ツイッターに数学の問題が流れてきた。ツイ主さんのお子さんがチャレンジしていた応用問題とのことだった。元々は某県の高校入試問題らしい。概略は次の通り。試験問題は著作権法36条により著作権による制限を受けないはずだが、どっかから怒られたら消します。
30cm × 10cm のレンガを 36 個、周囲に並べて長方形の花壇を作る。レンガで囲まれた部分の面積が 64000 ㎠ であるとき、横に並べたレンガの数はいくつか。
ただし 横に並べたレンガの数 ≧ 縦に並べたレンガの数 とする。
四隅のレンガは下図のように配置するとの由。下図に青色の長方形で示したレンガの内側の面積が 64000 ㎠ ということのようだった。
ツイ主さんのお子さんは正解にたどり着いたらしいが、なんで答えが出るのかわからなかったようだ。正確にこの通りのツイートだったわけではないが、私の要約である。
よくある「なにがわからないかわからない状態」というやつではないかと思われた。違っているかも知れない。
半分おせっかい、半分は「なにがわからないかわからない」状態を「ここがわからないからわからない」まで言語化できないかと、私も解いてみた。「なにがわからないかわからない」を言語化するのは、AIにはできない人間にしかできないことだと思っている。そして「ここがわからないからわからない」まで「わからない」と「わかる」の境界線を絞り込むことができれば、問題は半分以上解決したようなものだと常々の持論。
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問題自体は2次方程式の問題だと思う。元ツイ画像のフッタに「2次方程式」の文字が写り込んでいたから疑念の余地はない。
上掲図中に示した通り、横に並ぶレンガの個数を x 個とし、縦横2列必要だから縦に並ぶレンガの個数を 18 - x 個とすれば、花壇の横の長さは 30x - 10 (cm)、縦の長さは 30(18 - x) - 10 (cm) で間違いあるまい。
とすれば2次方程式
(30x - 10){30(18 - x)- 10} = 64000
を解けばいいはずだ。ぜんぜん難しくないじゃないか…
と思っていたら甘かった。数字がとにかく煩雑だったのだ。私は計算間違いに天才的な才能を発揮するタイプなので、もし試験会場で制限時間内にこの問題を解けと言われたら、ぜって~解けなかったと思う。
弊ブログ読者各位には、紙とエンピツを使わず目で追っていただくだけでもある程度わかっていただけるように、そして私が苦労した様子がわかっていただけるように、計算過程をやや細かく記述する。
一つ上の方程式の、両辺を100で割って中カッコの中を開いて、
(3x - 1)(54 - 3x -1) = 640
項ごとにまとめる。
-(3x - 1)(3x - 53) = 640
展開して、
9x^2 - 159 x- 3x + 53 + 640 = 0
またも項ごとにまとめる。
9x^2 - 162x + 693 = 0
ご覧のとおり、かなり煩雑な数字が並ぶ。ここまで氏ぬほど計算間違いを重ねたが省略。2次方程式には違いないが、
コレどうやって解くんだ?
数式処理ソフトとは言わないまでも電卓がいるんじゃないか、と一瞬困って…
係数が全部9で割れるじゃないか!
ということに気づいた。
「各ケタの数字を足し合わせた結果が9で割れれば9の倍数」という定理は小学生の頃から刷り込まれている人が多いと思うが、このトシになっても出てくるもんだとちょっと感慨を覚えた。
x^2 - 18x + 77 = 0
あとは因数分解を使ってもよし。足して18、掛けて77。
(x - 7)(x - 11) = 0
2次方程式の解の公式(x の係数が偶数の場合)
を使ってもよし。
x = (9±√(81-77))/1 = (9±√4)/1
いずれにせよ x = 7, 11 がめでたく求まった。
元の式に当てはめて検算してみた。
(30 × 7 - 10) × {30 × (18 - 7) - 10}
= (210 - 10) × (330 - 10)
= 200 × 320 = 64000 (㎠)
(30 × 11 - 10) × {30 × (18 - 11) - 10}
= (330 - 10) × (210 - 10)
= 320 × 200 = 64000(㎠)
問題文に「横に並べたレンガの数 ≧ 縦に並べたレンガの数」とあるから、答えは 11個■
これでわかってもらえるかなと恐る恐るツイ主さんにリプしたところ、お子さんはよくわかってくれたそうでホッとした。
ただしお子さんの反応は「解の公式で解くんだー!」とのことだった。
私自身は出てくる数字の煩雑さに悩まされたのだが、当然のこととはいえ人によってポイントは違うようだ。
当事者が納得してくれたのであれば、それでいいのだ (^_^;
しかし2次方程式の係数が全部9で割れて一気に簡単になることに気づいたときの爽快感と来たら! つかこの手の鮮やかに簡単な(?)数字が並ぶ問題は、入試業界あたりでは知見が蓄積されているんじゃないかと想像する。入試業界ってあるのか? あるか。
過去にもそんな拙記事を書いたことなかったっけ? これが近いかな?
ただし繰り返すが私自身は夥しい計算間違いを重ねて、答えにたどり着くのにものすごく時間がかかった。
こんな問題を解いた生徒のうち1割くらいは「数学おもしれー!」となってくれるんじゃなかろうかと思った。それを大いに期待する。
一方で私みたいに計算間違いに計算間違いを重ねた生徒は、数学嫌いになる恐れなきにしもあらずとも想像するのだが、どんなもんでしょう?
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