しいたげられたしいたけ

人権を守るには人権を守るしかない。人権以外の何かを守ることにより人権を守ろうとする試みは歴史的に全て失敗した

今年も「愛知憲法会議市民のつどい」@名古屋市公会堂に行ってきた

毎年のことなんで、一度くらい写真も貼ってみよう。いつものガラケーで撮ったやつ。
人多い。主催者発表によると参加者2,600人とのこと。ただし平均年齢高い。

名古屋市公会堂玄関。

チケット。当日券。

「撮影、録音、録画はご遠慮ください」とのアナウンスがあったので、内部の撮影は遠慮した。
これも毎年のことだが、検索するとわりと克明なレポートをブログなどにアップしている人がいるから、例によって私は自分の興味の向いたところをつまみ食い的に。
今年は三部構成。第一部は東京大学大学院教授の高橋哲哉氏の講演。学校教育における「道徳」の教科化などが話題に上がった。教材に登場する人物として吉田松陰らの名があるが、配布された資料で、こんな文章が紹介されていた。『幽囚録』の現代語訳だ。

 オーストラリアは日本に南にあって、海を隔ててはいるが、それ
ほど遠くでもない。その経度はちょうど地球の真中あたりになって
いる。だから草木は繁茂し、人民は富み栄え、諸外国が争ってこの
地を得ようとするのも当然なのである。ところがイギリスが植民地
として開墾しているのは、わずかその十分の一である。僕はいつも、
日本がオーストラリアに植民地を設ければ、必ず大きな利益がある
ことだと考えている。
≪中略≫
 今急いで軍備をなし、そして軍艦や大砲がほぼ備われば、北海
道を開墾し、諸藩主に土地を与えて統治させ、隙〔すき〕に乗じてカム
チャッカ、オホーツクを奪い、琉球にもよく言い聞かせて日本の
諸藩主と同じように幕府に参勤させるべきである。また朝鮮を攻
め、古い昔のように日本に従わせ、北は満州から南は台湾・ルソ
ンの諸島まで一手に収め、次第次第に進取の勢を示すべきである。

『日本の思想(19)吉田松陰』筑摩書房 P106〜107からのコピーだそうだ。
私は以前ブログに、かつて吉田松陰にはなんとなくとても純粋な人物というイメージを抱いていたが、歴史の専門家の手になる本を読むと大変エキセントリックな人物像が浮かび上がって驚いた、と書いたことがある。誰も時代的な制約からは逃れることはできないとはいえ、今回もそれを強く感じた。吉田松陰についてはもう少し調べてみたい。
「道徳」で教材に取り上げられている人物と言えば、先日国際的スケールで大炎上をやらかした曽野綾子氏のことも思い出したが、氏の話題は出なかった。
第二部は対談。名古屋大学名誉教授の森秀樹氏と、弁護士の久野由詠氏、愛知憲法会議事務局長で名古屋大学教授の本秀紀氏。憲法運動というのは実は身近なものだということで、例として「ブラックバイト」が大学生の間に蔓延しているという話が出た。
曰く、「明日も出てくれないか」という依頼に応じ続けたら休みなしで10連勤11連勤が常態化したであるとか、曰く、衣料品店に勤めたら「3割引」とか称する商品の購入を要求されて、断ると「去年のものを着て店に立つなんて許されない」と怒られたであるとか、とんでもない話が次々に紹介された。
学生は総じて真面目だし、また社会的経験が浅いから「仕事は厳しいものである」ということと「ブラックである」ことの区別がつけにくいため、悪質な雇用主に付け込まれやすいという話は、近年よく聞く。加えて学費が高額になっていることと、親の所得が下がっていることにより、バイトに依存する学生の割合も増えている。かつての「大学はレジャーランド」という認識は、以前だってそれが正しかったかはさておき、今日では誤っているとしか言えないとよく聞く。だが「年寄り連中にはそう言っても理解してもらえない」ともしばしば耳にする。
ブラックバイトで「詰んだ」状態にあると、おかしいと思ってもなかなか声を上げることはできないから、一人で抱え込むのではなくまずは他人に相談するべきとして、弁護士団体も支援する ブラックバイトユニオン の名前が紹介された。さっそく「はてな」の某ブクマに貼ってきた。
第三部は、古謝美佐子さんという歌手による「沖縄のこころを歌う」と題したコンサート。
マタハリも死んだら神様よ」とダジャレされる囃しが、『安里屋ユンタ』という八重山民謡のものだったことを知ったのが、個人的には収穫。今を去ること30年以上前の高校時代に、確か筒井康隆のどれかの短編で読んで「なんだこれ?」と思いつつ、ずっと謎のまま脳味噌の底で眠っていたものの正体が判明した。
書いてみたらホントにつまみ食い的なエントリーで、これではどういう会合なのか知らない人には全然伝わらないものであることを、再度お断りしておきます。