前回に続いて、新しいドキュメントスキャナ ScanSnap iX500 を使ってみた感想の自分用メモです。
目次
ページの重なりによる給紙エラーが激減した
ドキュメントスキャナの泣き所は給紙機能だと思っていた。旧モデル S1500 の場合、文庫本一冊をスキャンすると、よくて数回、運が悪いと十数回は、ページの重なりが検出されて読み直しを強いられていた。
それが新品の iX500 では、すでに10冊ばかり文庫本をスキャンしたが、ページ重なりによる給紙エラーは覚えている限り1度しか起きていない。
構造上の変更があったようだ。これは S1500 の給紙部のカバーを開けたところの写真。取扱説明書「各部の名称」によると「ADF カバー」というそうだ。
写真からはわかりづらいが、下側(床側)にゴム製のローラーが、上側(天井側)にはゴム製のパッドがついている
それが iX500 では、上下ともローラーに変わっていた。前回、高さが1センチくらい高くなったと書いたが、このせいだろうか?
メーカのホームページによると、上側のローラーを「ブレーキローラー」、下側を「ピックローラー」と言うそうだ。このブレーキローラーを採用したことが、重なりによる給紙エラーを激減させた理由らしい。ただしブレーキローラーがどういう動作をしているかは、私にはわからない。
なお iX500 は給紙が1枚でも読み込めることも、ありがたかった。S1500 は、パッドとローラーが新品の間は1枚でも読み込んでくれたように記憶しているが、最後の方は1枚だけ読み込みたいときは、給紙トレイに十数枚つっ込んで、1枚だけ読み込んだタイミングで残りを引き抜くというワザを使わなければならなかった。でないとジャムるのだ。
「新しいのは七難隠す」。iX500 もブレーキローラーとピックローラーのゴムが劣化したら、どうなるかはわからない。その時は交換してみるか。
バンドルされたPDF処理ソフトにほぼ不満はなかった
iX500 無印と iX500A の違いは、無印にバンドルされているPDF処理ソフトが Adobe Acrobat であるのに対し、「A」がつくほうは Nuance Power PDF Standard というのになることだそうだ。
Nuance Power PDF というのは使ったことがなかった。なんでも経験ということで、使ってみた。
同ソフトはセットアップ DVD からインストールするのではなく、ネットからダウンロードしてインストールする必要があった。シリアル番号(ライセンスナンバー)とURLの記された紙が同梱されていたので、記載のURLを入力して、指示に従って国名、メールアドレス、シリアル番号などを入力した。
最初にダウンロードされインストールを催促されたのは、“Akamai NetSession Interface” というソフトだった。「なんだこれ?」と思って検索したところ、経路を分散させてダウンロード速度を向上させるソフトらしい。
いらんことだが「google:アカマイ」で検索したら、しっきー 氏のブログ記事がけっこう上位に表示された。読んだことがあるはずなのに、内容をすっかり忘れていた。つか「検索ビッグワードを持っていると強いというのは、こういうことなんだろうか?」と、妙な感想を抱いた。
話が大幅にズれた。Nuance Power PDF Standard のインストーラは、約940MBという、かなりデカいものだった。ダウンロードにもそれなりの時間がかかった。さればこそ Akamai も必要になるということか。どっちかと言うと、こういうものこそ DVD で欲しいもんだ。あとそれから、アクティベートにシリアル番号を都合3度ほど入力する必要があった。ダウンロード時と、本体と、メーカのサイトへのユーザ登録で。そんなものか?
画面のスクリーンショット。使ってみると Adobe Acrobat で使用していた機能は、ほどんど見つかったので安心した。
左端のページ一覧を用いてページを移動させるのに、Acrobat はサムネイルをドラッグするが Nuance は番号をドラッグする(サムネイルでは動かない)など、細かい違いはあったけど、慣れるしかない。
Nuance でいちばんありがたかったのは、「縮小」機能がいつでも使えたことだ。PDFファイルのサイズを圧縮する機能である。
これは事情を説明すると少し長くなるが、Acrobat はバグだかなんだか、ページを1枚以上削除するか置換するかしないと、ファイルサイズの圧縮ができないという現象があったのだ。
その旨は、以前に拙記事に書いたことがある。
ただし圧縮率はどうなんだろう? 上の記事中に書いた Acrobat のデータと比べると、若干見劣りするような気がするが、このくらい減っていればよしとすべきか?
頁数 | 圧縮前 | 圧縮後 | |
文庫1 | 335P | 29,762KB | 9,145KB |
文庫2 | 288P | 14,918KB | 7,417KB |
文庫3 | 241P | 12,034KB | 6,125KB |
文庫4 | 344P | 15,608KB | 8,073KB |
文庫5 | 257P | 13,067KB | 6,761KB |
同じファイルを Acrobat でも圧縮して、サイズを比べればよかった。そういうことは後から思いつくもので、圧縮前のファイルはすでに削除してしまった。
その他、Acrobat には「ページの置換」という機能がついていたが、Nuance には見当たらない。その代わりなのか何なのか、Nuance には他のファイルから挿入するときにページを指定することができる。Acrobat はファイルを丸ごと挿入することしかできなかったはずだ。ページを置換する代わりに、置換したいページだけを挿入して、元のページを削除すればよいのか…ちょっと面倒臭い。
一言で言うと、一長一短である。あくまで個人の感想です。
ScanSnap Organizer の安定度も改善しているようだ
ファイル管理ソフト ScanSnap Organizer のユーザインタフェースは、S1500バンドルとiX500バンドルでほどんど変わっていないように見えると前回書いた。しかし中味の安定度は、改善しているようだ。
「検索可能なPDFに変換」という機能がある。OCRで変換したテキストデータをPDFファイル中に埋め込む機能である。この変換を施すと、検索のみならず、ページ画像中から文字データをコピー&ペーストできるようにもなるため、ぜひ使いたい機能だ。
しかし S1500 バンドル版のときは、原因不明のエラーで変換が完了しなかったり、ひどいときはソフトが固まって [Ctrl]+[Shift]+[ESC] で強制終了させなければならないことが、しばしばあった。うちのパソコンと相性が悪いのか、どこでもそうなのかは、わからない。
それが iX500 バンドル版では、今のところそういう現象が一度も起きていない。それどころか、「検索可能なOCRに変換」を実行中に、うっかり別のソフトを起動させたところ、何の問題もなくバックグラウンドで処理を継続して変換を終了させてくれていた。
これがどういうことかというと、旧来の S1500 版は別のソフトを起動させようものなら、たちまち変換が一時中断されてしまっていたのだ。つまりシングルタスクでしか動作してくれなかったということだ。今どきマルチタスクがあたりまえだろ、とは言うものの、あたりまえのことをあたりまえにやってくれるようになったのは、やはりありがたい。
あ、スクショはいずれも iX500 のものです。上のが「検索可能なOCRに変換」開始のためメニューをドロップダウンしたところで、下のが変換終了のダイアログボックスが表示されているところです。
* * *
ということで iX500 が使えることを確認したので、S1500 は市が契約しているリサイクルセンターに持って行った。弊ブログでよく写真を載せているところである。
「重なり検出センサー」が故障しているというだけで、他の機能はちゃんと動作するのだが、うちには置いておく余裕がないから仕方がない。
小型家電の柵がいっぱいで中に入らなかったので、フタの上に置いて行った。もちろん職員の方に断っています。
なんとも物悲しい光景だ…
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