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サイモン・シン、(訳)青木薫『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

面白いっ!500ページ近い文庫本としては厚い本なんだけど、最後まで一気に読み切ってしまった。
フェルマーの最終定理(フェルマーの大定理)の一般向け解説書としては、初期のオイラーやフェルマー自身による一部の特殊な場合の証明、各時代の大数学者たちによるチャレンジと挫折、ゲルハルト・フライによる「谷山=志村予想がもし正しければフェルマーの最終定理も証明されたことになる」というプログラムの提示、1993年のアンドリュー・ワイルズによる「証明」、その「証明」に「ギャップがある」という指摘、そして翌1994年ワイルズ自身による岩澤理論とコリヴァギン=フラッハ法を用いたギャップの克服すなわち完全証明の達成…という大まかな筋立ては、類書と変わるところはない。
本書のいいところは、数学者が用いている道具はこんな感じなんだよ、ということを、ごくごく易しい具体例を示して説明し、読者に自分があたかも数学者であるかのような気分を味わわせてくれるところである。例えばピタゴラスの定理の証明とか、√2が無理数であることの証明など。まあこれくらいならどこででも見ることはできるのだが、本書で私がとくに好きなのは、数学者を何十年にもわたり悩ませながら、あっさりと初等的に解けてしまった「点予想」と呼ばれる問題の証明である(本書p195〜196およびp473〜475)。
「点予想」というのは「平面上の点を直線で結んで図を作るとき、どの直線上にも3つ以上の点があるような図を作ることは不可能である(ただしすべての点が一直線上にあるときを除く)」というものである。この問題は、補助線を一本引くことにより、「少なくとも一本の直線は2つしか点を含まない」ということが、鮮やかに証明されてしまうのである。
平面上の点を直線で結んで図を作れば、そのうちで直線と点との距離が最も近いものが存在するはずである。下に示す図は本書p474の図をweb上で見やすいように線や点を若干太めに改変したもので、線Lと点Dは距離が最も近い線と点であると仮定する
すると線Lは、3つ目の点を含むことができない。
なぜなら、もし3つ目の点DaがL上の2つの点の外側にあれば、DaとDを結ぶ直線と、Lに含まれる2点のうちいずれか一つとの距離は、LとDとの距離より必ず短くなるため仮定に反する(中央の図)。またもし3つ目の点DbがL上の2つの点の内側にあれば、今度はDbと、Lに含まれる2点とDを結ぶ直線のうちいずれか一つとの距離が、LとDとの距離より必ず短くなるため仮定に反する(下の図)。<証明終わり>
なんでだ???(゚_゚;