- 作者: 阿満利麿
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 文庫
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一通りざっと読んだけど…文章が難解だったのではなく、内容が難解だったのだな(T_T)
本書「はじめに」には、訳者の次のような言葉がある。
本書は、法然が失脚中の九条兼実〔かねざね〕という在家の人間の請いにしたがって書かれたものであり、叙述は論理的明快さをもってなされている。ただ、その論理は、経典に最終的に証拠を見出すという筋道をたどるので、いわゆる実証的な論理とは異なることに読者はあらかじめ留意してほしい。
(p13)
ちなみに知ったかかますと、源信の『往生要集』も、親鸞の『教行信証』も、同じようなスタイルで書かれている。すなわち一章のはじめに経典の引用が置かれ、解釈が述べられ、想定問答で締めくくられる。この繰り返しである。
それにしても、引用される仏典の多岐にわたること…浄土三部教と善導の著作が比較的多いが、浄土三部経だけは現代語訳をざっとではあるが目を通しているので、その分だけわかりやすい気がする。まあ五十歩百歩ではあるが。大多数の題目を初めて目にする仏典に関しては、注釈を頼りに「そういうものか」と思って読み進むしかない。
法然に限らず中世の宗教人は、仏典の読み込みもそれこそ命がけでおこなっていたんだろうな(現代でもまじめなお坊さんや研究者はそうだろうけど)。
私の読み方など比較にならないけど、それにしても一度読んだからいいというものではあるまい。書き下し文のほうも含め、今後も折につけ読み返すことにしよう。