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2年前の「日韓1人当たりGDPが2年後に逆転?」という予言が当たったかも知れないが嬉しくない

セカイハブさんの2月半ばの記事に、こんなものがあった。私が気づいて読んだのは4月になってからだったが。

sekai-hub.com

この記事によると、IMF(国際通貨基金)2024予測で日本の1人当たり名目GDPが台湾・韓国を下回る世界38位までランクダウンするとのことだった。

セカイハブさん記事中の表より、台湾・韓国・日本の部分だけを抜き出す。スペース節約のため項目名は短くしています。名目GDP/人の単位は米ドルです。

順位 国・地域 名目GDP/人 成長率
34 台湾 34,432 6.1%
35 韓国 34,165 2.9%
38 日本 33,138 -2.0%

上掲記事より

 

思い返すと2年弱前に、コロナ禍に関連してこんな拙記事を書いたことがあったのだった。

www.watto.nagoya

日韓逆転の根拠は経済成長率の差を用いた単なる線形近似だったし、経済成長率の差9%というのが現実味のない数字だと思った。だから決して当てに行ったつもりはなかった。もちろん当たっても嬉しくない。

 

ちなみに20年8月8日付拙記事で引用した「世界経済のネタ帳」さんのグラフをチェックしたところ、やはりIMF予測が盛り込まれていた。予測値の部分は点線で表示されている。

一人当たりの名目GDP(USドル)の推移(1980~2024年) (韓国, 日本) より

 

日台のグラフも。2年前は、台湾に抜かれるのはもうちょっと先と思ったけど。

一人当たりの名目GDP(USドル)の推移(1980~2024年) (台湾, 日本) より

 

なお1人当たりではないGDPは、やはりIMFによると2025年にインドに抜かれると予測されるとのことだった。

www.jiji.com

時事ドットコム記事中のグラフを見ると、インドのみならず英国にも抜かれそうだなぁ…

 

とは言うものの、一人あたりGDPで韓国や台湾に抜かれようが国全体のGDPがインドや英国に抜かれようが、生活が苦しくなったという体感がなければ問題は小さい。

そうではなく、物価上昇が生活のあらゆる局面で実感させられることが、つらいのだ。日本はエネルギーや食糧、そして工業製品の原材料の多くを輸入に頼っているから、当然の帰結ではあろうが。

 

しかし、なんで円安がこんなに急激に進行しているのだろう? もちろん複合的な要因があるに違いないが、個人的にわかりやすいと思ったのは 経済学101 さんが note で提供してくださった ノア・スミス 氏による、この記事かなぁ。

note.com

日本の名目金利は、米国はじめ他国に比べて際立って低いそうだ。金利は高い方に流れる。日本が低金利政策を継続する限り、円安は止まらない。

上掲 note より名目金利(interest rate)のグラフを引用します。左端が日本、右端が米国です。

上掲noteより

ノア・スミス氏記事によると、しかし実際に考慮しなければならないのは名目金利ではなく物価上昇を反映した実質金利であり、日本はこれまで長らくデフレで物価上昇率がゼロに近かったため、名目金利と実質金利の差は小さかった。しかし2021年から日本も(「小幅だった」としながらも)インフレが始まった。他国は積極的な利上げでインフレに対応しているが、日本はそれを行っていないとのことだった。

 

私の経済学の知識は皆無に等しいが、それでも円安と低金利には密接な関係があることは、わかるような気がした。

 

以下、ノア・スミス氏記事には書かれていないことである。他国では賃上げと物価上昇そして利上げの、いわゆる「好循環」が起きているのだろう。日本の場合はどうか? 確かに今年の春闘では、大企業を中心とする連合加盟の組合が5%前後の大幅賃上げを獲得したことが報道された。だがその効果は、日本の被雇用者の7割を占める中小企業に波及していると言えるだろうか?

「はてな」の人気ブロガーフミコ・フミオさんのこの記事が、サンプル数1とは言え実情をつぶさに物語っているように思われたので、引用をお許しください。通知お騒がせします。

delete-all.hatenablog.com

もし金利上昇と物価上昇がリンクしているのであれば、中央銀行すなわち日銀は安易にゼロ金利からの脱却を図れないことになる。7割の中小企業労働者、それに年金生活者や生活保護・障害年金などで生活している人たちが、さらに困窮することにつながりかねない。

金利を上げるのもまずくて、上げないのもまずいとしたら、自縄自縛、にっちもさっちも行かないではないか? どうしたらいいんだろう?

 

円安は悪いことばかりではなく、輸出産業にメリットがあることも広く知られている。しかし輸出で潤う最終製品を作っているのは主に大企業であり、サプライチェーンの下流にある多数の主に中小企業は、力関係により恩恵が受けづらい状態が続いていそうだ。

つまり円安は、大企業の従業員とその他の層での日本社会の分断を、ますます進行させるという問題も作っているのではないか。日本社会の分断は、ネットでよく言われる「高齢者と若年者」の間で深刻なのではない。高齢者の困窮は、若年者の困窮に劣らず悲惨である。

 

このあたりの私の認識は間違っている可能性があるので、もし間違っていたら何らかの方法でご指摘いただければ幸いです。その際には、できるだけシロウトにもわかりやすい説明をお願いします。

 

他にもいろいろ思うところはあるが、話題がズレるのを承知で2年前の拙記事に関連して1点だけ、国が新型コロナウイルス感染者数を発表しなくなって以降も、モデルナ社さんが独自に集計・公表しているサイトを見つけたので、ブログカードを貼る。コロナ禍は、依然、過去のものにはなっていないのだ。

moderna-epi-report.jp

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