しいたげられたしいたけ

選択的夫婦別姓の早期実現を求める

多谷 千香子『「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から』(岩波新書)

「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973))

「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973))

最後のアジアパー伝 文庫版』でカモちゃんハシダさんがサラエボを訪問するくだりを読んで、ボスニア紛争の何たるかを全然知らない自分に気づいた。で、読んでみた。私的五つ星につき書影つき。ただし読んで良い気分になる本ではない。むしろその対極にある本である。
ボスニア紛争は、先行するクロアチア紛争に引き続いて起こったものだそうだ。1990年に旧ユーゴスラビア連邦北部のクロアチア共和国で、「熱狂的な民族主義者として知られ」(p44)るトゥジマンが大統領に選出されると、トゥジマンは側近と家族で政権を固め、「独立国家クロアチア」の国旗を復活させ、警察やマスメディアや企業からセルビア人を追い出してクロアチア人と入れ替えたという(p45)。
これに対して、セルビア人が主力を占めるユーゴ連邦軍が送られ、戦いがエスカレートすると彼らは公然とセルビア人側について戦いだしたという(p46)。
クロアチア紛争はまずECの、続いて国連の仲介を受けて収束に向かうが、この紛争が、モスリム人44%、セルビア人31%、クロアチア人17%(p54)というモザイク状の人種構成をもつ隣国=ボスニアに飛び火する。ボスニアのセルビア人は「もしボスニアが独立してモスリム人が多数となれば、セルビア人は(クロアチアにおける状況と同様)二級市民としての辛酸をなめる」(p65)という危機感を抱いたという。
追記:(2/18)
ボスニア紛争勃発までの経緯を、自分なりにまとめて書こうとしながら、確定申告書作成の追い込みやら何やらで尻切れトンボのままになってしまいました。
拙い私の文章を読んで、興味の湧いた人には、ぜひ本書の一読をお勧めします。
結論を一言で言うと「為政者が民族主義を煽るようになったら、その国の状況は相当にヤバい!マジでヤバい!」ってことです。
その意味で、現在の日本は、かなり危ない状況まで来ているように思います。すでに多くの人が気づいていることですが。
安倍さん、小泉さん、石原さんの威勢のいい言葉には要注意です。
最後のアジアパー伝 文庫版

最後のアジアパー伝 文庫版