家庭の事情というやつで、ひんぱんに現住所と実家を往復していることを、しばしば書いている。
先週、実家に帰ったとき、身内から「浴槽の排水口のパッキンが劣化してお湯が溜まらなくなった」と相談を受けた。
たいがい古い家なので、一定期間ごとにどこか具合の悪いところが出てくる。モグラ叩きみたいなものだ。
ゴム栓タイプであればホームセンターで新品を買ってきて交換するだけだが、浴槽のフチについたボタンを押し込むと浴槽の底の水栓が上下するという面倒そうなタイプなので、DIYでは修理できる気がしない。メーカーに修理依頼するしかないと思った。
何年か前に、ガス給湯器が故障したことがあった。そんなに昔のことではない。その時は、コールセンターに電話して地元の修理業者に取り次いでもらったのだった。
今回も、同じことをやればいいと思った。
ところが、その時の領収書や電話番号が残っていなかった。ブログの記事にもしていない。それなりの修理代はかかったはずだが、そんなに苦労したという印象はなかったので、記録を残さなかったのだろう。
電話番号はあっさり見つかった。浴室の外側壁にはめ込まれた給湯器のコントロールパネルに、ガス機器メーカーの名前と共にフリーダイヤルが刻印されていたのだ。
どうでもいいけど大手ガス機器会社の名前って、どこもカタカナばっかりだね。なんでだろ?
その番号に、身内に電話を掛けてもらえれば事足りるだろうと思った。
ところがそうはいかなかった。
機械音声で「〇〇の方は1のボタン、△△の方は2のボタン…」とやられたのだ。高齢者はこれがダメらしい。
私に替わってくれと言われた。やれやれ。
機械音声の指示に従って電話機のプッシュボタンを押すと、人間のオペレーターにつながった。
給湯器に銀色のラベルが貼ってあって、そこに本体型式と製造番号が書いてあるから、それを伝えてくれと言われた。
そんなのあったっけ?
ユニットバスの扉のところを見ると、それらしきラベルを見つけた。しかしそのラベルには、ガス機器会社の名前ではなく、ユニットバスのメーカーの名前が書いてあった。大手電機メーカーの名前と、カタカナ。電機メーカーの系列なのだろう。
これを見たときに「おかしいぞ、間違えたかな?」と思った。
先走って結論を書いてしまうと、この会社に電話を掛けて、修理を取り次いでもらうのが正解だった。
だがそれはあとからわかったことで、正解にたどり着くまでには、まだまだハードルがいくつもあった。
まずはラベルに印刷されていた型式番号と製造番号をメモした。やたらと桁数が多かった。アルファベット+数字で型式番号が20桁以上、製造番号が10桁。なんだそれ?
電話口で待ってもらっていたオペレーターさんに、その番号を告げた。
「うちの番号ではないようです」と言われた。
とすると、ラベルが貼ってあるのはガス燃焼室のある屋外機のほうだろうか?
「お待ちします」とは言ってもらったが、一旦電話を切って調べ直すことにした。
屋外機を調べる前に、ユニットバスのメーカーに電話してみることにした。
だがラベルに貼ってあった電話番号が、おかしいのだ。03プラス0で始まる4桁プラス3桁。03は東京の市外局番だけど、市内局番4桁プラス末尾(加入者番号と言うらしい)4桁に変わったのはいつだったっけ? ずいぶん昔じゃないだろうか?(ぐぐったら1990年代とのこと)。市内局番は3か5で始まるんじゃなかったっけ? 加入者番号3桁というのが、そもそもおかしいし。
掛けてみたが、案の定つながらなかった。03を033に変えてもダメだった。
ネットでメーカーを検索してみた。大手電機メーカー系列ではなく、家電量販店の系列会社としてヒットした。系列が変わったのだろうか?
問い合わせ先として、フリーダイヤルと、業者向け有料番号、消費者向け有料番号が出てきた。
フリーダイヤルに掛けてみた。呼び出し音を何度かコールしたあと、回線が切り替わるような音がして、結局いつまで待ってもつながらなかった。
こりゃダメだ、と一旦方針を変えることにした。
ガス給湯器の屋外機を見に行った。ラベルが貼ってあり、前回修理してくれた地元業者の電話番号が印字されていた。型式と製造番号も印字されていた。当然ながらユニットバスの扉に貼ってあった型式&製造番号とは別物だった。
地元業者に電話した方が早いかなと思って、電話してみた。
パッキンが劣化してお湯が溜まらないと現象を言ったら、ユニットバスのメーカーに電話してくれと言われた。
見かねた身内が、電話帳で市内の水回り業者の番号を調べてくれた。
電話してみた。
ユニットバスのメーカーに電話してくれと言われた。
再びネットで検索したユニットバスメーカーの、今度は消費者向け有料番号に電話してみた。
電話口に出た人間のオペレーターさんに、頭に大手電機メーカー名のついた社名を言って、「この番号でいいですか?」と尋ねてみた。いいとのことだった。
本体型式と製造番号を訊かれた。
20桁以上の型式を答えようとした。
「最初の3桁でわかります」と制止された。
ああ、やっとこれで話が通じた、と思った。
住所と氏名(身内の名前だ)、それに連絡先の電話番号を訪ねられ、地元の業者の手配がついたら折り返し電話する旨が伝えられた。
やれやれ、半日がかりの手間になってしまった。
その後、自宅アパートに戻ったので、修理がつつがなく完了したかどうかまでは、まだ見届けていない。連絡が来ないところを見ると、そんなに大きなトラブルにはなっていないはず…と思いたい。
あとから振り返ると大きなつまづきの石は二つ、初動でユニットバスメーカーではなくガス機器メーカーに電話を掛けてしまったことと、ユニットバスメーカーの電話番号が検索しなければわからなかったことであろうか。
ブログタイトルには「脱出ゲームみたいに面倒だった」と書いたが、スムースに行っていればこんなに手間のかかることではなかっただろう。
いっぽうこれを自力でネットにアクセスできない高齢者に一人でやらせるのは「無理ゲー」というものではないか、と思わないこともない。
サムネイルにするイラストは イラスト無料!イラストボックス さんからお借りします。たまたま実物と似ていたのだ…って他人にはわかんねーよ!
無料イラスト バスルーム より。
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