しいたげられたしいたけ

空気を読まない 他人に空気を読むことを要求しない

だが決してマンガが嫌いになったわけではない

大野茂『サンデーとマガジン』 (光文社新書)

サンデーとマガジン (光文社新書)

サンデーとマガジン (光文社新書)

  • 作者:大野茂
  • 発売日: 2009/04/17
  • メディア: 新書

福元一義『手塚先生、締め切り過ぎてます!』 (集英社新書)

こういう本を見かけると、即座に購入して一気読みしてしまう。
連載中に目を通していたマンガのタイトルを見つけると、即座に頭の中で初回から最終回までのストーリーが再放送される。自分は骨の髄までどっぷりとマンガに浸かって育ってきた人間なんだと思う。

『サンデーとマガジン』は「少年サンデー」(小学館)と「少年マガジン」(講談社)の創刊から発展の物語。創刊に当たって、手塚治虫、横山光輝、藤子不二雄、赤塚不二夫ら当時の人気マンガ家の囲い込みに成功したのは「サンデー」で、創刊直後の'60年代前半は「サンデー」50万部に対し「マガジン」30万部(p123)と、両者の発行部数には大きな開きがあったという。
そこでマガジンは挽回を期して、モデルガンや記念切手のプレゼントを企画して当てたりするが、何と言っても「原作・作画分離方式」を開拓し、後の梶原一騎の登場へ道を拓いたことがモノを言い、'67年には100万部台でついに両者の部数は逆転する(p221)。
マンガという業界に限っては、「実績ある大家の囲い込み」v.s.「実力未知数の新人の発掘」という戦略の対決は、常に後者が勝利を収めてきたのである。
その戦略をもっと徹底したのは、遅れて登場したご存知「少年ジャンプ」で、本書では最終章を「第8章 しのびよる黒い影」と題して(なんともはや、すごい章題だ)「ジャンプ」を扱っている。このあたりではもう「ジャンプ」が完全に「サンデー」「マガジン」の両主役を食っている。「マガジン」は「ジャンプ」で人気を博した本宮ひろ志の引き抜きを行ったりしているが、後の目から見たらこれほど明らかに誤った戦略はないであろう。

『手塚先生…』は、手塚治虫のアシスタントを長年務めた著者による「マンガの神様」のエピソード集。ただし、アシスタントに『巨人の星』を示し「このマンガのどこが面白いのか言ってみろ!」と半泣きで迫ったとか、大友克洋に「絵が上手いね。でも僕だって描こうと思えばあれくらい描けるんだよ」と言ってのけたとか、「24時間TV」で放送されるアニメ特番の絵コンテを放送時間が始まっても直していたとか、「神話」とでも言うべき過激な伝説は、本書には一切登場しない。全体に大人しめのエピソードが並んでいるという印象。
追記:(9/4)
ネットで読める手塚伝説としては、編集者・竹熊健太郎ブログに掲載されているものが、よくまとまっている。「すべて本人や周囲の関係者からウラがとれているマジネタばかり」とのことだが、本当かどうかは知らない。
手塚伝説(その1)禁断のプライヴェート篇: たけくまメモ