東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』小学館
- 作者: 東川篤哉
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/02
- メディア: 単行本
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でも、悪くないじゃないか。
もはや周知となった本シリーズの売りは、令嬢刑事に仕える執事の毒舌で、
「お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」(p26)
「ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか?」(p75)
「それでもお嬢様はプロの刑事でございますか。正直、ズブの素人よりレベルが低くていらっしゃいます」(p113)
という決めゼリフに実際に直面するたびに、フワ〜ッと高揚を感じた。「謎が解けた」という宣言であると同時に、これは実は読者に対する挑戦状でもあるんだよね。ただし「ようし、受けて立ってやろうじゃないか!」と身構えて読み進めると、実は後半では影をひそめるのであるが(「2」は未読だけど、人気を受けて復活してるのかな?)。
もちろん突っ込みどころは満載で、確か黒岩徹『イギリス式人生 (岩波新書)』で読んだんだっけな、本場の執事の「自分の殺し方」は芸術の域だと思ったことがある。すごいんだよ。手元に本がないんでうろ覚えなんだけど、イギリスには「執事学校」というのがあって、「主人が本妻でない愛人と一緒にいるときは、愛人はいないものとして振る舞う。愛人から命令されても一切無視するが、同じことを主人から命じられたらただちに従う」とか教わるらしい。もとより私が本物の執事を知ってるわけがないが。
また人がバッタバッタと殺されるが、深刻さがまるでないという軽さは、赤川次郎をちょっと思い出した。この本が描き出す世界と赤川ワールドは、やっぱり別のものなんだけど。
折しもドラマ化をフジテレビがやっているというので、TVドラマはもう何年も観たことなかったが、気まぐれでちょっと点けてみた。
感想「フジテレビは未だにバブルをやっていたのか…」
- 作者: 黒岩徹
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/04/21
- メディア: 新書
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