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難波江和英・内田樹『現代思想のパフォーマンス』(光文社新書)

現代思想のパフォーマンス (光文社新書)

現代思想のパフォーマンス (光文社新書)

五つ星をつけていいものだろうか?弊ブログの五つ星はいつだって独断によるものだが、この本の内容を十分消化しきっているとは言えない。いや、いいのか。
著者たちが、大学生が手軽に手に取れる現代思想のアンソロジーを目指した、という意味のことをまえがきやあとがきで書いているとおり、ソシュール、ロラン・バルト、フーコー、レヴィ=ストロース、ラカン、サイードという現代思想のものすごい面々の概説書。
高校の倫理社会の教科書や参考書を読んで哲学や思想に興味を持ち、実際にプラトンやデカルトの翻訳書を手にとってあまりの難解さに「教科書に書いてあったことと全然違うじゃないか」と絶望にも似た感情を味わったことを思い出すと、オリジナルを手に取ってみたらこの本に書かれていることとは全然違ているだろう、ということは容易に想像がつく。
だけどこの本に書かれている内容は、やっぱり十分難解である。特にフーコーやラカンが難解だった。だけとやっぱり面白いし、やっぱりもっと知りたい。
レヴィ=ストロースの章が比較的わかりやすかった。我々は二分法によって世界を認識している。例えば我々は赤い色をそのまま「赤い」と認識できると思い込んでいるが、実は「青い」や「黄色い」など「赤くない」ものが存在しなければ「赤い」を「赤い」と認識することができない。そうなのか?きっとそうなのだろう。
本書に登場する6人の中では、サイードが比較的異色のような気がした。他の人ほど根源的ではなく、何と言うのか各論的な人のような気がしたのだ。でもそうではなかった。「テクストによって形成されるオリエント」と「オリエント人が生活するオリエント」との乖離、テクストと「現実」との乖離は、やはり我々にとって根源的な問いなのだ。ちょうど「解説書」と「原典」の乖離のように…
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