しいたげられたしいたけ

選択的夫婦別姓の早期実現を求める

S.レヴィット、S.ダブナー、(訳)望月衛『ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する』(東洋経済新報社)

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

  • 作者: スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー,望月衛
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2006/04/28
  • メディア: 単行本
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評判が高かったので読んでみた。前半を読み始めた頃は「こりゃ面白そうだ。五つ星間違いなしかな?」と思ったが、中盤から後半にかけて、なんだか尻すぼみな気がした。
多くの書評は、本書第1章の「日本の大相撲の八百長システムと、米国の教師のインチキの相似点」あたりから入っている。大相撲の千秋楽八勝七敗のマジックは周知。米国の教師のインチキというのは、ブッシュ政権による「一人も落ちこぼれさせない(no child let behind)法」という法律の成立を受けて、全米の小中学校が毎年標準テストを課され、成績が悪かった学校は責任を求められることになったため、マークシートを改ざんして点数を水増ししようとする先生が現れたことを指す(本書p31〜)。
ところが、人為的に改ざんされたマークシートは、特定の箇所に正解が連続して現れるなど明らかな特徴があるので、人の目はごまかせてもコンピュータの力を借りてその気になって探せば、簡単に発見できるのだそうだ(本書p38〜39)。
各章でこうしたテーマが一つか二つずつ紹介されるのだが、「教養ある英語国民」特有の持って回った言い回しと妙にノリのいい翻訳文があいまって、どうにも回りくどいというかまどろっこしいというか、もっと簡単に結論が言えるだうに、という感想を抱かずにはいられない。
例えば最終章の第6章は子どもの名前の付け方に関する「豊かな親v.s.貧しい親」、「教育を受けた期間の長い親v.s.短い親」、「白人の親v.s.黒人の親」などの特徴の抽出だが、私のような英語を母国語としない読者にとっては、わからないというかどうでもいいことである。日本で言うなら「DQNな親の子どもの名付け方」だろうか?ならば http://dqname.selfip.net/ を見ればよい。
あと、第2章で出てくるKKK撲滅法というのが少し面白かったかも知れない。

 ケネディ(KKK撲滅運動の仕掛け人。有名な大統領とは別人)はこの使命を託すのに願ってもないメガフォンを見つけた。ラジオ番組『スーパーマンの冒険』だ。毎晩ご飯どきに放送され、全国で何百万人が聞いていた。彼は番組のプロデューサーに接触してKKKの出てくるエピソードを書く気はないかと尋ねてみた。プロデューサーたちは飛びついてきた。スーパーマンはもう何年もヒトラーやムッソリーニやヒロヒトと戦ってきたが、戦争が終わったので新しい悪者が必要だった。

(本書p77)
そしてスーパーマンのラジオドラマでは、KKK内部で実際に使われている合言葉や符丁など、様々な内部情報が流されたという(蛇足ながら、日本国内では翻訳などの際にフィルタがかけられて案外知られていないが、海外では昭和天皇が徹底的にカリカチュアライズされ似顔絵なども描かれ笑いものにされてきた)。
これは日本で言うなら、一時期某2ちゃんねるで「創価学会の折伏よけには、学会員の間では池田大作名誉会長が日蓮上人の転生だということが上級学会員にしか知らされないトップシークレット扱いなんだってね、と言ってやると効果的」というような意味のコピペが大量に出回ったようなものだろうか?テレビ放送が始まる前の『スーパーマン』のラジオドラマと、某巨大匿名掲示板では、国民の寄せる信頼は天と地の差だということは置いといて…
つまるところ、本書は「経済学」の本というよりは、統計学の手法を使って、アメリカ文化を評論した本のようである。
各章の扉に、著者ヨイショの雑誌記事が引用されているのも、なんだか興ざめである。
どうでもいいけど、今日は私もけっこうヤバいことを書いている(^^;