🍉しいたげられたしいたけ

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イアン・スチュアート 吉永良正(訳)『自然の中に隠された数字』(草思社)

自然の中に隠された数学 (サイエンス・マスターズ)

自然の中に隠された数学 (サイエンス・マスターズ)

著名な数学者が書いた数式の出てこない応用数学の解説書…とは言うものの第1章で出てくる「ほぼすべての花について、花弁の数は3、5、8、13、21、34…という数列のいずれか一つ」(p15)の謎解きをおこなう最終章の第9章で初等的な数式が、ほんのいくつか縦書きの中に埋め込まれて登場するが(p206)。なお著者は応用数学という用語はお好みではないそうです(p34)。
ニュートン時代から現代に至る応用数学の成果が、さまざまな実例を示して紹介されている。とくにp39〜42で紹介される「目の進化のコンピュータ・シミュレーション」は印象的。細胞が平らに並ぶモデルから始めて、ランダムな「突然変異」を与え性能が向上する方向に適者選択をおこなうと、実時間で40万年(「生物進化においては、まばたきするほどの年数」だそうです)に相当するステップの経過後には、細胞は球状にくぼみ虹彩に相当する開口部とレンズ(!)までが出現するという。
「これはあの式のことを言っているのだな」と大学で履修した数式を思い出せるところでは思い出しながら読むのだが、読み進んで説明される数学の内容が高度になるに従ってどこかで数式が思いつかなくなると、いかにももどかしい隔靴掻痒感に襲われ「もうちょっと数学を勉強しなくちゃ」という気になる。訳者あとがきによると著者の提示する話題は最先端の「複雑系」の成果にまで及ぶということで、いまさら勉強したってそこまで追いつけるはずはないのだけど、まあこの手の本を読むたびに「数学をもっと勉強しなくては」(数学に限らないけど)という動機付けにはなってくれる。
追記:(4/18)
カトキ立ち」も自然の中に隠された数学ですな。
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