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【創作】転生したら親鸞だった?(22)第6景【鎌倉編】被差別集落(4/4)

暫定目次 各「その1」のみ クリックで詳細表示

(1) 第1景【現代編】猪飼家のマンションにて(1/6)

(7) 第2景【鎌倉編】車借・捨六(1/6)

(13) 第3景【鎌倉編】馬借・欠七(1/2)

(15) 第4景【現代編】個室病棟にて(1/2)

(17) 第5景【鎌倉編】ボクの無双(1/2)

(19) 第6景【鎌倉編】被差別集落(1/4)

(23) 第7景【鎌倉編】霊感商法(その1)

新着お目汚しを避けるため、日付をさかのぼって公開しています。体裁にこだわらず頭の中にあるものをダンブしている、という意味です。 あとからどんどん手を入れる予定です。前回はこちら。

watto.hatenablog.com

 

(主人公「ボク」による語り)

こんにちは。今日も多くの人に集まっていただいて、ありがとうございます。

昨日までは、夜中の紫雲寺の本堂での語りに追いつくため、1日2本立てでお話をしてきましたが、今日からはようやく昼と夜で同じ話ができるようになりました。えっ、ずっと2話ずつ聞きたい? ボクの体力が持たないから、それは勘弁してください。

今日は『阿闍世王授決経』から、「貧者の一灯」の続きの「園丁散華」というお話をさせていただきます。昨日の物語ほど有名ではありませんが『阿闍世王授決経』を3回に分けた2回目です。

 

ある日、阿闍世王は、またお釈迦さま一行を王宮に招きました。王宮を飾るため、前夜に庭園の管理者に、翌朝咲いたよい花を持ってくるよう命令しました。

お釈迦さまは早朝に祇園精舎を出発して、道中、人々の相談を受けては説法をしながら、ゆっくりと王宮に向かいました。お釈迦さまにとっては、国王も人民も区別はなかったのです。そして日が高くなった頃に、王宮に着きました。

 

園丁の一人が摘んだ花を抱えて庭園を出るとき、ちょうど大道を歩むお釈迦さまに出会いました。園丁はお釈迦さまの説法を聞いて心が喜びに満たされ、感動のあまり持っていた花をすべてお釈迦さまに捧げました。

不思議なことに花々は、お釈迦さまを飾り立てるようにお釈迦さまの頭上に浮揚しました。

お釈迦さまは園丁に言いました「あなたは過去に90億の仏を供養してきました。これより140劫の後、あなたは覚華如来という仏になるでしょう」

すなわち園丁は、授決を受けたのです! 繰り返しますが授決とは、将来生において仏になるという予言です。

 

彼は喜び、体が軽くなって地上から虚空に百八十丈も跳び上がり、そして地上に戻ってお釈迦さまを礼拝しました。

だがすぐに我に返ると、「王さまの性格は大変厳しいので、昨夜、斎戒して持って来いと命じられた花を勝手にお釈迦さまに供えてしまって、手ぶらで行ってそのことを知られたら、私は必ず殺されるだろう」と考えました。

そこで家に帰って空箱を戸外に置き、「私はまだ朝食を食べていない。しかし王は私を殺そうとしている。今生の名残りだ。どうか急いで朝食を用意してくれ」と妻に言いました。


それを聞いた妻は大いに驚いて、「どうして王さまに殺されなければならないのですか?」と尋ねました。園丁がてんまつを説明すると、妻は急いで食事を用意しました。

その間に帝釈天が現れ、空箱に天の花を満たしました。帝釈天は彼の行為を見ていたのです。

食事を持った妻が戸外を見ると、光りかがやく見たことのない色の花が、箱に満たされているのを見つけ、夫を呼びました。

夫は「これは天の花だ」と大いに喜びました。そして食事を中止し、花を持って王宮に行きました。


そこで、ちょうどお釈迦さまを出迎えようとしていた王さまに出会いました。王さまはたいへん美しく世にも稀な花々を見て驚き、「わが庭園にこんな美しい花が咲いていたのに、これまでなぜ供出しなかったのか? その罪は死罪に当たるのを知らないのか?」と園丁を詰問しました。

園丁は言いました「たしかに王さまの庭園に、このような花はありません。私は早朝にお釈迦さまに出会い、歓喜に堪えず、お釈迦さまの頭上に散華してしまいました。するとお釈迦さまは、私に授決してくださいました。ですが王さまの花を私した罪で殺されることはわかっていたので、家に帰って最後の食事をしようとしていると、空箱の中に花が現れたのです。これらの花は天上の花に違いありません。私は卑賤の生まれで、王さまのために庭園の管理を任され、官の制約のため仏道の修行ができませんでした。しかし授決をいただいた以上、死ぬことは何でもありません。必ず天上に生まれ、十方の仏の前で自由に仏道を修行できるからです。だから王さまが私を殺しても、いたしかたのないことです」

授決の次第を聞いた王さまは、慚愧の念を生じ鳥肌を立て、園丁にひざまづいて詫びました。お釈迦さまは王宮に到着し、饗応を受け、王さまと国民のためお祈りをして立ち去ったということです。

(この項続く)

※ リアル作者注。

元ネタの原文・出典などは、この拙過去記事中に書いてあります。

watto.hatenablog.com

追記:続きです。

watto.hatenablog.com

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