- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/12/18
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (55件) を見る
だけど、私のような怠惰な読者が期待するのは、カントの思想のエッセンスであって、カントに友人が少なかったこと、特に「親友」と呼ぶにふさわしい友人は皆無だったこと(「第三章 友情について」)だとか、少年時代が不遇で出世も遅かったこと(「第四章 虚栄心について」)だとか、「時計のように正確な日課の毎日を過ごした」という有名なエピソードは、実はカントが63歳を過ぎて初めてマイホームを手にして以降のことだったということ(「第五章 生活のスタイルについて」)だとかではないのである。いや、それはそれで面白いとは思ったけど。
ま、それを著者にこぼしたら「自分自身の力で格闘しないでカントが理解できるか!?」と一喝されるであろうが。
余談ながら、私のような軟弱な読者にも「カントって面白そうだ」と思わせてくれた本を一冊挙げるとすれば、石川文康『カント入門 (ちくま新書)』である。
- 作者: 石川文康
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/05/01
- メディア: 新書
- 購入: 18人 クリック: 52回
- この商品を含むブログ (59件) を見る