しいたげられたしいたけ

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近場でも「旅情」というか「旅行興奮」というかが立ち上がるとしたらどんなタイミングだろうか?(その2)

「作業興奮」という言葉を最近知った、ということは10日前のエントリーにも書いたんだった。外出に関しても、出かけるまでは億劫だが、一旦外出してしまったらなんとかなるという心理状態が、確かにあるように思う。

もっと言うと、旅に出て高揚することはあると思う。子どもの頃の遠足や社会見学の時には、必ずはしゃいだ気分になった。ああいうものを表現する言葉はないだろうか。「旅情」というのを思いついたが、「旅情」にはセンチメンタルな響きがあるように感じる。旅に出る感情はいろいろあるだろうから、それでもいいんだけど、もう少し広く「作業興奮」ならぬ「旅行興奮」みたいな言葉があってもいいんじゃないかと思った。「トラベラーズ・ハイ」はスキマスイッチだな。

ところが長じるにつれて、そういう感情が起きにくくなるように思う。私の場合、高校三年生のときの校外活動では、高揚した気分が全く起きないことに我が事ながら驚いた記憶がある。あの時は確か行き先が高校のある市の隣街くらいで、学校側のやる気もあまり感じられなかったことも一因だったように記憶している。

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だからと言って、高揚が全く生じなくなったわけではない。マミー (id:mamichansan)さんの最新のエントリーを読んでいて思い出したのだが…

mamichansan.hatenablog.com

私の場合、もう20年くらい前になるだろうか、気まぐれで新幹線に乗ってふらりと岡山・倉敷を訪れたことがある。はじめ、出張に行っているような気分であまりノれなかったが、マミー さんの記事に出てくる「美観地区」に足を踏み入れたとき、とたんにふわりと気分が高揚したことを憶えている。

「美観地区」というのは、民家の白壁の外観や掘割を、おそらくは予算を投下して計画的に整備している区域で、境界の内と外では明らかに様子が違うのだ。「思う壺」という気がしないでもないが、こういう思う壺であれば、いくらハマってもいい。

つか、どういうきっかけで、「旅行興奮」でもいい、「旅情」でもいいんだけど、そういう感情が沸き上がるか、知りたいものだと思う。人によって違うだろうし、タイミングやそのときの気分、体調によっても違うと思うけど。

こういう説明は「その1」でやっておくべきでしたねすみません。

   *       *       *

最近の近場散策で、「旅行興奮」が立ち上がったのは、一言で言えばいわゆる「聖地巡礼」であった。弊ブログでそういうことやるのは珍しいでしょ。

昨年2016年は、劇場版アニメの豊作年だったと言われる。わが実家のある岐阜県を舞台とした作品は『ルドルフとイッパイアッテナ』、『君の名は。』、『聲の形』が公開された。なんかすごいね。しかし『ルドルフ』は見逃して未見。『君の名は。』の飛騨市は、同じ岐阜県とは言え遠い。『聲』に関して、親戚筋に大垣市役所に勤めている者がいて、「聖地が徒歩圏内に集中している」みたいなことを言っていた。その時は内心「知ってるわい」と思った。だって実家のある市の隣の隣だよ。言わなかったけど。

でも後日、「ブログのネタになるかな?」てな気まぐれで、電車に乗ってみる気になった。

JRの特別快速を利用すると、名古屋-大垣が30分強、金山駅からでも40分弱、改めて考えると近いのだ。用がないから行かないけど。でも行こうと思ったら1日はいらない。半日で十分だ。

なんつーか、さっそくビンゴ! 主人公の石田将也が友人の永束と映画を見に行った映画館は、シネコンの大垣コロナシネマワールドと一致。ちなみに検索したところ、同映画は3月29日現在、ここで中部地区では唯一のロングラン上映中。聖地 in 聖地というやつだな。

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昔、勤めていた会社の同僚から聞いた話によると、元祖『ゴジラ』には、有楽町の旧日本劇場ビルが破壊されるシーンがあるそうだ。『ゴジラ』は日劇でも上映されており、そのシーンで観客が盛り上がったという伝説があるとのこと。

私も内心盛り上がって、時間の許す限り記憶と一致しそうな場所を確認しようと思った。一般性というものが全然ないですねすみません。

シネコンはJR大垣駅から東に向かって徒歩15分ほどだが、駅から南西に同じくらい歩けば、「聖地」すなわち映画に登場していそうな場所があったはずだ。それを確認してみようと思った。

大垣の繁華街である郭町というところの、通りにかかる橋。橋の張り出しには、無粋にも選挙ポスターの掲示板が設置されていた。こういう間の悪さは、いかにもリアルっぽくて嫌いじゃない。

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駅から歩いて5分くらいのところにある、大垣公園の遊具。ヒロインの妹である西宮結絃〔ゆづる〕が家出して立てこもったのは、ここだろうか? JCが中に入るには、ちと狭いような気がするが。

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ヒロインの妹と言えば、『君の名は。』のヒロインには、宮水四葉という妹がいる。岐阜とは関係ないけど『この世界の片隅に』のヒロインには、浦野すみという妹がいる。それぞれ物語の中において、極めて印象深い役割を果たす。

ヒロインの妹の存在のみならず、この三作の劇場版アニメには、他にもいくつもの不思議な共通点があるように思う。気が向いたら独立したエントリーを上げて論じてみようかな。事前に言っときますがネタですけど。

ネタついでに言ってしまうと、『聲』の花火シーンで、観客の中に四葉が一瞬いなかったっけ?

さらに5分くらい歩くと、「四季の広場」がある。水門川など大垣市内を流れるいくつかの川が、合流する地点に設けられた遊水池だ。

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この遊水池のほとりに、「美登鯉〔みどり〕橋」というのが実在する。

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美登鯉橋上から。もう一週間もすると、川の両岸の桜並木が、映画のシーンのような満開を迎えるであろう。

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「奥の細道むすびの地」の句碑。「聖地」という発想においては、対象が古典であってもアニメ映画であっても、本質は変わらないと思う。

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人口の滝。裏がくぐれるようになっている。

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「四季の広場」の銘板。

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遊水池にはコイが放流されているが、雨が上がったばかりで水が濁っていたため、確認できなかった。

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大垣駅ビル。「Apio」というロゴは、映画中に何度か出てくる。

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駅の北側には「アクアウォーク大垣」というショッピングモールがあり、連絡通路やフードコートが映画中に登場することを、あとでぐぐって知った。徒歩圏内なのに、惜しいことをした。下調べなしのぶっつけだから、そういうことがあるのは仕方がない。

あと、作品の最後の方で主人公が入院するのは大垣市民病院であるが、徒歩はキツい。駅前からバスは本数いっぱい出てるんだけどね。それから主人公グループが遊びに行ったのは長島スパーランドというアミューズメントであることや、主人公とヒロインが二人で出かけたのは養老の滝と養老天命反転地というテーマパークであることは、地元民が一見すればすぐにわかるのであるが、電車を乗り継いででなければ行けない。

全然わからなかったところや、わかりそうでわからなかったところはいっぱいある。そういうところは検索して楽しむことにしよう。

JR大垣駅の切符売り場。映画のシーンそのものである。

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駅を通勤に利用している人がこの光景を見ても、高揚はしないだろう。毎日高揚していたら、やってられない。「旅情」あるいは「旅行興奮」が、あくまで個人的な体験であり、人によって違うことを示す、よいサンプルになるんじゃないかと思った次第。

帰途、JR特快の車窓から撮った揖斐高原。比較的背の低い山並みと、高圧送電線が特徴的である。送電線が目立つのは、揖斐高原に徳山ダムという日本最大級のダムがあるからだろう。

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主人公が自転車通学する場面に、たびたび登場する背景である。こういうシーンを見て「おおっ」と思えるのは、地元民の特権と言えよう。逆に『君の名は。』の飛騨市や、『この世界の』の呉市は、わかんないもんね。

この項さらに続きます。