
- 作者: 北村薫,おーなり由子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/05/24
- メディア: 文庫
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主人公・巫(かんなぎ)弓彦は自称「名探偵」で、「名探偵」という職業を成立させるために普段はアルバイトに精を出す。この設定は好きだなぁ。一見現実味のない設定だが、世の中には「○○になるべく運命づけられた人」というのが存在するもので、うっかり「名探偵になるべく運命づけられた人」に生まれようものなら、やはりこの主人公のように振舞うしかないのかな、となんとなく強引に納得させられたような気分になる。
作風はなんとなく京極夏彦を連想した。例によって全く根拠はなく、漠然とそう感じたというだけである。物語世界に奥行きを与える陰影のような「悪意」や、よく抑制された筆遣いによって描かれるエロティシズムは、やはり北村ワールド独特のものであるのだが。
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