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富山太佳夫『笑う大英帝国―文化としてのユーモア』(岩波新書)

笑う大英帝国―文化としてのユーモア (岩波新書)

笑う大英帝国―文化としてのユーモア (岩波新書)

一昨日(6/14)、テレビ愛知(テレ東系)でジャッキー・チェン他の『80デイズ』という映画を放送していたのを、たまたま後半だけ観ていた。そしたらラスト近くで、物語の時代の英国元首であるヴィクトリア女王が、デウス・エクス・マキナと言うか印籠をかざした水戸黄門のような役回りで出てきた。たまたまこの本のヴィクトリア女王のくだり(p26〜34、写真や挿絵もまじえてかなりのスペースをさいている)を読んでいたので、思わず吹き出してしまった。なんという女優が演じたのかは知らないが、小柄で小太りの女王は、イメージにぴったりだったのだ。女王は19世紀末の世界で最高権力者の一人であったに間違いなかろうが、徹底的にジョークの標的にもされたという。日本だとこうは行かない。日本の天皇は、一部に熱狂的な支持者がいて、大多数は「敬して遠ざける」といったところが偽らざるところではなかろうか?
ただしこの本は、タイトルから期待されるところとは違って、私にはあんまり笑えなかった。高尚過ぎるんです。例えばパロディを論じた第5章で、著者は、英国最大の詩人の一人ミルトンの宗教詩より「ただその場に在りて待つ者もまた仕う」"They also serve who only stand and wait."という一節を紹介し(p172)、それが二十世紀において、ドイツのロンメル将軍と戦ったモンゴメリー元帥のスピーチ「生きてここにとどまることができないなら、死してここに踏みとどまる」"We will stand and fight here."によって踏襲されていると主張する(p178)。
うーむ、と唸ってしまう。でも、笑えますか?