- 作者: 清水義範
- 出版社/メーカー: 講談社
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しかし本書に対しては私は感心しない。国語というもののエッセンスは意志伝達であり、よい文章とは伝えるべき内容を過不足なく伝える文章のことであり、内容を離れてよい文章というものがありえないということを私は丸谷才一氏の『文章読本 (中公文庫)』から学んで金科玉条にしている。清水氏は本書で十和田湖でのヒメマスの養殖や『走れメロス』を読ませる国語は奇妙な教科で、おそらく最も試験勉強のやりにくい教科だという意味のことを書いているが(p14)、丸谷氏の主張を踏まえれば、不思議でもなんでもない。いや後半には賛同だけど。
特に不満が残るのはタイトルで、「あとがき」によれば『国語というのはこんなに間口が広くて、奥行きが深い学問であったことが「はじめて」わかるでしょうという意味なのだ』そうだが(p347)、だったらせめて「初めてわかる」とでも表記してくれればいいものを、「はじめて」とひらがなで書いたら例えば「(勉強か何かを)始めてわかる」とか別の意味に解釈できる可能性も残るではないか!?あいまいさを残す文章はいい文章とは言えないし、ましてや国語を扱った書物のタイトルとしてはふさわしくないと思うのである。
- 作者: 清水義範
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- 作者: 丸谷才一
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