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地域労組の団体交渉に参加したが労働契約法まわりは消耗する話題ばかりだ

労働契約法 第十八条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)

 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2 ≪略≫

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000128#Mp-At_18 より

たまにブログの話題にしている通り、誰でも入れる非正規労働者向け地域労働組合に加入している。自ブログに書くのは 去年の9月7日以来 だが、実生活では非合理きわまりない解雇案件をめぐってひんぱんに活動している。近く大きめのネタを連投するかも知れない。

今回はそれとは別件で、非正規の被雇用者の無期労働契約転換に関するトラブルで団体交渉があるというので参加した。労働法関係の知識のない私はいつも「枯れ木も山の賑わい」くらいの存在だけど。

個人のプライバシーに大きくかかわることなので詳細は書けないが、問題点をざっくり記すと…

  1. 5年ルールに基づく無期転換を求めたが認められなかった
  2. 時給が1,200円台から1,000円台へと大幅に切り下げられた

の2点だった。

5年ルールを定めた労働契約法18条の条文は冒頭に引用したが、わかりにくいという方は解説サイトをぐぐってください。

 

会社側の説明によると「1.」に関しては、今回の団交の主人公である組合員の通算契約期間が5年を超えるのは今年(2022年)の4月1日だったが、無期転換を求める申し入れ書はそれより1週間ほど前に届いたとのことだった。

なんだそれは?

組合側の代表者と会社側で、4月1日の時点で発生した無期転換権は有効であることを確認し、組合員より再度申し入れ書を郵送するということでこの件は決着した。

 

問題は「2.」である。

労働契約法18条によれば無期転換後の労働条件はカッコ書きがいっぱいあってややこしいが、現に締結している労働条件と同一でなければならないはずだ。

つまり時給を一方的に約2割も切り下げることは、できないはずではないのか?

それに対する会社側の説明が、とんでもなかった。

この4月に、それまでこの会社になかった就業規則を作成した(この規模の会社で就業規則がなかったことは、おかしいそうだが)。時給1,000円台というのは就業規則に書かれていることである。団交の主人公である組合員には、4月以降の契約を継続するにあたって就業規則を遵守することを含む労働契約書にサインしてもらっている。これが労働契約法18条の条文にある「別段の定め」に該当する。よって合法である、と。

なんだそれは?

 

もちろん組合側からは、主に代表者からいろいろに反論した。労働者側には雇用を継続するため契約書にサインしなければならないという非対称性があること、賃金の切り下げは労働者側にとっては不利益変更であるから説明を尽くさねばならないこと、また会社側の説明によると時給切り下げは会社内での待遇の差をなくすためだそうだが、そうした目的であれば高い方を下げるのではなく低い方を上げるべきであること…などなど。

残念ながら、平行線だった。会社側の、こういう態度を「全ツッパ」というのだろうか?

この日の団交は、追って組合側から会社に対して要望書を出すということで、時間切れのおひらきになった。

 

あとで組合の労働法に詳しい人に、無期転換後に改定した労働契約は「双方の合意が成立していない」すなわち係争中ということで、労働契約法18条の条文にいう「現に締結している有期労働契約」にはあたらないとすることはできないかと尋ねてみた。

まだ判例がなく、裁判をしても無期転換後の労働契約が「現に締結している有期労働契約」という解釈が採用される可能性がある、とのことだった。

 

地域労組の団交に参加すると、労働者側の無力を痛感して何日か落ち込むことが多い。会社側が断ることができない「団体交渉権」は労働組合の大きな武器だとは思うが、そこから先の手がなかなかないようにも感じる。

改正労働契約法の無期転換を定めた5年ルールは、派遣法の3年ルールもそうだろうけど、5年めの雇い止めの横行など本来の労働者保護という目的と正反対の google:コブラ駆除法 なみの逆効果しか発揮していないのではと疑問を感じるのは、私だけだろうか?

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