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【創作】学校なくなっちゃった!(8)第6景「謎の都市ナゾジャ到着」

新着お目汚しを避けるため、時刻をさかのぼって公開しています(文言ちょっと変えた)。

目次

前口上&(1) 第1景 通学路と朝の教室

(2) 第1景 通学路と朝の教室 承前

(3) 第2景 学校なくなっちゃった!

(4) 第3景 ミドルボスのオフィスにて(その1)

(5) 第3景 ミドルボスのオフィスにて(その2)

(6) 第4景 旅の支度

(7) 第5景 謎の友だちと謎の都市へ

(8) 第6景 謎の都市ナゾジャ到着:本稿

(9) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その1)

(10) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その2)

(11) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その3)

(12) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その4)

(13) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その5)

(14) 第8景 帰途〔かえりみち〕

(15) 終景 真相(その1)

(16) 終景 真相(その2:完結)

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第6景 謎の都市ナゾジャ到着

秘書インコ「ナゾジャ市上空に接近。ナゾジャ市上空に接近」

みじかいりゅう、りゅうの道 から抜け、眼下に巨大都市の市街地が広がる。

局所的に固まって建っている高層ビル群、テレビ塔、極端に広い道路、都市高速…

秘書インコ「地下の りゅうの巣 に入ります」

極端に広い道路は、接近すると中央分離帯に相当する部分が公園のような広場になっている。

広場の一部に四角く暗い穴が開いていて、みじかいりゅう はその穴の中に入っていく。

ミチヒロとマコト、薄暗く殺風景な りゅうの巣 に下りる。

ミチヒロ「(案内板を見ながら)ここの りゅうの巣、置いておくだけでこんなにエネルギーがいるの!?」

マコト「秘密結社に出させることにして、よかっただろ」

ミチヒロ「ありがとう、感謝してるよ」

ミチヒロ「(秘書インコとビスケットバッグに)ナナシャクさま になって」

秘書インコとビスケットバッグ、合体変身して ナナシャクさま になる。

ナナシャクさま「それではご案内します」

ナナシャクさま とミチヒロとマコト、階段を上って大通りに出る。

ナナシャクさま「ここは広場のある通りの1本隣で、このあたりがナゾジャ市一番の繁華街です」

大通りは人込みでにぎわっている。人込みと通りの中央部は、カラーコーンとバーで区切られている。

そこへ、鎧姿の騎乗の武士たちに先導されて、次々と輿がやってくる。

まず金ピカの甲冑をまとった茶筅まげの武将が、続いてやはり派手な金ピカの衣冠束帯に身を包んだ小柄な武将とも貴族ともつかぬ人物が、そして真っ黒だが高級そうな衣冠束帯すがたの太った人物が、それぞれ輿の上から観衆に手を振っている。

ミチヒロ「なんだこれ?」

ナナシャクさま「ふるさと三大英雄カーニバルです。ナゾジャ市が生んだ戦国ヒーローたちを模した行列です。本当はそのうち2人は、現在のナゾジャ市市域の生まれではないんですけど」

マコト、秘書ブンチョウのカメラを構えてシャッターを切り続ける。

ミチヒロ「(マコトに)またまたありがとう」

マコト「撮った写真に文句言うなよ」

ミチヒロ「言わないよ」

続いて盆踊り風の団体がつぎつぎと大通りを行進する。チームごとに和洋折衷のユニフォームをまとい、うちわや和傘や小旗を手に、パフォーマンスをくり広げる。

ナナシャクさま「にっぽん中央ダンシングフェスティバルです。ソーラン、よさこい、阿波踊りのナゾジャ版と思っていただければ早いです」

ミチヒロ「なんなのこのキチガイみたいな騒ぎは」

ナナシャクさま「たまたまそういう日に当たってしまったようです」

ミチヒロ「それにしても…また別の団体が来た! コスプレ集団だ。マンガ、アニメ、ゲームキャラ。でもこれは著作権の関係で画面に写せない」

ナナシャクさま「コスプレ世界チャンピオンシップです。『なぜそれをやった?』的な人たちを写したらいかがでしょう。コスプレイヤーさん達にとって『なぜそれをやった?』は誉め言葉です」

マコト、何度かシャッターを押す。画面には時事ネタやネットで話題になっていそうなコスチューム(?)をまとった人たちのフレーム付き写真が、何枚か画面にアップで現れる。

ミチヒロ「謎の都市と言われる理由が、なんとなくわかった」

マコト「主催者の思う壺って気もするけどね」

ミチヒロ「情報発信力がないって話はどうなったんだろう?」

マコト「空回りしてるんでしょ」

ミチヒロ「ひでぇ」

ナナシャクさま「ところでお食事はどうなさいますか? 宿でとられますか?」

ミチヒロ「せっかくだから、ナゾジャらしいお店に連れて行って」

ナナシャクさま「ナゾジャらしいと言われても、いろいろありすぎて迷います」

ミチヒロ「じゃ、できるだけ珍しいところ」

ミチヒロ、マコト、ナナシャクさま「喫茶 魔の山」と看板の出た店の前に立つ。

テーブルについたミチヒロの前に、緑色の大盛りスパゲティーに生クリームをたっぷりかけサクランボとミカンの缶詰を散らした皿が供される。

ミチヒロ「なにこれ…」

ナナシャクさま「全国からチャレンジャーを集める話題店です」

ミチヒロ「そりゃ珍しいところと言ったけどさ…」

ミチヒロ、いやいやフォークをつける。目を白黒させたり、吹き出しそうになったり、コップの水を何度も飲んだりしながら、少しずつ皿の上のモノを減らす。

ミチヒロ「脳が混乱する味だ。抹茶風味のソースは甘いけど、スパゲティーはスパゲティーの歯ごたえだし。スパゲティー自体のしょっぱさはあるし。生クリームと果物を食べてるときは、少しホッとする。でも次にスパゲティーを食べると、また脳が混乱する」

ミチヒロ、コップの水を飲み干す。

ミチヒロ「ふーっ、なんとか完食したぞ」

マコト、横から全く手をつけていない自分の皿を、ミチヒロの前に差し出す。ピンク色のスパゲティーで、生クリームとバナナの薄切りが大量に乗っている。

マコト「これも食べて」

ミチヒロ「げぇーっ! オニーっ! 人でなし」

マコト「こんなところに連れてくるからいけないんだぞ」

ミチヒロ「勝手について来たんじゃないかーっ!」

場面が変わる。ホテルの前。

ミチヒロ「(ナナシャクさまに)ありがとう。元に戻って」

ナナシャクさま、秘書インコとビスケットバッグに戻る。秘書インコはミチヒロの肩に止まる。

マコト「コンビニでパンツと靴下買っといたら? 気持ち悪いだろ」

ミチヒロ「そうだね。マコトは?」

マコト「自分の分持ってる」

ミチヒロ「ホント謎な奴だな。(秘書インコに)近くのコンビニ教えて」

ミチヒロとマコト、ホテルの廊下を歩く。唐破風の屋根を乗せ「家族風呂」という暖簾の掛かった入り口の前を通りかかる。

ミチヒロ「家族風呂だって。フロントに言えば入れるかな? 入ってみる?」

マコト「いいよ」

ミチヒロとマコト、浴衣姿になって家族風呂の前に引き返してくる。2人で暖簾をくぐる。

以降、場面が変わるまで視点は家族風呂の入り口の前に固定される。

しばらくして、家族風呂の中から声が聞こえる。

ミチヒロ「ええーっ、女の子だったの!?」

マコト「何だと思ってたんだよ」

ミチヒロ「だって胸ぺったんこだし」

マコト「小学生だからしかたないだろ」

水の割れる音。

ミチヒロ「お湯をかけるなーっ」

再び水音。

ミチヒロ「やったな!」

マコト「キャーッ!」

激しい水音が続く。

ミチヒロ「(独白風に)こんなことしてて、いいんだろうか」

ミチヒロの独白を、水音がかき消すように。

ミチヒロ「今度は水道水ぶっかけやがった! 反撃だーっ!」

マコト「キャーッ! キャーッ!」

場面が変わる。ホテルの部屋。

浴衣姿のミチヒロとマコトが、ベッドの前の空間にペタンと座っている。

ミチヒロ「眠くなるまでテレビでも見る?」

マコト「ビスケットバッグにゲーム機になってもらおうよ」

ミチヒロ「そうだね。(ビスケットバッグに)ゲーム機になって」

ビスケットバッグ、ゲーム機に変身する。ミチヒロとマコト、それぞれコントローラーを手にする。

ミチヒロ「何する?」

マコト「シューティングやRPGは疲れるから、積みゲーか落ちゲーしない? こんなの知ってる?」

ディスプレイ上に何やらカラフルで柔らかそうなものが並ぶ。

マコト「『ふにゃピコ』。並べゲー。やったことある?」

ミチヒロ「名前は知ってるけど、やったことない」

マコト「簡単だよ」

ミチヒロとマコト、ゲームに没頭する。

(この項つづく)

追記:

続きです。

watto.hatenablog.com

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