ごく狭いネット巡回範囲の感想だが、ここのところ裁量労働制(別名 “働かせ放題法案” )に対する「両論併記」「自称中立」「どっちもどっち」的な記事が目立つようになってきた気がする。
全部に目を通したわけじゃないけど、当然ながら法案を推進する側の言い分は、うまくできていると感じる。「裁量労働制が適用されるのは一部の職種だけ」「残業時間の上限制限とセット」云々。それだけを取り出して見たら、反対しにくい。だが実際の運用はどうなるの、というのが疑問なのだ。
私はどうも網羅的な記事を書くのが苦手らしい。関連記事をブックマークしながら集めたら、かなりの数になって、まとめるのにとてつもなく時間がかかりそうに感じた。目下ホッテントリになっている日経の記事を一つだけリンクする。
ログイン要な部分から、一部引用。
「裁量労働や脱時間給制が削除されて他だけ残ったら最悪だ」(経済団体幹部)
ブコメの多くが指摘しているように、経済界の本音がダダ漏れになった発言だろう。そもそも趣旨の異なる複数の法案を、抱き合わせで一括して国会に提出して成立させようという手法が、おかしいのではないだろうか? 安倍政権がしばしば使う手とは言え。
話が少しズレるようですが、一昨日の拙エントリー には多くのアクセスをいただき、感謝しています。ありがとうございます。同記事中に、私が加入している地域ユニオンが、改正労働契約法に起因する雇い止めを撤回できた人数は10人以下である一方、名古屋市内のある大規模な事業所ではおそらく100人以上がこの4月で雇い止めされるのではないかと書いた。事業所の名前を書くわけにはいかず、100人以上というのも私の推測にすぎない。データとしては使い物にならないよなと思っていたら、理化学研究所では365人が雇い止めとなるという記事が出た。一箇所でこの数字である。
雇い止めの抑制が条文(19条)に明記されているにも関わらず、運用はこの体たらくである。裁量労働制に立ち戻れば、法案の名目はともかく、それによってサービス残業の実質合法化が進行し、労働時間の延長あるいは実質賃金の低下という現象があるのではないかというのが、(私含む)反対側の危惧だ。
一方、賛成側、推進側は、そのようなことは起きない、むしろ労働時間の削減や(労働生産性向上による)実質賃上げにつながるであろうという主張だろうか。
では議論の根拠となるべきデータはどうなっているのか、ということで、振出しに戻る訳だ。厚労省が出してきたデータは使い物にならないというのが、発端だったのではなかったのか?
弊ブログは「両論併記」「自称中立」「どっちもどっち」という態度をとりません。現今の前提が崩壊した状態での裁量労働制には、はっきりと反対します。
* * *
ツイッター経由で、「エキタス」という団体が、名古屋駅前で裁量労働制に反対する集会をやるという情報が流れてきた。時間を見ると、最寄りの駅前で毎月やっている「戦争はイヤだ」集会と、ちょうどハシゴできる時間帯だった。
意思表示のため、こんなプラカードを自作して参加した。
前回、最寄り駅前の「戦争はイヤだ集会」に参加した記事はこちら。
他の参加者にプラカードを見せたら、みなさん即座に納得した顔を見せてくれた。
今月は参加者10名とちょっとだったが、しぶとく続いている。顔消しすみません。
元々は安全保障法制(戦争法制)に反対する集会だったが、今は主に憲法改正反対の署名集めをやっている。
署名に応じてくれている親子連れ。この日は5名ほどが署名してくれた。
そのまま電車に乗って、名古屋駅に移動。なんと便利な。
プラカードは自分で用意しなくても貸してくれたであろう。私はハシゴだから自分で作ったまでだ。
鳴り物部隊。
「裁量労働制はやめろ!」のコールのあと、リレートーク。
地元のNPO団体代表、保育所職員、裁量労働制の現場で働いていた会社員、化学会社の研究開発部門で働く会社員、高校教員、国会議員、過労死問題を扱う弁護士、大学教員らが、次々とスピーチ。
また別の国会議員と、夫を過労死で亡くした方のメッセージが代読された。
主催者発表によると参加者は100名とのこと。「エキタス」は首都圏ではかなりの人数を集め、いくつかの新聞に記事が載った。首都圏で集まった人数に比べると物足りない気もするが、「地方からも連帯」というメッセージということで。
集会終了時には、とっぷり日が暮れた。そうでなくてもオートフォーカスの調子の悪いスマホだが、光量が少ないとピントが余計に合わなくなる。個人特定が困難になるから、これはこれでいいか。
追記:(2/27)
理研雇い止め撤回ニュース来ました。これ自体は朗報です。しかし日大、立命館大など大規模雇い止めが問題になっているケースは他にも多数明らかになっているので、論旨に変更はありません。
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