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山崎敬之『テレビアニメ魂』(講談社新書)

テレビアニメ魂

テレビアニメ魂

著者は元東京ムービー社員で、30数年にわたりテレビアニメのシナリオ制作に携わってきた人。
カバー折り返しの著者紹介に並ぶアニメタイトルの一覧がすごい!『巨人の星』『怪物くん』『六法やぶれくん』『新・オバケのQ太郎』『赤胴鈴之助』『ど根性ガエル』『柔道讃歌』『はじめ人間ギャートルズ』『元祖・天才バカボン』『家なき子』『宝島』『ベルサイユのばら』『おはよう!スパンク』『じゃりン子チエ』『とんでモン・ペ』『名探偵ホームズ』『それゆけアンパンマン』など、だって。
もちろん著者一人がこれらのシナリオを一人で全部書いたというわけではなく、アニメに限らずテレビ番組の脚本は何人かでチームを組んで書くものだが、それにしてもすごいと思う。
チームと言えば、周知の通りアニメの制作はものすごく大勢の人間の人手が必要で、それだけにスタッフにすごい名前が並ぶこともある。例えば著者がシナリオを担当した作品ではないが『ビッグX』は、原作・手塚治虫、音楽・冨田勲、主題歌作詩・谷川俊太郎、それに脚本作者には筒井康隆、平井和正が名を連ねていたと言うし(p41)、東映動画作品の『長靴をはいた猫』は監督・矢吹公郎、脚本が井上ひさし&山下護久で、作画担当は宮崎駿とのこと(p155)。へぇ。
で、実は私自身『巨人の星』をリアルタイムで観ていた世代なのだが、実はこのアニメが大っ嫌いなのである。成人してから原作のマンガを読んでみたのだが、アニメほどには嫌らしくなかった。本書によると長浜忠夫という監督が「オーバーリアリズム」なるドラマツルギー(演劇理論)を導入して、あの独特の非現実的な世界を作り上げたらしい。原作者の梶原一騎は「アニメと原作は、まったく別の作品である」(p14)と言ってアニメにはノータッチだったそうである。そんなこんなで本書に登場する梶原は、けっこういい人という印象を与えるが、例えば斎藤貴男の『夕やけを見ていた男―評伝 梶原一騎』なんかを読むと、これがまたとんでもねー暴力男だったりするのである。
夕やけを見ていた男―評伝 梶原一騎

夕やけを見ていた男―評伝 梶原一騎