前回の拙エントリーには、驚くほど多くのアクセスをいただきました。ありがとうございました。スマートニュース さんのいわゆる「スマニュ砲」をいただいたことが大きかったんですが、なぜか初めて ameblo.jp さんトップからリンクもいただいたようで、そちらからの流入もかなり大きかったです。確認に行ったときにはすでにリンク外れていて、どんなふうに表示されていたかは見られなかったのですが。それからツイッターからの流入も多くいただきました。ジュリーの現役ファンと思われる方のツイートを多くたどることができ、興味深かったです。
もしアクセスを稼ごうと思うんだったら芸能関係は強いのかな、という考えが頭をかすめたのは内緒にしておこう。芸能界ぜんぜん疎いからダメだけど。
今回も観劇ネタだから芸能関係と言えなくもないが、市民のアマチュア劇団である。元同僚が関わっているので、都合が合えば観に行こうと思いつつ、前に観に行ってから4年も空いてしまった。ちなみに元同僚というのは一緒にジュリーのコンサートに行った同僚とは別人で、こちらは男性である。
会場は4年前と同じ千種文化小劇場、一名 “ちくさ座” だった。あれ? こんな立派なHPあったっけ? URLは4年前に自分のブログに貼ったのと同じだったけど、すっかり忘れてしまっている。
最寄駅は名古屋市営地下鉄桜通線の吹上駅である。スマホカメラとは言え地下鉄を撮るときには、フラッシュを乗務員に当てないよう気をつけているつもり。そもそも撮るなよ。
ちくさ座外観。
今回の演目は『妖怪ランドの桃太郎』。「あったものをなかったことにできない」とサブタイトルされていた。ひらき座HPよりポスター画像をお借りします。
hirakiza.com より
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「ひらき座」の定期公演は二日間で三回ないし四回であるが、いつもほぼ満席になる。沢田研二とは比較にならないけど、それでもたいしたもんだといつも思う。当日券で入るつもりでいたが、受付で「紹介者は?」と訊かれたので、元同僚の名前を言ったら前売券の値段で入れてくれた…ってこういうこと書いてよかったんだっけ??
書いていいのかと言えば、あらすじをどこまで書いていいか、いつも迷う。完全にネタバレというわけにはいくまい。だが、弊ブログを読んでくださる方で、この演劇を観る機会のある方も、いたとしてもごくごく少数であろう。前回までと同様、おおまかに雰囲気がわかる程度で紹介する。
受付でもらったパンフレットに、作・演出家の言葉として “善悪を逆転させ、桃太郎が悪者として描かれている芥川竜之介による「桃太郎」に感化を受けた” とあった(「竜」はママ)。そう言われるとミュージカル『桃次郎の冒険』を思い出すが、『桃次郎』ともまた全然違ったオリジナルストーリーであった。
主人公はモモ子という売れない女優で、モモ子が場末のバーで管を巻いていると、バーテンダーが「先着一名で面白いところに招待しましょう」と申し出る。モモ子がうっかりその申し出を受けると、バーテンダーはモモ子を、一反木綿、ぬりかべ、猪八戒、沙悟浄など妖怪どもがうろうろしている「妖怪ランド」に転生させてしまう。いらんことだが八戒と沙悟浄のコスチュームは『ひらき座版西遊記』の使いまわしかな?
とにかくその妖怪ランドから現世に戻るためには、「ヒタカーミ」と呼ばれるユートピアにたどり着かなければならないとのことだった。
それで、モモ子はヒタカーミを目指す旅を始めるのだが、その道すがら元某大学のフットボール選手だったという「パンチ」、DV被害者で夫を刺してしまった主婦「ワン子」、仕事人間で家庭から孤立した「カット」という仲間と出会う。彼らも現世から妖怪ランドにやってきた人間である。
パンチはサル、ワン子は犬、カットはキジをイメージしているのだろうが、私はどちらかというと『オズの魔法使い』のブリキ、ライオン、カカシを連想した。西遊記であればサル、ブタ、カッパであるとか、「旅の仲間」という物語パターン、多いよね。先行研究ぜってーあるだろうと思うけどすぐには思い出せないが。
元フットボール選手というところで勘のいい人は察しがつくと思われるが、時事ネタにからめたくすぐりが、ふんだんにちりばめられる。他にも原発ネタとか、モリカケネタとか、東京オリンピックネタとか…
そしてモモ子ら一行は、「桃太郎会議」(ものすごい名前だ!)という謎の集団になぜか気に入られ、彼らの理想とする伝説のヒーロー「桃太郎」を主人公とし「鬼」を極悪非道の敵とする劇中劇を演じることになる。
ところがそこに、鬼に擬せられた「アーテル」という名の一族が登場する。アーテルは、自分たちこそ桃太郎会議の一族により一方的に侵略され、多くの仲間を殺され、財産を略奪された被害者だったと主張するのである…
どうやって収拾つけるんだ、このストーリー? いや、上演時間内にきっちり風呂敷畳んだけど。
ヒタカーミやアーテルは、何のもじりだろうといぶかったが、劇中ではけっきょく明かされることはなかった。あとで検索したら「ヒタカミ(日高見)国」というのは日本書紀に見える現在の仙台あたりを首都とした古代の王国の名前だそうだ。「北上川」「北上盆地」と関係があるのだろうか? してみると「アーテル」は、もう少し後の時代の指導者の名「アテルイ」を思い起こさせる。それにしては劇中で「蝦夷」や「アイヌ」への直接の言及はなかったはずだが…?
(「ヒタカーミは東方にある」という意味の台詞はあった)
市民劇団だけあって、今回もキャストは多彩だった。学齢期前と思われるお子さんから、電動車椅子のシニアまで。音楽は当然のように生演奏だったし。それから今回は初めて、明らかにバレエの経験者と思われるダンサーが登場したのを見た。バレエのレッスンは「肉体改造」と言われるほど過酷なんだよね確か。
公演の最後に「モモ子」を演じた主演女優さんが、還暦を超えていると明かしたのには、仰天してしまった。私より年上だったのか!
私はずっと、大都市周縁とはいえ人口十万未満の小都市で暮らしてきた。この人口規模だと、自治体のヒモ付きとかでなければ自発的、継続的な文化活動は難しいようだ。せめて岐阜、豊橋クラス、世代交代が不自然なく継続するためには、やはり政令指定都市クラスの人口規模が必要なような気がする。ちゃんと調べたわけではないけど。
純粋にうらやましい。