
- 作者: 野矢茂樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 新書
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全体の前半5分の4ぐらいは、命題論理の公理系を構築することに費やしているんだけど、やさしい日常語を使って、「なぜこういう公理が必要なのか?」「こういう公理を導入しないとどうなるのか?」を丁寧に説明してくれている。そもそも「公理系」という言葉が初めて登場するのが、巻の3分の2を過ぎたあたりのp171なのだ(そう言えば新書本には珍しく、本書には索引が付いている。新書でも文庫でも、索引は付けてほしいものだ)。
ラスト5分の1は、アリストテレスの古典論理学の流れを汲む術語論理の概説に充てられている。恥ずかしながら私は、術語論理に関する自分の理解がまるで不十分だったことを、本書をひもといてようやく気づかされた。従ってフレーゲの偉大さも、「不完全性定理」に先立つゲーデルの偉業「完全性定理」の価値も、実のところまるでわかってはいなかったのだ。
実は平行して別に読んでいる本があって、読破したら本ブログにも書くつもりだが、大学時代以来ン十年、数学上のある概念を、ずっと誤解していたことに、やっと気づいたということが、やはり最近あった。情けない。いや、そういうことはあるもので、だからこそ、いくつになっても勉強するべきということだろうが。