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【創作】転生したら親鸞だった?(6)第1景【現代編】猪飼家のマンションにて(6/6)

目次 各「その1」のみ クリックで詳細表示

(1) 第1景【現代編】猪飼家のマンションにて(1/6)

(7) 第2景【鎌倉編】車借・捨六(1/6)

(13) 第3景【鎌倉編】馬借・欠七(1/2)

(15) 第4景【現代編】個室病棟にて(1/2)

(17) 第5景【鎌倉編】ボクの無双(1/2)

(19) 第6景【鎌倉編】被差別集落(1/4)

(23) 第7景【鎌倉編】霊感商法(1/5)

(28) 第8景【現代編】ボクシング

(29) 第9景【鎌倉編】地頭・稲田(1/2)

(31) 第10景【現代編】哲学者

(32) 第11景【鎌倉編】心霊教ふたたび

(33) 第12景【現代編】裵〔ペ〕デスク

(34) 第13景【鎌倉編】刺客

(35) 第14景【現代編】守衛

(36) 第15景【鎌倉編】大団円(1/4)

(40) 第16景 鎌倉編の後始末

(41) 終景 現代編の後始末(1/3)

新着お目汚しを避けるため、日付をさかのぼって公開しています。ダラダラと書いてしまいましたが、ようやく第1景の完結です。つか、こうなるだろうと思っての日付遡行です。前回はこちら。

watto.hatenablog.com

 

真琴「パターンあればこその記憶に残るシリーズであって、例外回が代表作と呼ばれることはない、ってことでしょうか」

道大、ニヤッと笑って「『アクロイド』、『オリエント急行』、『そして誰もいなくなった』」

真琴「お、反撃に出たな」

裵「時代劇に話を戻すと、現代でも "時代劇チャンネル" というのがあったり熱心なファンは一定数いるものの、各地のオープンセット兼テーマパークや、殺陣、衣裳、美術、時代考証などのおびただしいスタッフの維持が大変だろうとは想像される。我々の心配することではないが」

道大「時代劇ファンが多かった時期には "拙者" と "それがし" の使い分けがおかしい、なんて苦情の電話がTV局にかかってきたことまであると聞きます」

真琴「どう違うの?」

道大「知らない」

真琴「なんだ」

裵「幕末の長州ことば、薩摩ことば、会津ことばあたりの復元であれば相当な水準にあるだろうが、時代時代の地方方言をガチでやろうと思ったら大変な労力になるだろうし、肝心の視聴者に伝わらない」

道大「役割語の出番ですね『拙者は違うでござる』『お主じゃーっ!』」

真琴「嘉門達夫か」

裵「あくまで私の考えだが、フィクションとしては、それらしい匂いさえあれば大半は現代語でいいんじゃないだろうか」

道大「さっきの一条三位中納言は "おじゃる" 言葉を使ったようですが、本物の公家ことばは特殊な単語が使われ一般には通じにくかったとも聞きます」

真琴「そういえば『おじゃる丸』もタイムスリップかな?」

道大「嬉しそうに蒸し返すなぁ」

真琴「ちなみに博士言葉を使う博士が現実にはいない、なんてこともよく言われます」

道大「わしじゃよコナンくん」

真琴「わかったわかった」

裵「いわゆる女性ことばですら、現実には使われる機会がどんどん少なくなっている」

道大「うちのは特別ですけどね。女ことばに親でも殺されたのかと」

真琴「あら、わたくしお嬢さまことばでしたら自在に使いこなせましてよ」

道大「誰がお嬢さまだオバさん」

真琴「ぎゃー! その呪われた言葉を二度と口にするなー」

道大「何度でも言ってやる! オバさんオバさんオバさんーっ!」

裵「またじゃれ始めた」

裵デスク、渋い顔を作って

裵「はしゃいではしゃいでプライベートタイムに移行…というシナリオが見えるあたり、生々しくてな」

道大・真琴「あ、わかります?😅」

裵「わかるわい。こっちだって大人だ」

 

道大「そうやってデスクは冷やかしますが、作家にはけっこう仲のよい夫婦が多いと思いますよ」

裵「まあね。女性関係が完全に破綻していたのは、ぱっと思いつくところでは津島修治くらいか」

真琴「太宰治さんですね」

道大「大谷崎は、それなりに筋を通したと言えそうですし。あと夜の街に浮き名を流した作家なら多そうだけど…」

真琴「花柳小説は絶滅したじゃない」

道大「ひでぇ」

裵「私生活がボロボロになる方面は、異性だけとは限らない。金銭的にどうしようもなかった石川一とか」

真琴「啄木さんですね」

裵「津島とともに無頼派と呼ばれた作家たちがいた。酒と薬物でしくじった坂口炳五とか」

真琴「安吾さん。なんで本名で呼ぶんですか?」

裵「なんとなくだ。近くは中島裕之」

真琴「らもさんですね。本名の西村賢太さんは、どうするんですか」

裵「普通に西村賢太と呼ぶ。おや、猪飼くんがちょっと静かだな」

道大「で、もし若き日の石川一や津島修治が裵デスクの前に現れたら、デスクは彼らの才能を見抜く自信がありますか?」

裵「当然だ」

道大「言い切りましたね」

裵「検証不能の仮定の突っ込みに対しては、言い切りで返すにしくはない。おお、二十代の石川や津島がいまここに現れたら…考えただけでもゾクゾクする!」

道大「…」

裵「金銭トラブルに関しては、私も大企業の部長職だ。多少のバックアップはできよう。女性トラブルは…ケースバイケースだが、地獄まで付きあう覚悟を固める。 "一人の人間の人生を救うのに必要なものは、もう一人別の人間の人生だ" と言うではないか」

真琴「あ、旦那が嫉妬してる…」

道大「ええ、ボクは石川啄木にも太宰治にもなれませんよ! 谷崎潤一郎も坂口安吾も、中島らもも西村賢太も、はるか雲の上の存在です。ボクにはボクに書けるものしか書けません。いみじくも太宰が『風の便り』に書いたように、作家のはしくれのはしくれとして "歩くように" 仕事をするしかなんです。武者小路実篤が『愛と死』の初めのほうに書いたように、自分の仕事をすることこそが最も難しいことなんです!」

真琴、裵に「ひょっとして狙いました?」

裵「いや、たまたまだ。だが嫉妬させてやる気をあおる手は、これからもときどき使おう」

(第1景おわり。第2景につづく)

追記:

続きです。

watto.hatenablog.com

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