私が実社会において所持している権力ならびに財力は吹けば飛ぶような微々たるものであるが、ビジネスシーンというのは面白いもので、ごくまれにではあるが、こちらが相手の生殺与奪の権を一手に握るようなシチュエーションになることもありうる。
今日がまさにそのような状況であった。相手はハタチそこそこの若い男である。こういう時には生来の根性極悪さを爆裂させるのが常である。
だいたい自分がその年齢の頃のことを思い出してみると、実務においてはゴミのように無力であった。自分で自分が「ちっとは使い物になるかな?」と思えるようになったのは、ようやく30前後になってのことであった。他人から見たら、未だに使い物にならないと思われているやも知れぬ(ほっとけや!)。
メールで送信を依頼している何件かのデータを、いつまでたっても送ってこない相手であった。しびれを切らして呼びつけて、ノートパソコンを持参し目の前でデータを作成するよう言いつけた。
相手は素直にこちらの要請に従った。しかしなんだか話がかみ合わない。相手が言うには、私が以前、データ作成に必要なオンラインソフトがあればダウンロードサイトを教えるのでメールで問い合わせるようにと言ったので、メールしたのだが返事が来ないとのこと。
確かにそう言った記憶はあるが、問い合わせのメールは受け取っていない。おかしいと思ってノートパソコンを見せてもらうと、あるある、データファイルの添付されたメールも、問い合わせのメールも、送信済みフォルダに保存されている。それら全てが、ものの見事に私のメアドを間違えているではないか!
「デーモンさんから返事がなかったか?」と訊ねると、よくわからない返事。受信メールフォルダを調べると、きっちりメールサーバーからのエラーメッセージが保存されている。
「これは何だ?」と問い詰めると、私が以前に送信したメッセージに返信したらこうなったと主張する。そんなはずはないだろう、こちらは週に300通からのメールを受信しているが、返信用メアドが間違っているという苦情は聞いたことがない。だいたい最初にメールアカウントを設定したときに、自分自身宛に送信し自分自身宛に返信して設定に間違いがないか確認するのは定石である。
それでも自宅に戻って念のためメーラの返信アドレスを確認する気弱な私。やっぱり間違ってないじゃないか!そもそもデーモンさんの返信を無視していた時点で話にならない。見当はずれな、しかも自分のミスを相手のせいにするような言い訳を、真に受けるべきではなかったのだ。
ぶった斬ってやろうかという意地悪の虫もうずくが、データさえ受信できれば問題はないので忘れてやることにする。それにしても、この相手はこれでも情報を専門にしているはずなのだ。よくこれで他の業務に支障を来たさないものだと不思議でならない。
スポンサーリンク