オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)
- 作者: 鈴木董
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/04/16
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コンスタンティノープルを陥落させたメフメット二世は、確かに野心家ではあったろうが、一方で合理精神の持ち主だった。ハンガリー人の技術者ウルバンを招いての巨砲作成は有名だが、「ワフク」と呼ばれる宗教税を財源に、イスタンブールと改名された占領地で水道整備をはじめ様々な公共事業が行われたことを、私は本書で初めて知った(p81〜82)。またイスタンブールの人口を回復させるために、異なる宗教・宗派の住人を共存させるための政策も次々に打ち出された。ただし著者は、「ミレット制」すなわちオスマン帝国におけるムスリムと非ムスリムの共存システムの起源をメフメット二世とする説には、疑いをさしはさんでいる(p86〜)。
少し前の時代の十字軍がやったことは、単なる殺戮と略奪にほかならず、よく言われることではあるが、同時代のイスラム教徒とキリスト教徒を比較すると、異教徒に対しては前者のほうがはるかに寛容であった。
オスマン帝国の強盛の理由は、軍事力以外にも、文書行政力(第6章)や、門閥によらない人材登用システム(第7章)…「デウシルメ」と呼ばれる異教徒の少年の強制的な徴収という奇妙な制度も含めてではあるが(p215〜)などが語られる。そうすると、今度は逆に、それほどの帝国が第一次大戦直前には「瀕死の病人」と呼ばれるまでに衰弱した理由を知りたくなるが、本書ではそこまでは扱われていない。けだし衰亡しない帝国は存在しないのである。
- 作者: 井上浩一
- 出版社/メーカー: 講談社
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- 作者: 塩野七生
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- 作者: 岩根圀和
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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