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【創作】転生したら親鸞だった?(32)第11景【鎌倉編】心霊教ふたたび

目次 各「その1」のみ クリックで詳細表示

(1) 第1景【現代編】猪飼家のマンションにて(1/6)

(7) 第2景【鎌倉編】車借・捨六(1/6)

(13) 第3景【鎌倉編】馬借・欠七(1/2)

(15) 第4景【現代編】個室病棟にて(1/2)

(17) 第5景【鎌倉編】ボクの無双(1/2)

(19) 第6景【鎌倉編】被差別集落(1/4)

(23) 第7景【鎌倉編】霊感商法(1/5)

(28) 第8景【現代編】ボクシング

(29) 第9景【鎌倉編】地頭・稲田(1/2)

(31) 第10景【現代編】哲学者

(32) 第11景【鎌倉編】心霊教ふたたび(本稿)

(33) 第12景【現代編】裵〔ペ〕デスク

(34) 第13景【鎌倉編】刺客

(35) 第14景【現代編】守衛

(36) 第15景【鎌倉編】大団円(1/4)

(40) 第16景 鎌倉編の後始末

(41) 終景 現代編の後始末(1/3)

新着お目汚しを避けるため、日付をさかのぼって公開しています。体裁にこだわらず頭の中にあるものをダンブしている、という意味です。 あとからどんどん手を入れる予定です。前回はこちら。

watto.hatenablog.com

 

主人公「ボク」、紫雲寺の本堂で "法話" を語っている。

こんばんは。今夜で『阿闍世王授決経』は完結です。いよいよ阿闍世王が授決されるのですが、その直前にお釈迦さまが入滅すなわち亡くなってしまうという大事件が起きます。おっと、先走りすぎました。順を追ってお話します。

 

阿闍世王は、再び祇婆〔ぎば〕大臣に尋ねました「私が以前に釈尊を招いた時には老女が受決され、今日は園丁が受決されたのに、なぜ私だけ授けられないのか? はなはだ遺憾である。次はどのような功徳を行えばいいのか?」

祇婆は答えました「確かに王は毎日のように功徳をなさっていますが、しかしそれは国庫の財で、もとはといえば人民の税金です。また心には高ぶりや恨みがあります。だから受決されないのです。今後もし身を削りご自分の持ち物を供えたのでしたら、たとえば七宝の首飾りや腕輪を脱いで宝の花を作り、そして王妃さまや王太子さまと一緒に合掌し心を込めて釈迦さまに奉ったのでしたら、お釈迦さまは必ずや王の至誠を照覧して受決を授けられるのではないでしょうか」

もっともだと思った王は、食事を減らして昼夜斎戒し、身に着けていた諸宝を取り外し、それらを綴り合せて釈尊に献上する宝の花を作りました。王妃や王太子も進んで手伝いました。

 

90日かかって、ようやく宝花が完成しました。王が釈尊のところへ出向く準備を命じると、傍らの大臣が言いました「お釈迦さまはすでにクシナーラーで涅槃に入られたと聞きます」
これを聞いた王は大いに悲しみ、嗚咽しながら言いました「私は心を込めてこの宝の花を作ったのだ。釈尊が亡くなったとしても、耆闍崛山〔ぎしゃくっせん〕に詣で、せめて釈尊の座所にこの花を捧げよう」

耆闍崛山というのは、祇園精舎と並ぶ原始仏教団の本拠地の一つです。

 

祇婆大臣は言いました「仏には身体というものがなく、涅槃というものもありません。また一定でもなく、滅びることもなく、存在するということもありません。ただ心を尽した者にだけ、仏の姿が見えるのです。王さまが誠意を尽されたことにより、お釈迦さまは涅槃に入られたと言えども必ずその姿をみせてくださるでしょう」

王が耆闍崛山に入ったところ、なんと祇婆が言った通り、お釈迦さまが姿を現しました。

生前と、なんら異なることのない姿でした。

王は涙を流して喜び、釈尊の足下に額づいて、七宝の花を釈尊の頭上に散華しました。「ささやかならが、私の自力による供養です。どうかお受け取りください」。花はみな空中にとどまり、宝蓋となってお釈迦さまの頭上を覆いました。

宝蓋というのは、仏像や仏画にみられる光背のようなものを想像するといいんじゃないかと、私は思います。

 

お釈迦さまは言いました「阿闍世王は今後8万劫ののち、『喜観』と名づけられる時代で、『淨其所部如来』という名の仏になり、『華王』という名の仏国土をしろしめすでしょう。ときにその人民の寿命は40小劫となるでしょう」。王は、ついに授決されたのです。
阿闍世王の太子は、名を旃陀和利〔せんだわり〕といい、時に8歳でした。この読み方があっているかどうか、私は自信ありません。王太子は父王が授決されたのを見て大いに喜び、身につけていた宝石を釈尊の頭上に散華して言いいました「父が淨其所部如来として成仏するときには、私は金輪聖王になって仏を供養したいと願います。また父が涅槃に入った後には私が跡を継いで成仏し、宝石を連ねて幔幕となし仏の頭上を覆いたいと願います」

金輪聖王は転輪聖王とも言い、古代インドの伝説で世界に平和をもたらす理想の王のことです。


お釈迦さまは、こう答えました「あなたの願いは必ずその通りになります。阿闍世王が成仏した折には、あなたは必ず金輪聖王になり、王が仏としての寿命を終え兜率天に転生した後には、薬王如来の仏国土において『栴檀如来』という名の仏になり、淨其所部如来と同じ仏国土と人民を継承するでしょう」

授決された阿闍世王と旃陀和利太子が礼拝すると、頭を挙げたときには釈尊の姿はもはやそこにはありませんでした。

 

仏典『阿闍世王授決経』を、3回に分けてお話させていただきました。ご清聴ありがとうございました。

すみません、告白します。『阿闍世王授決経』とりわけ「貧者の一灯」からお話させていただいたのは、正直みなさんからのお布施を期待した部分がなかったとは言えません。ですが、みなさんからこんなにたくさんお米や味噌や野菜を貰えるとは、思っていませんでした。ありがとうございます。もう十分に足りています。どうかご無理なお布施は、なさらないでください。

実は仏典には、成仏するのにお布施が必要だなんて書いてないのです。仏典には、念仏を10回唱えればいい、「南無阿弥陀仏」と10回言うだけで極楽に往生することができると、ちゃんと書いてあります。『無量寿経』という経典の、宝蔵菩薩の四十八願という段に、確かにそう書いてあります。『観無量寿経』という経典の、下品下生という段に、そう明記されています。では10回唱えてしまったらどうすればいいか、それ以上の念仏は阿弥陀如来へのお礼の言葉になりますから、何度唱えてもいいのです。ただしこれらのお経は『阿闍世王授決経』よりずっと長いので、大切な部分を少しずつ時間をかけて説明したいと思っています。

どうか、これからもよろしくお願いします。

 

(以下、主人公「ボク」による語り)

今夜の語りを終え、紫雲寺本堂の会場を片付けているボクのところへ、聴衆の中からマメさんが近づいてきた。ただならぬ深刻そうな表情だった。

片付けの続きは、いっしょにいた只丸くんにお願いした。

ボク「只丸くん、私はこの人と話をしたいので、悪いけど片づけをやってくれるかな?」

只丸「わかりました」

21世紀の聡己も、このくらい素直に言うことを聞いてくれればいいのに。

 

ボクはマメさんに話をした「すみません、あれから気になっていました」

マメ「こちらこそ連絡が遅くなって、すみません。あれから母のイネと私は、直江津でまかないの仕事を見つけたので、辛うじて食べてはいけるようになったのですが…」

ボク「それはよかった。不幸中の幸いですが」

マメ「ところが、やっと落ち着きかけたと思ったら、ふたたび心霊教の人たちが母のところへやってくるようになって…」

ボク「…」

マメ「お布施が足りないから、私に身売りをしろと強要するのです」

ボク「なんですって!」

(この項つづく)

※ リアル作者注。

元ネタの原文・出典などは、この拙過去記事中に書いてあります。

watto.hatenablog.com

追記:

続きです。

watto.hatenablog.com

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