しいたげられたしいたけ

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安易にゲットした副業は失うのも一瞬であること、また失敗した二冊目の書籍企画について

最近ここ一ヶ月ばかり、「ブログには失敗こそ記すべきだ」と何度か繰り返しているものの、あまり実行しているとは言えない。成功より失敗を言語化して客観視する方が本人にとっても学べることは多いし、他人にとっても読んでいて面白いはずなのだが。

面白いというと申し訳ないけど、おさっぴろ (id:osappiro)さんの中国ビジネスにおける失敗譚、苦心譚は、抜群に面白い。最近だと

www.osappiro.com

とか、

www.osappiro.com

とか、読んでいる方もタマヒュンものである。

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「失敗」と書いてしまったが、またご本人は「失敗」と書かれているが、いずれも不可抗力に近く、万全に近い注意を払っていなければ、予防できたものではなかったと思う。また、自分の拙い経験に照らしても、ビジネスというものはトラブルにいかに対処するかこそがキモであり、トラブルがなかったら AI にでもやらせておけばいいのである。おさっぴろ さんは、抜群に有能なビジネスパーソンだと思う。

おさっぴろ さんのエントリーに比べると、私がこれから述べる失敗譚は、面白さにおいては遙かに及ばないと思うが、書籍の企画持ち込みを二度目に失敗したときのことも書くと、以前のエントリーに書いてしまったので、おつきあい願いたい。

まずは副業の話から。以前に、こんなエントリーを書いたことがある。

www.watto.nagoya

もう少し詳しく書くと、愛知県内の某私大での、学生に向けた資格対策講座の講師を仰せつかったのである。

元をたどると、パソコン教室を開業したときにさかのぼる。とにかく客先を開拓せねばと、経験ないのに営業のまねごとをして、あちこちの会社や団体におじゃましたりしていた。そのうちの一件に人材派遣会社みたいなところがあって、そこの社員が独立して自分で派遣会社を起こした。登録人数を増やしたいから協力してくれみたいなことを言われて、あんまり期待はしなかったが損になることもなかろうとエントリーしてみたのである。

そうしたら、果たして仕事が回ってきた! しかもちょうど閑散期に!

仕事の内容と言うのは、前述の通り短期コースの資格対策講座だった。東京に本社のある教材会社が、伝手あってそういう仕事のあっせんもやっているとのことだった。多重下請けになることが引っ掛からないでもなかったが、時給もまあまあ悪くなかったし、向こうから転がり込んで来た仕事に贅沢は言えない。

資格というのは、コンピュータ関係の国家資格である。というと一つしかないけど、区分がやたらと多いアレである。そのうちの一番合格率の高い区分を、担当した。知ってる大学の先生の中には「あんな資格を取っても評価されません」とはっきり言う人まで実在するが、これに関しては大いに異議のあるところである。コンピュータの非専門家と、コンピュータを職業にしている人をつなぐという意味で、大いに社会的意義があると思っている。相手に直接は言ってないけど。

スロースターターだが、一旦のめり込むと熱中するタチである。その資格の過去問題は、官庁の外郭団体のホームページからダウンロードできる。ただしpdfでパスワードロックがかかっている。そこで、OCRを使ってテキスト化し、データベース化した。

データベース化とは、使用テキストに説明があるページに関連づけ、整列可能にしたというほどの意味である。資格対策講座で使用するテキストは、東京の教材会社から指定があった。たぶん出版社とコネがあるのだろうと想像した。

区分がたびたび改変される試験なので、その区分自体の歴史はさして長くない。ほどなく公開済み過去問すべての、テキスト化とデータベース化が完了した。

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資格対策講座を何期かやっているうちに、これをテキストに対応した問題集にできないかと思いついた。過去問集を出している出版社は何社かあるが、いずれも年次順、問題番号順で、テキストのページに従って過去問をソートした問題集を出している出版社は、調べた限り見当たらなかった。

テキストは毎年、改訂されるが、内容はそんなに極端に変更されるわけではない。関連付けたページをまとめて置換することは、毎年やっていることだ。なんなら置換マクロを自作してもいい。

そして、原稿が完成したら『ウミガメのスープ』を出した時の要領で、企画書を書いて出版社に持ち込むのだ。仮に資格対策講座で使っているテキストを出している出版社から断られても、同じ資格区分に対応する参考書を出している出版社は、何社もある。参考書を出していて問題集を出していない出版社のうち、一社くらいは興味を示してくれるんじゃないかということも期待したのだ。

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いつも私の悪いところは、やることが遅いことだ。アイデアを思いついたのはいいが、実行に時間がかかった。一冊分の草稿を完成させるのに、何年かかかってしまった。

草稿を一旦完成させてしまえば、毎年新しく発表される問題を追加することと、テキストのページ変更に従って置換することは、楽ではないがゼロから草稿を書き直すほどではない。それに資格対策講座を運用する上で、どちらもどうせやらなければならないことだ。

しかし、想定外の別の環境が変わった。

東京の教材会社の、担当者が変わったのだ。これまでの担当者が定年退職し、別の人が担当になった。

これまでの担当者は、おそらく講師派遣というビジネスを立ち上げた人だったのだろう。うまく表現できないが、熱意があったのだ。大学側の職員と面会するときに、手土産の紙袋を下げていたり。

しかし次の担当者は、やはり定年が近い人であったが、そして決して人当たりが悪い人ではなかったのだが、前任者ほどの熱意が感じられなかった。漏れ聞いたところによると、講師派遣ビジネスが思ったほど利益を上げられなかったという事情も、あったらしい。中抜きをどれだけやっていたかは知らないが。

こんなこともあった。私が担当しているコースのほかに、他の業者が担当しているコースがもう一つあった。合格率は、私が担当しているコースの方が高かった。毎年、新規に発表される問題を取り込んだり、他にもここに書かなかった工夫をいくつかしていたから、その成果が上がったと自負している。

大学の側から、両方のコースをうちに任せようかと打診があったらしい。新しい担当者から、そう聞いた。こちらは鵜の目鷹の目である。次に会ったときに「あの件はどうなりましたか?」と尋ねてみた。そうしたら担当者からは「そうなったとしても、先の事ですよ」と笑ってかわされた。

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前述の草稿は、まずはその担当者に託してみた。どこの馬の骨かわからぬ人間から持ち込まれた企画より、付き合いがある会社から持ち込まれた企画の方が、検討の対象となる可能性は高いに違いないと考えたからだ。

当然のように、音沙汰がなかった。

仕方がないので、出版社宛に郵送してみた。

しばらくして、丁寧な断りの手紙と、献本として新年次の新刊が一冊、送られてきた。

断られることは想定内だったので、心の準備はできていたからダメージは大きくなかった。むしろ新刊を一冊もらえたことを、嬉しく感じた。他社のテキストに合わせて、ページ置換作業をしなきゃと思った。ただし私はやることが遅いので、結局手をつけなかった。

それが1年前の出来事。資格対策講座がまだ継続していたので、プライバシー自衛ということで、ブログには書かなかった。

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今年の資格対策講座がスタートする少し前に、担当者から連絡が来た。今年度は、受講希望者が最少開講人数に達しなかったので講座は開講しない。来年以降は、他の安い業者に委託するのでうちでは開講しない、とのことだった。

大学生の就職状況が改善しているとのことなので、受講者数が減ったのは仕方ないとして、せっかくの講座の枠をあっさり他の業者に渡すって、どういうことなのくらいは言いたい。

しかし、そういう粘り腰の期待できる人ではなかったことは、ありありとわかるのである。

苦労せずにゲットした副業は、失うのも一瞬であるということか。

講座がなくなったものだから、草稿に手を入れる意欲も、きれいさっぱり消えてしまった。

講座が原資で、草稿は派生物だった。原資がなくなったのだから、文字通りの元も子もないというやつである。

これまでやらなかった独自ドメインの導入や Google Serch Console のメンテナンスを、今になってやったのは、そんなで時間ができたからである。想定外と書いたものの、実は資格対策講座の維持が怪しいなということは、以前からもうすうす感じていた。だから何か次の手を考えなきゃというふうには、少し前から考えていた。現在進行中の特許取得も、その一つである。

これまでの人生を振り返ってみると、老朽化した吊り橋を渡っているようなもので、直前に踏んでいた橋板が、足を上げた途端に次々と谷底に落ちていくのを見てきたような気がする。

まだ一度もネタにしてないけど、すごいのも持ってるんだぞ。某有名企業がいよいよ精算というニュースになったら、ネタにします。

だからこそ、常に先のこと先のことを考えて動かなきゃいけないと思っているのだが、やることが遅いという持って生まれた性格は、なんとしても直らないのである。

アイキャッチ画像は いらすとや さんからお借りしました。

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