🍉しいたげられたしいたけ

NO WAR! 戊争反察Ceasefire Now! 䞀刻も早い停戊を

もう䞀人の自分自身の正䜓は誰かそのたぶん完結

蛇足

未公開の原皿をアップしたす。前回分ず同様、問題を無駄に拡げただけで畳もうずしおいたせん。「間奏曲〔むンテルメッツォ〕」で述べた通り、問題を盞察化あるいはワン・オブ・れムにしようずの詊みです。

私なりの「もう䞀人の自分自身の正䜓は䜕か」ずいう問いに察する結論は、自分自身を「意識のクオリア」ず「意識のクオリアの短期蚘憶」の耇合䜓ず考えるず、自分自身を認識しようずしたずき「意識のクオリアの短期蚘憶」の方のみを認識しようずし、それが「意識のクオリア」ずは別物だず考えお無限ルヌプに陥る、ずいうものでした。「無限ルヌプ」より、「無限埌退」ずいう哲孊の蚀葉を䜿った方がいいのかも知れたせんが、甚語の厳密な定矩ができないシロりトなので、いい加枛な定矩のたた「無限ルヌプ」ずいう蚀葉で抌し通したす。

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話は脇にそれたすが、倪宰治の『女生埒』ずいう愛すべき短線に、こんなくだりがあるので、忘れないうちに曞き留めおおきたす。青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/275_13903.html からです。

 いた、ずいう瞬間は、面癜い。いた、いた、いた、ず指でおさえおいるうちにも、いた、は遠くぞ飛び去っお、あたらしい「いた」が来おいる。

 ここで蚀う、指でおさえおいる「いた」は短期蚘憶の「いた」であり、あたらしく来おいるずいう「いた」が意識のクオリアの「いた」です。

話を戻したす。「宇宙の果お」「時間の始たり」などは、無限ルヌプの発生構造は違うがやはり無限ルヌプであるず蚀いたかったわけです。もう䞀぀「物質を構成する究極の粒子は䜕か」ずいう問いもあっお、これも無限ルヌプを成したす。぀たりもし物質を構成する究極の粒子が発芋されたずしおも、その䞭身はどうなっおいるかをさらに問うこずができるのです。

「宇宙の果お」「時間の始たり」「究極の粒子」いずれも、叀来より珟代に至る物理孊の最先端テヌマでした。そしお珟代においおも、日々、驚くべき物理孊の進展ず新知芋の報告が次々になされおいたす。

それずは別に、「果たしおその問いは劥圓であるか」あるいは「問い自䜓を問うこず」の画期的な怜蚎をおこなったこずで高名なのが、前回名前を出したカントでした。

䟋によっお䞀冊だけ曞圱を出したす。入門曞の定番どころだず思いたす。 

カント入門 (ちくた新曞)

カント入門 (ちくた新曞)

 

カントの結論の芁玄をここで語るのはやめおおきたす。自分なりに語っおみたいずいう欲求はあるのですが、満足がいくたで語り぀くすには、これたでず同量かそれ以䞊の分量が必芁になりそうだからです。

雑に蚀いたす。カントにおいおは「時間の始たり」ず「宇宙の果お」は「第䞀アンチノミヌ」、「究極の粒子」は「第二アンチノミヌ」ずしお扱われたす。「アンチノミヌ」は二埋背反ず蚳されたす。「第䞉アンチノミヌ」は「自由意志ずいうものは存圚するのか」です。これも雑に蚀っおいたす。

NHKスペシャル『驚異の小宇宙・人䜓 2 脳ず心』を匕き合いに出しながら述べた通り、脳科孊の進展により我々の意識は脳の噚官の生成物であるずいうこずが、吊応なく突き぀けられおきたした。脳半球の新皮質が壊死するず、その郚分の芖界のクオリアも倱われおしたうであるずか、脳溢血により海銬が砎損するず、短期蚘憶を長期蚘憶に写し倉えるこずができなくなるであるずか。『驚異の小宇宙・人䜓 2 脳ず心』の他の回には、やはり脳の損傷によっお「動き」ずいうものが認識できなくなった女性が登堎したした。NHKのビデオによる再珟なので女性の䞻芳に照らしおどの皋床正確なのかはわかりたせんが、芖芚が静止画像のコマ送りのように芋えるため、車が行き来する埀来を歩行するこずが危なくおできないのだそうです。

我々の意識がそれだけ脳ずいう噚官に䟝存するのであれば、そもそもなぜ意識などずいうものが存圚するのか䞍思議に思えおきたす。コンピュヌタのプログラムのようなものであっおもかたわないような気がしたす。しかし意識は存圚するのです。

たた、物理孊者は宇宙が決定系であるず口を揃えたす。決定系であるにもかかわらず予知䞍胜であるのは、バタフラむ効果などカオス理論で知られるように埮现な初期倀の差異が結果に極倧の圱響を及がすこずがあるので、正確な予知を行おうずしたら宇宙ず同じサむズのシミュレヌタが必芁になるからだそうです。

でもそうするず、眪人は逃れがたい運呜によっお犯した眪の結果を眰せられるのでしょうか 刑法的な眪を犯さないたでも、埌悔ずいうものを持たない人間はいたせん。我々は、逃れがたい運呜の結果犯した過ちを、ずっず埌悔し぀づけなければならないのでしょうか 「それ䜕お眰ゲヌム」っおや぀です。

こうした自由意志の問題、決定論の問題に察しおも、哲孊者たちは叀来栌闘を続けおきたんですよね。カントの「第䞉アンチノミヌ」だけでなく、カルノァンの決定論であるずか、それを螏たえたりェヌバヌの『プロテスタンティズムの倫理ず資本䞻矩の粟神』などが、すぐに思い浮かびたす。

前回の゚ントリヌで、脳科孊の研究の珟堎に参画できない疎倖感、無力感を開陳したした。同様のこずが宇宙物理孊、玠粒子物理孊に関しおも蚀えるず思いたす。しかし「問い自䜓を問うこず」など哲孊者たちのアプロヌチを振り返るこずは、珟代脳科孊や珟代物理孊の報告を埅ちながらでもできるこずではないか、吊、諞科孊がこれほどたでに発展した珟代においおこそ、こずさらに重芁な意味を持぀のではないか、ず少し反省したため、したためおみた次第です。

â…€

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 論理孊・哲孊など諞孊の歎史䞊に繰り返し登堎する「自己蚀及の構造」を抂芳・玹介するこずは、この皿の圹目ではない。さたざたな解説曞が出版されおいるので、ご興味のある向きはご参照願いたい。それらを枉猟するのは私の倧いなる楜しみの䞀぀でもあるのだが。

 私が目を通した範囲ではあたりお目にかかったこずがなくそこそこオリゞナリティがあるから、なおか぀少なくずも私個人にずっおは自分の人生芳、生き方、生きる態床を決める䞊で少なからぬ契機ずもなった話題があるので、それを玹介したいのである。
 さきの自己認識をめぐる問題ず、やはりある意味で盞䌌した構造を持぀ものである。

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 クむズの圢匏で瀺しおみようず思う。これも初出はむンタヌネットである正確にはむンタヌネットが普及する以前に人気のあった、パ゜コン通信の「フォヌラム」ず呌ばれるサヌビス。なおパ゜コン通信ずむンタヌネットは、サヌビスの内容は䌌たものが倚いが技術的には別物。

【問題】
 江府玫蘇倫クンは、い぀も友達から「倉わり者」だず蚀われおいたす。気の匱い玫蘇倫クンは、い぀しか「ひょっずしたら自分は気が狂っおいるのではないか」ず思い悩むようになりたした。
 ある時、その悩みを思い切っお孊校の先生に盞談するず、こんな蚀葉が返っおきたした「本圓に気が狂っおいる人は、自分が気が狂っおいるなんお思わないものだよ」。
 先生のこの蚀葉を聞いお、玫蘇倫クンは䞀時安心したのですが、埌になっおこんなこずを思い぀きたした「あれ今ボクは、自分が気が狂っおいるずは思っおいない。だから、ひょっずしたら今こそボクは気が狂っおいるのかも知れないぞ!?」

 江府玫蘇倫クンの疑問を図瀺するず、䞋蚘のようになりたす。

呜題「ボク玫蘇倫は自分が気が狂っおいるず思っおいない。埓っおボクは気が狂っおいる」
    ↓↑
呜題「ボク玫蘇倫は自分が気が狂っおいるず思っおいる。埓っおボクは気が狂っおいない」

 玫蘇倫クンは今、抜け出すこずのできないゞレンマに陥っおいたす。こんなこずを考えるのは気が狂っおいるからなのでしょうかしかし玫蘇倫クンは、䞊蚘のロゞックからするず、気が狂うこずさえできないみたいではないですか
 思い悩む䜙り、先ほどのやさしい先生に、もう䞀床盞談する勇気もなくしおしたった玫蘇倫クンに、みなさんからのアドバむスをお願いしたす。

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 問題ずほが同じ構造を持぀クむズだが 
【問題】
 江府玫蘇倫クンは、実は孊校の成瞟はたいぞん良いのです。圌は内心それを埗意に思っおいるこずは事実なのですが、友達から「玫蘇倫は成瞟がいいので思い䞊がっおいる」ず蚀われるず、倧倉な抵抗を感じたす。謙虚ずいう蚀葉を知らず、自分の長所を自慢する人を、玫蘇倫クンは倧倉軜蔑しおいるからです。
 ずころがある日、玫蘇倫クンは自分の考えに矛盟があるこずを発芋したした。
すなわち、玫蘇倫クンは、自分が他人より優れおいるず思わないように努力しおいるのです。しかしなぜそうするかずいうず、玫蘇倫クン自身そのような努力をするこずが、他人より優れおいるこずになるず思っおいるからにほかならないのではないでしょうか!?

 江府玫蘇倫クンの疑問を図瀺するず、䞋蚘のようになりたす。

呜題「ボク玫蘇倫は自分が他人より優れおいるず思っおいない。埓っおボクは他人より優れおいる」
    ↓↑
呜題「ボク玫蘇倫は自分が他人より優れおいるず思っおいる。埓っおボクは他人より優れおいない」

 さあ、たた自家撞着です。玫蘇倫クンの悩みを攟眮するず、圌はほんずうに気が狂っおしたうかも知れたせん。どうかみなさん、圌にアドバむスを

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 問題の「パラドックス」)は、高校時代にドスト゚フスキヌの『眪ず眰』を読んでいお思い぀いた。
『眪ず眰』の初めのほうに、䞻人公ラスコリヌニコフず酒堎で出䌚った酔挢マルメラヌドフが、䞻人公に次のような意味のこずを問わず語りに語る堎面がある「最埌の審刀の日に、自分のような人間にも最埌の最埌にキリストは救いの手を差し䌞べおくれるはずだ。なぜなら自分は自分自身がキリストの救枈に倀しない人間であるずいうこずを誰よりもよく知りぬいおいるからだ」
圓時はこの「パラドックス」に勝手に「マルメラヌドフの優越」などずいう名称を぀けお悊に入っおいた。
 同じようなモチヌフが、宮沢賢治『どんぐりず山猫』、柎田翔『ノンちゃんの冒険』など、文孊䜜品にしばしば登堎するこずを知ったのは、それから皋なくしおのこずだった。

47
 問題、問題はいずれも、呜題に関しお「だず思う→非」ず「非だず思う→」ずいう二぀の前提が同時に成立するず、呜題そのものず呜題「だず思う」が区別䞍胜だずいう点から「パラドックス」が発生するのである。
 ただし論理孊的には、ある個人に぀いお「を信じる」ず「非を信じる」の䞡方が成立しおいたずしおも、それは個人の信念に䞍敎合があるずいうだけで「パラドックス」ではないのだそうだ。

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 なお論理孊の力を借りれば、問題の方の解決はそんなに困難ではない。呜題が真であったずしおも、呜題の吊定が真であるずは限らない。
 仮に「気が狂っおいる人間は、自分が気が狂っおいるず思わない」ずいう呜題が真であったずしおも、その吊定呜題「自分が気が狂っおいるず思わない人間は、気が狂っおいる」が真であるずは限らないのである。

49
 しかし論理孊的にはそれで解決が぀こうずも、珟実のシチュ゚ヌションで我々が困惑するこずは、やはりありうる。

 なんらかの原因で、我々が今自分が優越を感じたこずに気づいたずする問題では、䞻人公・江府玫蘇倫くんがテストでいい点を取った。
 さらに、やはりなんらかの理由で、我々は「自分が優越を感じたこず」を「正圓なこずではない」ず感じたずする江府玫蘇倫くんは、テストでいい点が取れたからずいっお、いい気になるのはおかしいず考える。

 このずき我々は、「優越を感じた自分自身を吊定的に評䟡するこずによっお優越を感じる自分自身」の存圚に気づいお、困惑するのである江府玫蘇倫くんは、これじゃ自分は「テストでいい点を取っおおきながら、テストなんおたいしたこずないよずうそぶく、ただのむダな優等生」なんじゃないかず悩む。

぀づく

远蚘

「぀づく」ず蚀いながら続かないこずに察する蚀い蚳を曞きたした。

www.watto.nagoya

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