しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない。

ウィリアム・パウンドストーン『パラドックス大全 世にも不思議な逆説パズル』(青土社)

パラドックス大全

パラドックス大全

「ヘンペルのレイヴン(烏)」「嘘族と本当族」「予期せぬ絞首刑(抜き打ち試験)」など、材料は本邦の野崎昭弘『詭弁論理学』『逆説論理学』(いずれも中公新書)と大幅に重なっている。もちろん料理の方法はかなり違っているけど。「トリストラム・シャンディ」などという、かなり特殊な話題までが重なっている。あと「会社の裏情報」は野崎氏の本の「40人の貴族と従者」と同じだな。なんかさらにタネ本となるような本があるんだろうか?
もちろん野崎本には登場しない話題も多い。例えば「NP完全問題」に一章が割かれていたり。野崎本の初版は1976年でコンピュータが今ほど身近ではなかった時代だから当然か?あと「ヴォイニッチ手稿」という、全編が暗号で書かれていて未だ解読されていない古い本の話に、やはり一章が割かれている。「パラドックス」と題される本の材料としてはやや異色なこの話題が、なんとなく不気味で印象に残る。つか私にはなんか怖かったぞ。現代の暗号解読技術(とくに軍事関連の)はものすごいものがあるんだそうで、それを投入しても解読できないというのは、よくよくのことなんだそうだ。全232ページ、色つき。1ページだけ写真が載っているが、いかにも中世という感じの稚拙な裸婦の挿絵が施されていて、それがよけいに不気味に感じられる。色つき挿絵つきってことは他人の目に触れるのを前提としているということで、暗号にする理由もよくわからない。実は案外楽譜かなんかじゃないの?