🍉しいたげられたしいたけ

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パソコン教室を経営していました(その5)

現在住んでいる市内の書店にパソコン教室を開設して二〜三ヶ月後、斡旋する人があって、非営利法人の事業所の一室を借りて出張パソコン教室を開設することになった。
非営利と言っても、どこも収入は欲しがっている。事業所が空いているときに貸し出して場所代が入ればwin-winの関係になるという訳だ。
少し先の話になるが、3年くらいして出張教室はもう一件増やし、最大3教室体制で回してきた。実はこの頃はすでにもう弊ブログを開設している。「営業拠点」とか「事業拠点」とかで検索して出てくるエントリーは、出張教室のことを書いているのだ。
写真が残っているので貼ってみる。これは書店のパソコン教室と同時期に開設したほう。

これは3年くらい後に開設したほうの出張教室。

手前に写っている銀色のパソコンはVISTAマシンである。奥の方の黒いXPマシンと、しばらく併用していた。
仕事というものは、他人が運んできてくれるものだなというのが、拙い私のビジネス体験から学んだことである。それだけに人とのつながりは大切にしなきゃならないと思うのだが、我が身を振り返ってみると反省することばかりである。
ケネディ大統領の有名な就任演説「国が自分に何をしてくれるかではなく、自分が国に何ができるかを考えよう」をもじるなら、他人が私に与えてくれたことに見合うだけのことを、私は他人に与えることができているだろうかと考えると、ただただ冷や汗が流れるだけである。
話を戻そう。しかしこうしてスタートした新教室からの収入は、心細い限りだった。
残してある帳簿を調べると、最初の半年ほどこそ、書店の教室の粗収入が月7万、出張教室の方が5万程度だったが、ほどなく書店が月2〜3万、出張教室は月1万を切るくらいまでに落ち込んだ。
世間では「ITバブルの崩壊」ということが言われていた。
しかし一方で、世のパソコン教室は増える一方だった。
考えてみれば、パソコン教室ほど新規参入が容易な事業はない。「タクシー業界は規制緩和によって参入が簡単になったから、競争が激化してタクシー運転手の生活が苦しくなった」という言説を聞くことがあるが、それでもタクシー運転手を始めようと思ったら二種免許と車を用意する必要がある。パソコン教室を一箇所開設するのに必要なコストと、どちらが多いだろうか?
2009年の9月に、気がついたら狭い市内に同業者が4件になっていたことをぼやくエントリーをアップしていた ⇒ https://watto.hatenablog.com/entry/20090919/p1
私が開設した教室は隣にショッピングセンターがあることによる集客効果を期待していたのだが、隣どころかショッピングセンターそのものの中に同業者がオープンしたのである。
それどころか、うちの市内にはショッピングセンターが二件あるが、一時期はその両方にパソコン教室が開設していた。ショッピングセンターのテナント料は決して安いものではないはずだが、どうやって捻出しているのか心底不思議だった。
二つの教室のうち一つはその後クローズしたが、もう一つは今でも営業している。
経費で大きいのは場所代だけではない。広告費の占める割合が多かった。うちの場合、新規受講者を集めるのに最も有効だったのは新聞の折り込み広告だったが、広告を一回入れるのに10万円以上の費用がかかった。
しかし折り込み広告を止めると新規受講者が集まらず、受講者数は減少の一途なのだ。
自治体の広報紙に名刺大広告を入れてもらうとか、スーパーなど人が集まりそうなところにポスターを貼ってもらうとか、折り込み広告以外のこともいろいろやってみたが、どれもたいした効果は見られなかった。
業界最大手のアビバはTVのスポットCMを流しているが、そこに勤めていたパソコン講師同業者さんから、アビバのパソコンのバージョンなど設備が古いことを嘆き、スポット広告を一本止めれば最新バージョンのパソコンが何台も買えるのにといった愚痴を聞いたことがある。私は、あれは止められないのだと思う。止めたとたんに新規受講者もばたっと止まるんだろうと想像する。
要するに、粗収入の合計が3万円程度では、諸経費を含めるとずっと大赤だったということだ。それを「副業」と呼んできた収入源から補ってきたのである。
それでもパソコン教室の方を「本業」と呼び、10年近くにわたって維持してきたのは、自分が立ち上げた事業だという思い入れがあったからと、それとささいであっても受講者さんたちにとって少しは役に立っているという自負があったからだ。
この項、次回パソコン教室を経営していました(その6:完結)で完結です。
(その1)はこちら ⇒ https://watto.hatenablog.com/entry/20141011/p1
※ はてなブログには下記新規エントリーを公開しました。
『冗弾の射手(その7)』
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