しいたげられたしいたけ

弊ブログでいう「知的」云々は「体を動かさない」程の意味で「知能の優劣」のような含意は一切ない

ミステリをもう1冊

東川篤哉謎解きはディナーのあとで小学館

謎解きはディナーのあとで

謎解きはディナーのあとで

長引くというより常態化した出版不況の中で180万部超を売っているベストセラーというので、読んでみた。昨日のエントリーで「伏線を拾い集めて消去法なども使って犯人捜しのための犯人捜しをさせるミステリは好きじゃない」と書いたが、本書はそういうタイプのミステリに該当すると思う。
でも、悪くないじゃないか。
もはや周知となった本シリーズの売りは、令嬢刑事に仕える執事の毒舌で、
「お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」(p26)
「ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか?」(p75)
「それでもお嬢様はプロの刑事でございますか。正直、ズブの素人よりレベルが低くていらっしゃいます」(p113)
という決めゼリフに実際に直面するたびに、フワ〜ッと高揚を感じた。「謎が解けた」という宣言であると同時に、これは実は読者に対する挑戦状でもあるんだよね。ただし「ようし、受けて立ってやろうじゃないか!」と身構えて読み進めると、実は後半では影をひそめるのであるが(「2」は未読だけど、人気を受けて復活してるのかな?)。
もちろん突っ込みどころは満載で、確か黒岩徹『イギリス式人生 (岩波新書)』で読んだんだっけな、本場の執事の「自分の殺し方」は芸術の域だと思ったことがある。すごいんだよ。手元に本がないんでうろ覚えなんだけど、イギリスには「執事学校」というのがあって、「主人が本妻でない愛人と一緒にいるときは、愛人はいないものとして振る舞う。愛人から命令されても一切無視するが、同じことを主人から命じられたらただちに従う」とか教わるらしい。もとより私が本物の執事を知ってるわけがないが。
また人がバッタバッタと殺されるが、深刻さがまるでないという軽さは、赤川次郎をちょっと思い出した。この本が描き出す世界と赤川ワールドは、やっぱり別のものなんだけど。
折しもドラマ化をフジテレビがやっているというので、TVドラマはもう何年も観たことなかったが、気まぐれでちょっと点けてみた。
感想「フジテレビは未だにバブルをやっていたのか…」