怖い話です。
読者登録しているとかスターをつけているとかじゃないけど、秘かに読ませてもらっているブログがいくつかあります。そのうちの一つが 北見花芽(id:KihiminHamame)さんの「うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~」です。言及失礼します。この機会にカミングアウトして、読者登録させていただきました。江戸時代の崩し字や変体仮名が読めるようになったらいいなと思いつつ、読ませていただいています。一向に読めるようになりませんが。
それはさておき、北見 さんの最新のエントリーがこちらです。桜川慈悲成という江戸時代の戯作者が書いた『変化物春遊』という絵草紙の解説です。
あらすじは、とある浪人の幼子が夜な夜な怯えて寝付かないので苦労していたが、ある夜、戸を開けて表に小便をさせていたところ、幼子が突然「父様が座頭を殺したのは、このような暗い夜だったのですね」と言い出したという怪談です。
これを読んで、即座に連想したのが、夏目漱石『夢十夜』だった。
背負った子が盲目(の人)の転生で、子に言われるままに夜道をさまよい、行き着いた先が、自分が盲目を殺したという場所だったという夢があった。第何夜だったかなと思って青空文庫を検索し、読み返していたらゾッとしてきた。夏ならまだしも冬なので、ありがたくない。
第三夜だった。青空文庫へのリンク貼ります。
北見 さんのエントリーには「『夢十夜』の元ネタ?」というブックマークコメントを投入してしまったが、あとから考えたら「座頭殺し」の話はたくさんあるんだった。その旨は、北見 さんの記事中にも記載がある。『変化物春遊』が『夢十夜』の元ネタとは限らなかったのだ。
それでは、なぜ座頭は殺されるのだろう?
二件ほど事例を思いついた。一件目は井上ひさしの戯曲『藪原検校』。前口上に「金魚池」の話が出てくる。集落のはずれの、金魚などいそうにない古池にそういう名前がついているとき、多くの場合は、辻斬りに遭って殺され棄てられた盲人の遺体が揚がったことから「検校池」→「金魚池」となまったという説。
もう一つは、最近発見されてニュースになった「日本最古の商用アニメ」こと「なまくら刀」である。刀屋で新しい刀を買った武士が、試し斬りをしようとして按摩(と飛脚)から返り討ちにされるという短編アニメだ。
ものすごく嫌な想像だが、無力で反撃される可能性の少ない盲人は、前近代の社会において、辻斬り、試し斬りの格好の対象とされていたのではないだろうか?
さらに言うと、反撃される可能性が少ないと見た相手に、辻斬り、試し斬りに等しい理不尽な暴力(言葉の暴力を含む)を加えるという傾向は、現代社会においても無くなっているとは言えないのではなかろうか?
沖縄で米軍機からの部品が落下した被害に遭った小学校に、誹謗中傷が相次いでいるというニュースや、危険運転の犯人とたまたま同じ姓だったというだけの無関係な人が社長を務める会社に、やはり誹謗中傷が殺到し一時休業まで余儀なくされたというニュースには、同種の心象の存在を感じないではいられない。この手のニュースは、数限りなくある。
愉快な想像ではない。
追記:
ブコメで「異人殺し」(または「六部殺し」)というのを教えていただきました。ありがとうございました。
ウィキペより。
あああああああっ、知らんかった!!! これは何なんだ!???
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