この本もずいぶん売れているみたいなのだが、著者はマーケットリサーチなどをやっている人で、内容は首都圏四都県に住む数百人から数千人程度を対象に行った調査のデータがずらりと並ぶ。こういう本が話題になったのは、タイトルのつけ方がうまかったからだろう。どこぞやのお役所は「日本社会の格差の拡大は確認できない」なんて断言してくれちゃっているが、調査結果のデータを並べると、おのずと特徴は浮かび上がるものだ。もちろんナマのデータからどのような特徴を抽出するかは、分析する人によって違うだろうし、著者の出す結論の全部に賛同できるわけではないが、例えばいわゆる「下流」は結婚することも困難な時代になっていることを、みごとなS字カーブを描くグラフとともに示されると(p124)、さすがにうなってしまう。