しいたげられたしいたけ

災害時のデマ、絶対ダメ!

はてな「最新の人気記事」にまた変な記事が上がっている

日本国政府がどれだけ借金しても絶対に日本は倒産しないと言うことのサルでも分かる説明 : 金融日記
「サルでもわかる」と謳いながら、バランスシートの知識を使っていたり、看板に偽りありの感が否めないが、まあそれは措くとして。
全ての要約は間違っているが、とりわけ私の要約は間違っているが、一応私なりの要約を示すと…
(1)国債は「国の借金」ではなく「国の発行する株式」。
(2)「国の発行する株式」の価値は「国の資産」で決まる。仮にこれを一定とする(とは書いてないけど、まあそういうことなんだろう)。
(3)国の発行する通貨の価値は、バランスシートにより「国の株式」の価値と連動している。
(4)よって、苦し紛れに増資しまくる会社よろしく国が「国の株式」すなわち国債をじゃんじゃん発行すると、「国の株式」および国の発行する通貨の価値はどんどん下がって紙くず同然になる。つまりインフレになる。
(5)だけど外部から借金しているわけではないので、無借金の会社が潰れないように、国が潰れることはない。
この手のいかにも怪しげな記事が「最新の人気記事」に上がった時には、すかさずブクマコメやトラバで適切な突っ込みが入るものだが、今回はなぜかブクマコメもトラバも一通りチェックしたつもりなのだがどうも意に適ったものが見当たらない。
私はブックマークはするがブクマコメはつけない方針なのだが、今回は主義を曲げて自分なりの突っ込みを投入しておいた。しかし100字という制限ではどうしても言葉足らずなので、自分の日記のエントリーにもしておくことにする。ただし内容は昔読んだ素人向け新書のうろ覚えを受け売りしているにすぎない。ぜひもっと詳しい人に論じていただきたいところである。
国債をじゃぶじゃぶ発行すると、どういうしっぺ返しをくらうか?
一点め。
金融市場に出回る資金の総額は有限。国債の発行額が増えると、その分だけ民間企業への投融資に回される資金が食われることになる。とりわけ中小企業に回る資金が減る。国の借金と中小企業の借金のどちらがリスクが高いかは歴然。そうするとどうなるかと言うと、リスクが高いほうが資金を確保するためには、金利を上げるしかない。結果、中小企業向け金利は天井知らずに上がることになる(←いまここ)。
試しに「国債 金利」と「中小企業向け 金利」で検索して、出てきた数字を比較してみるといい。
元記事を書いた人は投資銀行勤務だそうだが、銀行がいかに中小企業など眼中にないかがよくわかると、皮肉の一つも言いたくなる。言ってるけど。
二点め。
借金漬けの財務体質に慣れていると、いざ国内の金融市場が枯渇してもすぐに借金を止められるわけじゃない。最低限、発行済み国債の償還をおこなわなきゃならないし、もちろんそれだけじゃ済まないだろう。そうすると増税しないのなら外債に手を出さざるを得なくなり、その先の展開はさすがに元記事やブクマコメのいくつかが言及している通りである。
とは言うものの、IMFが国家財政の再建に乗り込んでくるよりはるか以前の時点で、中小企業のみならずおおかたの民間企業が金融市場から必要な額の資金を調達できなくなるという事態が予測されるわけで、そのとき国内経済がどんなことになるかは、あまり想像したくない。
まあ現実に私がやっている個人事業は、どこの金融機関からも相手にされることがないだろうから、創業以来ずっと無借金でやってきているので、IMFがやってくるその日までは問題ないと言っちゃそれまでなのだが。
追記:
タネ本を書いてなかったので追記します。ただし「需給曲線」など経済学用語が多用されているので、私の理解が十分でない可能性はあります。

国の借金 (講談社現代新書)

国の借金 (講談社現代新書)