'01年からずっとPHSを使っていた。使い始めた当時は、携帯よりPHSの方がモバイルするのに高速だったのだ。今の人にはピンと来ないかもしれない。PIAFS〔ピアフ〕という規格だと32Kbps。一方携帯は9600bps。ギガでもメガでもないよ。すごいでしょ?
モバイルはとっくに使わなくなっていたが、仕事で通話とメールを使用するので、契約プランを安いものを探してはたびたび変更しながらも、ずっと手放していなかった。
しかし、携帯の基本料金の最安値980円というのが一般的になると、さすがに太刀打ちできない。今は月々2000円ちょっと支払っている。また使っている端末も相当古くてあちこちガタが来ている。折りたたみじゃなく、液晶はモノクロ、当然カメラなんてついていない。
時間ができたら携帯に乗り換えようと、ずっと思っていた。
季節工生活が一段落して、ようやくちょっと時間ができた。いやまだ残件はあるのだが、まあいい。
アパートから目と鼻の先に、ケータイショップがある。PHFを含む各社を扱っている。また、近ごろ「春モデル0円」という看板を出し始めた。
半日くらい空きがあったので、PHFの解約もできるかなと思い、契約時の書類を捜して、寄ってみた。
実は「0円」という看板に、すけべえ根性半分&悪い予感半分であった。どっかの「通話料金0円」という広告が「不当価格表示の疑い」ということで公取委の調査が入ったという報道があったばかりではないか?「通話料金0円」と「機種代0円」は違うけど、「本当なのか?」と疑いたくなる心情は不自然ではあるまい。
PHFの解約は、簡単にできた。解約に契約時の書類は不要だった。契約期間によっては解約料を取られることもあるとのことだったが、私の場合は楽勝でOKだった。
ただし、順調だったのはここまで。
「春機種0円」について、訊ねてみた。
店員さん「春機種でも夏機種でも月々の料金に分割して上乗せされます」
(内心)をい!
あまりと言えばあまりの予想通りの展開に、二の句が継げない。いやまあ実はやはり最近機種変更をした知人から事前に話を聞いていたので、覚悟はしていたのだ。店員さんから告げられた月々の分割料金も、ほぼ聞いた額だった。書いちゃうと1700円とちょっと。機種料金の支払いがすむまでは、かえって何百円か割高になるということか(T▽T;
で、契約内容。固定電話への通話とメールが中心で、余計なサービスは一切いらない旨を伝える。また実際、提示されるサービスは、片っ端から断り続ける。
店員さん「このサービスとこのサービスは断れません。不要なら1ヵ月後に解約してください」
(内心)をい!
それって「抱き合わせ販売」ちゅ〜もんとちゃうか?まあ加算される月額を合計しても300円とちょっとだけど。それにしてもチリも積もればヤマトナデシコ七変化(古)、思わぬ痛い目を見ることがある。
場合によっては消費生活センターに垂れ込んでやろうかという考えが、頭の中をぐるぐる回り始める。まあ一ヶ月したら、忘れないように解約することにしよう。
店員さん「充電器が要りますよね?別料金です」
(内心)をい!
900円ちょっと。しかしこれで「0円」というのは完全に虚構ではないか!
店員さん「電話番号を決めますので、一時間ほどしたら取りに来てください」
トータルでかかった時間は二時間程度であった。半日も時間を用意することはなかった…かのように思えた。実はこの後すぐに別種のトラブルに遭遇するので、やはり半日を充てたのは正解であったのだが、ここまでを一応まとめようと思う。
「よいサービスは空気と同じ」という言い方がある。空気はなくては困るが、さりとてそれが「ある」ということが意識されるということは、息苦しいということだ。
電話だったら通じてあたりまえ。メールだったら送れてあたりまえ。でも電話もメールも、ないと困る。それを人質にとるような商売をされたら、嫌だよね?
07/27 のコメント欄で、まっしろしろすけさんから教えてもらったのだけど、『日経PC21』という雑誌の9月号に「よいOSとは、一言で言えば存在を感じさせないOS。VISTAはその対極」というようなことが書かれている記事が載っている。それと同じことだと思う。
携帯に限らず、競争が過当化して利幅が薄くなっている業界というものは、今日び珍しくはないと思う。しかし何やかやと理屈をつけて、顧客から小銭を巻き上げようといういう態度は、賢明とは言えないと思う。顧客というものは、わずかな額でも支払うお金には敏感なものだ。
これは自分の事業への教訓とも言える。お客さんに払ってもらうお金は、常に明文化しておこう(してるつもりだけどね)。明文化していない料金の請求は、一切しないようにしよう(してないはずだけどね)。そして「空気のようなサービス」という理想を、常に念頭に置いて目指し続けるようにしよう。空気が褒められることは滅多にないけど、でもそれがいいのだ。
スポンサーリンク