🍉しいたげられたしいたけ

NO WAR! 戦争反対!Ceasefire Now! 一刻も早い停戦を!

【創作】学校なくなっちゃった!(14)第8景「帰途〔かえりみち〕」

新着お目汚しを避けるため、日付をさかのぼって公開しています。目次、作成しました。過去記事にさかのぼって反映させてます。

目次

前口上&(1) 第1景 通学路と朝の教室

(2) 第1景 通学路と朝の教室 承前

(3) 第2景 学校なくなっちゃった!

(4) 第3景 ミドルボスのオフィスにて(その1)

(5) 第3景 ミドルボスのオフィスにて(その2)

(6) 第4景 旅の支度

(7) 第5景 謎の友だちと謎の都市へ

(8) 第6景 謎の都市ナゾジャ到着

(9) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その1)

(10) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その2)

(11) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その3)

(12) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その4)

(13) 第7景 ナゾジャ市広報担当ヤマシマ(その5)

(14) 第8景 帰途〔かえりみち〕:本稿

(15) 終景 真相(その1)

(16) 終景 真相(その2:完結)

弊ブログはアフィリエイト広告を利用しています

 

 

第8景 帰途〔かえりみち〕

地下鉄の長椅子に、ミチヒロとマコトが腰かけている。

ミチヒロ「偉い人が出てきて、謝らせちゃったね」

マコト「いいのに。ちょっとびっくりしたけど」

ミチヒロ、紙袋から菓子折りを取り出しながら…

ミチヒロ「お土産までもらっちゃった。『なぞやん』と『なぞにゃん』の詰め合わせだって」

マコト「知ってる。これ美味しいんだよ」

ミチヒロ「2セットあるから1つずつ持って帰ろう」

ミチヒロ、紙袋をマコトに渡し、菓子折りの一つをランドセルにしまう。

マコト「でもヤマシマさんが、ちょっと気の毒。公務員の仕事はわからないけど、言ってることはまともだったような気がする」

ミチヒロ「ヤマシマさんは、ずっと自分のことを人間だと思ってたみたいだね」

マコト「そうだね。公務員の使命感と市長や上司の板挟みになって苦しむのって、ロボットじゃなくて人間の公務員でもありそう」

ミチヒロ「そんなニュースがいくつもあったよね」

マコト「ロボットだったらソフトを入れ替えるんだろうけど、それだけでも気の毒な気がする」

ミチヒロ「ましてやそれが人間だったら…ちょっと想像すると苦痛だよね」

ミチヒロ・マコトしばし沈黙。

ミチヒロ「みじかいりゅう が迎えに来てくれればいいんだけど、自動運転の機能はついてないんだな」

マコト「もうすぐ実現するかもね」

ミチヒロ「地下鉄、気がついたらガラガラだ。市の中心部を過ぎたら、いっぺんに空いちゃった」

マコト「ほんとヘンな街…ねぇ」

ミチヒロ「ん?」

マコト「守ってくれる?」

ミチヒロ「えっ?」

マコト「ミチヒロはボクを守ってくれる?」

ミチヒロ「守るって、何から? ロボットから?」

マコト「そうじゃなくて…」

ミチヒロ「(照れ笑いしながら)ボクシングか空手を習えばいいの?」

マコト「そうじゃなくて、一緒にいてくれればいいんだよ」

ミチヒロ「ん…」

ミチヒロ・マコトしばし沈黙。

ミチヒロ「ボクからも、ちょっとだけ言っていい?」

マコト「ん?」

ミチヒロ「気を悪くしないで聞いてほしいんだけど、マコトは以前、ボクと一緒にいると楽だって言ってくれたよね」

マコト「言ってないよ、そんなこと。ここまで読み返してみて」

ミチヒロ「いや、言ったんだよ」

マコト「…」

ミチヒロ「マコトにそう言ってもらえて、ボクはすごく嬉しかった。ボクもマコトと一緒にいると楽なんだけど…」

マコト「…」

ミチヒロ「ホント気を悪くしないでね。ボクにどうしても直してほしいことがあれば、そう言ってほしい。でもさ、どうでもいいような細かいことに、気がつくたびにいちいち言うのは勘弁してほしい。寝ぐせが残ってるとか、箸の持ち方がおかしいとか」

マコト「…」

ミチヒロ「そんなことを言われるたびに、ボクはマコトと一緒にいるのが、少しずつ楽じゃなくなる気がするんだ。どうでもいい細かいことは、気にしないで見逃してくれると嬉しい」

マコト「ん、わかった。気をつける」

ミチヒロとマコト、しばらく無言で見つめ合う。

やがて、どちらからともなく顔を寄せ、唇を重ねる。

短いキスのあと、地下鉄のシートで二人が寄り添うシーンがしばらく続く。

 

場面が変わってホテルの駐車場。ミチヒロとマコトが みじかいりゅう の前に立っている。

ミチヒロ「悪いけど、帰りは運転してくれない?」

マコト「いいよ」

ミチヒロ「ボクはここまでの文字データ化を、できるだけやってしまいたいから。『打ちっぱなし』ってやつだ」

マコト「乗り物の中で作業すると酔うぞ」

ミチヒロ「音声入力と読み上げソフトで、できるところまでやるさ。ビスケットバッグ、ヘットセットを出して」

ビスケットバッグと秘書インコが合体し、ビスケットバッグ本体と長めの柄のついた白い骨伝導イヤホンに分裂する。

ミチヒロ「(イヤホンを手に取り、ちょっと微笑む)ナナシャクさまみたいだ」

ミチヒロ、イヤホンを耳に装着する。

みじかいりゅう、宙に浮きあがる。

みじかいりゅう、りゅうの道へと侵入する。

 

場面が変わって、秘密結社の入居しているビルの前。

みじかいりゅう が中空から下りてくる。

ミチヒロだけが みじかいりゅう の頭から下りる。

ミチヒロ「ありがとう。打ちっぱなしをミドルボスに送信することができたよ」

マコト「みじかいりゅう は、ボクが りゅうの巣 に返してくる」

ミチヒロ「いろいろと本当にありがとう」

ミチヒロ、去ろうとするマコトに…

ミチヒロ「ねえ」

マコト「ん?」

ミチヒロ「いなくなっちゃ、いやだよ」

マコト「何を言うかと思ったら」

ミチヒロ「学校や、クラスメートのみんなや、先生たちみたいに、消えちゃったらいやだよ」

マコト「(笑顔で)すぐまた会えるよ」

マコトを乗せた みじかいりゅう、ミチヒロの前から飛び去る。

ミチヒロの独白「でもボクがマコトの姿を見たのは、これが最後だった」

(この項続く)

追記:

参考サイト

パスコ なごやん21個入

名古屋 お土産 和菓子 Pasco なごにゃん シロ クロ 4個入×各1パック 食べ比べ

続きです。

www.watto.nagoya

弊ブログはアフィリエイト広告を利用しています