5月は日記の更新がボロボロだったが、実はけっこう本を読む時間はあったのだ。
パソコンを何台もリカバリかけてる間、本でも読むくらいしか、やることがなかったのである。
この間に読破した本には『浄土三部経〈上〉無量寿経 (岩波文庫)』『浄土三部経〈下〉観無量寿経・阿弥陀経 (岩波文庫)』なんてのも含まれる(あれが読破と言えるのならば、だが)。これらの驚くべきっつ〜か何つ〜かな内容については、時間のある時にじっくり書いてみたい。
- 作者: 中村元,紀野一義,早島鏡正
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1990/08/16
- メディア: 文庫
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- 作者: 中村元,紀野一義,早島鏡正
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1990/12/17
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鴨志田穣『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』(スターツ出版)
- 作者: 鴨志田穣
- 出版社/メーカー: スターツ出版
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本
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それにしても、内臓をボロボロにやられ、おかゆのみの入院食を強制される主人公が憧れるカレーライスの記述の、なんと美味そうなことか!これを読んでしばらくは、カレーばっかり食っていた気がする。
それにしても、本書に登場する「元妻」の、なんと魅力的なことか。
元妻は腕をまくって時計を見た。
「そろそろ帰らないと、仕事も残ってるし、すぐに子どもたちの夕食の時間になっちゃうから、さっ、お父さんにチューして」
下の娘は口をとがらせ笑顔でチュッとキスをしてくれた。長男は「僕は男だからしない」と言い残して部屋を走って出て行った。
今まで目を三角にしてとげとげしい態度だった元妻が、子どもたちに見られたくなかったのだろう、二人の姿が見えなくなると、そっと手を握りしめてきた。手のひらは柔らかく温かかった。
「がんばって、退院できたら断酒しましょうね」
か細い声でそうつぶやいたかと思うと顔を近づけ、ゆっくりと唇を重ねてきた。
チューブまみれで不自由な両手を、彼女の背中に回す。
長い口づけの後、自然に口から「ごめん」という言葉がもれた。
恥ずかしかったのか、我に返った元妻は、
「おどれが全部悪いんじゃ」
うっすらと笑いながら部屋を後にした。
(p29〜30)
しかし、本書の読みどころは、p213の最後の一行に続く、著者が自らの半生を振り返って簡潔にまとめたとおぼしき末尾の13pである。p213の一行というのは、ネタバレになるので文字色を白にして引用する。読みたい方は自己責任で。
「俺、癌だって。持って一年だって」
泣いた。ボロボロ泣いた。
- 作者: 中島らも
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/03/04
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