブンチョウを持ってるってことは、マコトはもうスマホを持たせてもらってるの?」

マコト「まあね。ミチヒロんちは?」

ミチヒロ「中学校に入ったら持たせてくれる約束」

マコト「それまでは学校のタブレットだけか。ミチヒロは真面目だから、どうせ脱獄なんかしてないだろ。セキュリティー破り」

ミチヒロ「卒業するとき返さなきゃいけないからダメじゃないか」

マコト「返す時はどうせ何年も型落ちだから、再利用なんかできないよ。脱獄すると面白いぜ。何でもダウンロードできる」

ミチヒロ「いけないんだ。ところでマコトは学校どこ? 同じ学校? 大中中央小学校」

マコト「いや、赤崎第2小学校」

ミチヒロ「聞いたことないな。ひょっとしてマコトの学校も、なくなっちゃったの?」

マコト「赤崎2小は今でもちゃんとあるよ」

ミチヒロ「もしかしたらマコトの小学校もなくなっちゃったから一緒に来たいのかなと思ったんだけど、謎の多いやつだな」

マコト「キミほどじゃない。ところでそろそろ休憩したほうがいいんじゃないか? もうすぐ『りゅうの巣』があるよ」

みじかいりゅう、りゅうの道 から脇道にそれて りゅうの巣 に入る。

りゅうの巣 には大小さまざまな りゅう たちが休憩している。

ミチヒロとマコト、みじかいりゅう から下りる。

ミチヒロ、とたんに目を回した表情を浮かべ、その場にへなへなと座り込む。

マコト「どうしたの?」

ミチヒロ「エネルギー切れだ。こんなに消耗するとは思わなかった」

マコト「だらしない奴だな」

マコト、みじかいりゅう の後ろに回り込み、ミチヒロがやったのと同じように みじかいりゅう に手のひらを向け、エネルギーを供給する。

マコト「(ニヤリと微笑みながら)ちょっとは頼りになるだろ?」

ミチヒロ「ありがとう」

マコト、秘書ブンチョウを手に取り、電話をかける。

マコト「もしもし、秘密結社? 猪飼ミチヒロの同行者だけど、みじかいりゅう のエネルギーを小学生一人に負担させるのって無茶じゃない? 遠隔操作で送ってやってよ。ペコペコって。できるでしょ。それから宿泊料金、2人分にしたからね。事後報告だけどダメだとは言わせない」

ミチヒロ、あっけにとられた表情でマコトを見る。

マコト「秘密結社の連絡先は、さっきの宿泊情報に載っていた。どっちもOKだって。そりゃそうだろ」

マコト、再びニヤリと得意げな表情をミチヒロに向ける。

ミチヒロとマコト、再び みじかいりゅう の頭に乗って、りゅうの道 へと飛び立つ。

(この項つづく)

追記:

続きです。

www.watto.nagoya

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