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遅まきながら『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』をアマゾンプライムビデオで観た

6月26日付拙過去エントリーに、私が唯一サブスクリプションしているAmazon Prime Videoで『ゴジラ-1.0』を観たことを書いた。そうしたら、それをきっかけにいくつかの関連エントリーを書くことができた。ネタになったというやつである。

www.watto.nagoya

 

そんなでまた在宅仕事の小区切りがあったので、やはりネットで評判が高かった『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た。つかこれで何人かの「はてなブログ」相互さんの記事が、ネタバレを気にせず読めるようになった。

以下、同作品のネタバレを含みます。

これまで通り、感想を短文集で並べる。いつも「アフォリズム風に」とも書いているが、アフォリズムとは何なのか実はよく知らない。あとから思いついたことがあったら随時つけ加える予定なのも、これまでと同じ。

 

『ゴジラ-1.0』と同様、舞台は終戦直後。2023年公開劇場版アニメでは『窓ぎわのトットちゃん』もアジア太平洋戦争の色合いが濃厚と言われ、またネットでの評判が高かった。

ちなみに『トットちゃん』はアマプラでは見られないのか。残念。

 

外界から隔絶されたようなムラ社会と、そこに君臨する絶大な権力を持つ一族という設定は、誰もが思い出す横溝正史の世界だな。お嫌いですか? 大好きです!

 

あとで公式サイトにキャラクター相関図があるのを見つけた。メチャメチャ複雑というほどではないが、あったほうがよかった。私の場合こういうことは、たいてい後になって気づく。

www.kitaro-tanjo.com

 

そして登場人物一人一人の目的が明確で、それぞれ違っているのもよかった。主人公の水木は龍賀一族に取り入って出世すること、もう一人の主人公にして鬼太郎の父・ゲゲ郎は行方不明の妻を探すこと、龍賀家の人々はそれぞれ亡くなった当主の権力と財産を相続すること、龍賀家当主の孫娘・沙代は村を出て東京に行くこと、などなど。

 

『ゴジラ-1.0』との違いは、登場人物にイヤな奴が多いことだと思った。水木さえ、ゲゲ郎が座敷牢に捕われたときゲゲ郎に「タバコをくれ」と言われて断ったり、事情を話せば座敷牢から出してやるという約束を反故にしたりする。『-1.0』は、怖い人は多くても、基本的に悪い奴はいなかった。

 

そゆえば登場人物がタバコを吸うシーンが多かった。今と時代が違うことを示すアイテムとして、うってつけだからであろう。逆に多用されすぎると、これからは「陳腐だ」と突っ込んでやるぞ(私もイヤな奴

 

ゲゲ郎の人物造形、個人的には好きだなぁ。亡くなった龍賀家当主の孫にして後継予定者・長田時弥とともに、悪意を感じさせない数少ないキャラである。あとで考えたら鬼太郎に似せていたのだ。使える超能力も、だいたい同じだし。あと風呂好きの設定とかニヤリとできる。

 

人間を疲れ知らずで死ぬまで働かせる血液製剤Mによって龍賀家が日本の政財界を陰から支配する有力者にまでのし上がったというのは、作品中には一切言及なかったけど旧満州アヘン人脈を思い出さずにはいられない。

 

龍賀一族の人々が次々と奇怪な死を遂げることも、横溝正史テイスト。ただし最終盤で意外な犯人と、そして意外なラスボスが判明するのだが、ミステリーではないので推理によって論理的に特定されたのではない。考えてみればかつての2時間ドラマだって、そんなようなものだったか。

 

代わりに妖怪が次々と登場する。カッパ、カラス天狗、つるべ火…龍賀家で下働きをしている若かりし頃のネズミ男とおぼしき人物だって半分妖怪のはず。

 

『ゲゲゲの鬼太郎』の原作マンガやTVシリーズには、毎回メインの敵役妖怪キャラがいる。本作では「狂骨」がそれに相当する。そういうフォーマットをきちんと踏まえてくれているのも、リスペクトが感じられて、いいなぁ。

狂骨と言えば京極夏彦『 狂骨の夢』というミステリーを読んだことがあったが、内容忘れた。いやメインのプロットはうっすら覚えているが、京極堂シリーズの常としてタイトルの妖怪に関する説明があったはずで、そっちを忘れた。

 

今ぐぐったらウィキペに「狂骨」あった。誰か編集ID持ってる人「登場する作品」という項目を作って『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と書いてください(やりたかったら自分でやれ

狂骨 - Wikipedia

 

幼く病弱な長田時弥に、水木が「君が大きくなるころには、貧困も戦争もなくなって、どんな病気も治せるようになっているといい」という意味のことを言うシーンがあった。メモを取っていなかったから内容はうろ覚えである。

ごめん!

本当にごめん!

そういう世界を作ることのできなかった大人の一人として、心からお詫びを言わないではいられない。

だけど過去形にしちゃいけない。微力極まりないことは百も百万も百億も承知だが、1ミリでも1ミクロンでも1オングストロームでも世界をそちらの方向に近づける努力を、死ぬまで続けなければならないのだ。

 

本作でもラスボス戦でクラウド的な助っ人が登場した。「誰が主人公を助けるか?」というパターン集エントリー、書こうと思いつつまだ手をつけていない。クラウドとは何なのか、突っ込まれると困りそうだな。

 

武器または凶器として「斧」がよく使われていたけど、何か象徴的な意味があるのだろうか? 今のところ全く思いつかない。

あえて牽強付会するなら「妖怪や超能力が怖いのではない、いちばん怖いのは生きている人間」が含意されていると解釈できようか。アンプルMを(旧)満州産アヘンになぞらえる以上の、本作中に根拠の見出せない飛躍的解釈であるが。

 

エンドロールで、原作マンガの鬼太郎父と鬼太郎母の登場シーンが出てきた。鬼太郎母のほうは最終盤で衰弱しきった姿で登場した本作の鬼太郎母=ゲゲ郎の妻とそっくりだったが、原作の鬼太郎父とゲゲ郎の外見がぜんぜん違っていたことには、もちろん観賞中から気づいていたが内心吹き出さずにいられなかった。

今Amazonのサンプルを見たら、原作マンガへのリスペクトが思ったより多かった。なんでブリューゲルのバベルの塔らしきものが出てくるシーンがあったのだろうと思ったら、原作マンガにも出てきていたのだ。

じゃなんでバベルの塔なの? という謎は無限後退的に残るが、たぶん原作者の水木しげるが細密画大好き人間だったので意味もなく借用したのであろう。

 

そういえば鬼太郎の育ての親になったはずの水木は、それからどうなったのだろう? 原作マンガには再登場なかったはず。

これも超絶飛躍解釈するなら、ときどき出てくる作者の水木しげる自身を後の姿と考えることができようか。水木しげるの自画像と本作および原作マンガ第1話の水木は、あまりに見た目が違いすぎるけど。

 

ウィキペによると『ゲゲゲの鬼太郎』のTVアニメシリーズの直近のものは2018年 - 2020年の第6期とのこと。長寿TVアニメシリーズ数あれど、人気エピソードのリメイクを繰り返しつつシリーズ化している作品は、他にすぐには思い出せない。新作エピソードの補充はしているのだろうけど。

 

こんなX旧ツイッターのポストを見たことがあった。ほぼ1年前だったのか。FF外からエンベッド失礼します。

 

FF外からだが、こんなリプをした。ただし今見たら4.8万いいねの大バスだから、おそらく元ポストの方には届いていまい。

でも万万万が一新作エピソードの一つにつけ加えてもらえたらというのは、元ポストの方の目にとまる以上の極難事であるが、夢想しないではいられない。イモムシと戦うのは鬼太郎として、「それは私のいちばん大事なものよ」と叫ぶのはゲストキャラの女の子、イモムシの目覚まし時計の秘密を説明するのは目玉おやじ、反物を売ることを提案するのはねずみ男…

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