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岩根圀和『物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代』(中公新書)

物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代 (中公新書)

物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代 (中公新書)

中公新書の物語歴史シリーズは著者によってスタイルが全然違う(前にも同じこと書いたな)。「スペインの歴史」と銘打ちながら、本書で主に扱われる時代範囲は、カスティーリャ女王イザベルとアラゴン王フェルナンドの結婚(1469)によるスペイン王国の成立のあたりから、無敵艦隊がイギリスに敗れる(1588)までの一世紀ちょいである。
しかも全6章のうち第Ⅲ章〜第Ⅴ章では、『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスが登場して主人公のように扱われる。なおセルバンテスは、本書の続編に当たる『物語 スペインの歴史 人物篇―エル・シドからガウディまで (中公新書)』でも一章が割かれている(実はこっちを先に読んでいた)。
『史記』で、越国の記述が陶朱公と呼ばれる人物一人の伝記でほとんど占められることを、なんとなく想起した(そういう問題ではないか?)。本朝で言えば、夏目漱石一人の生涯をたどることにより、明治という時代、ひいては日本全体の歴史を概観しようというようなもので、「いいのか?」と思わずにはいられないが、だいたい一国の歴史を新書一冊分の情報量で網羅できるわけがないのであるから、まあ、いいのだろう。
物語 スペインの歴史 人物篇―エル・シドからガウディまで (中公新書)

物語 スペインの歴史 人物篇―エル・シドからガウディまで (中公新書)